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旅行・観光のオウンドメディア参考事例|検索・SNS・予約導線を分析

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
旅行・観光のオウンドメディアのイメージ

旅先の魅力を伝える記事はたくさん公開しているのに、予約や送客にはなかなかつながらない。旅行・観光のオウンドメディアを運営していると、そんな悩みに行き当たることがあります。

予約や送客につなげるには、魅力を伝えるだけでは足りません。旅行者が日程や移動、料金などの条件を確かめ、次の行動を選べる案内を用意することが重要です。公開サイトを見ていくと、季節・地域・体験から探せる構成と、空室検索や予約先への入口を組み合わせた設計が、参考になります。

この記事では、GO TOKYO、旅東北、星野リゾートなどの公開サイトを比べながら、検索、SNS、予約導線がそれぞれどんな役割を担っているのかを整理します。取り上げるのは、設計の参考になる事例です。各サイトで予約や送客がどれだけ増えたかという成果は確認できていないため、「成功事例」とは呼ばず、構成と導線の比較にとどめています。そのうえで、自社で取り入れたい情報分類、写真・動画の使い方、改善の順番を考えていきます。

事例は予約実績とサイトの設計を分けて読む

予約実績とサイト設計を分けて読む考え方

結果と設計を分けて見る

事例を参考にするときは、公開されている仕組みと、その仕組みが生んだ成果を分けて読むのがコツです。予約ボタンやSNSへのリンクがあっても、それだけでは、どれだけ使われたのか、予約にどう貢献したのかは分かりません。テーマ選定や編集方針の考え方は、メディア戦略・コンテンツ企画の基本で整理しています。ほかの業種の設計は、BtoCオウンドメディアの事例比較も参考になります。

この記事では、旅行・観光事業者や地域の観光組織が管理するWebサイト上の情報発信を、オウンドメディアとして扱います。SNSは、そのWebサイトとは別の接点として比べます。

対象としたのは、2026年10月20日に確認できた公式サイトなどの公開情報です。ここから比べられるのは、情報の分類、SNSへのリンク、予約への入口までです。検索順位、SNS経由の訪問数、記事を読んだ後の予約数といった成果は、公開情報からは確認できていません。

そのため、自社に取り入れるときは「有名なサイトと同じ機能を置く」ことを目標にしないほうが、自社に合う改善を選べます。「その機能は、旅行者のどんな判断を助けているのか」という視点で見ると、必要な改善を選びやすくなります。

旅行・観光メディア5事例の検索・SNS・予約導線

5つの事例を並べると、大きな違いは2つあります。扱う地域の広さと、サイト内で予約を受け付けるかどうかです。地域全体を案内するサイトと、自社施設を販売する宿泊事業者とでは、記事を読んだ後に案内したい先が変わってきます。

次の表では、各サイトの情報の探し方、SNSとの接点、予約への入口を並べています。「探し方」は、サイト上の情報の分類を指します。

サイト情報の探し方確認できたSNSとの接点確認できた予約への入口
GO TOKYO季節・体験・地域。期間やエリアなどの詳細検索Facebook、X、YouTube、Instagramへのリンク、共有機能イベント情報の外部サイトへのリンク。確認したトップページに予約・購入の案内はなし
旅東北エリア、季節特集、モデルコース、観光・体験Facebook、Instagramへのリンク「旅の予約」、交通や体験企画へのリンク
星野リゾートブランド、地域、編集コンテンツInstagram、X、note、YouTubeへのリンク日付・人数を指定する空室検索
HOKKAIDO LOVE!テーマ、季節、時間帯、エリア、モデルコースFacebook、Instagram、YouTube、LINEへのリンク「旅の予約」、お気に入り保存
じゃらん観光ガイドエリア、体験、観光スポット、口コミ、ランキングSNSへのリンク表記(種類の確認は限定的)ホテル、アクティビティなどの予約カテゴリ

出典は各サイトの公開情報です。予約先の詳細画面や、SNS投稿から各記事へ至る経路は対象外です。

GO TOKYO:季節・体験・地域で旅先選びを支える

東京都の観光公式サイト「GO TOKYO」は、東京観光財団が運営しています。トップページには、季節やイベントを探せる「CALENDAR」、体験を探せる「EXPERIENCES」、地域を探せる「SPOT」という3つの入口が並んでいます。

注目したいのは、行き先がすでに決まっている旅行者だけでなく、「どんな過ごし方をしたいか」「いつ行くか」から探したい旅行者にも入口を用意している点です。詳細検索では、キーワード、期間、エリア、タグを組み合わせられます。

観光協会や地域の観光組織なら、スポット一覧を増やす前に、旅行者が「いつ・どこで・何をするか」から探せるかを見直すと有効な場合があります。一方で、確認したトップページには、明示的な予約やチケット購入の案内はありませんでした。直接予約を受ける宿泊施設とは、役割が違うサイトだといえます。

旅東北:広域の情報をモデルコースと予約入口でつなぐ

東北観光推進機構の公式観光サイト「旅東北」は、エリアガイド、特集、モデルコース、観光・体験などを分けて案内し、メニューには「旅の予約」も設けています。季節の特集に加えて、ドライブルートや体験をテーマにした企画も掲載されています。

広い地域を扱う観光では、スポットをひとつずつ知るだけでは、旅程が決まりません。自社に応用するなら、記事からモデルコース、アクセス、予約先へと進める案内を用意するとよいでしょう。

星野リゾート:旅の探し方と空室検索を同じサイトに置く

星野リゾートの公式サイトには、地域別の「旅をみつける」、編集コンテンツの「みちくさガイド」への案内があります。予約面では、ヘッダーと検索パネルに空室検索があり、日付や人数を指定できます。

宿泊施設にとって参考になるのは、旅への関心を高める情報と、宿泊条件を調べる入口が同じサイトの中にある点です。自社の記事でも、紹介する体験と宿泊施設の関係を説明したうえで、施設情報や空室検索へ案内する流れが考えられます。

メールマガジンは、旅を楽しくする限定コンテンツとして案内されています。予約特典や先行予約の記載はなかったため、情報を継続的に届ける接点と、予約への案内は分けて捉えるのが適切です。

HOKKAIDO LOVE!:季節に加えて同行者や天候から探せる構成

北海道観光機構が運営する北海道観光公式サイト「HOKKAIDO LOVE!」には、絶景、温泉、子どもと一緒、グルメ、雨でも楽しめる、といったテーマが並びます。春夏秋冬だけでなく、朝・昼・夜という切り口も用意されているのが特徴です。

ここから学べるのは、同じ地域でも、旅行の条件によって必要な情報が変わるという編集の視点です。たとえば子ども連れ向けの記事なら、景色の紹介だけで終わらせず、移動や滞在中の条件まで確認できる構成にするとよいでしょう。

「旅の予約」やお気に入り保存への入口も用意されています。

じゃらん観光ガイド:観光情報と旅行商品の予約を並べる

リクルートが運営する「じゃらん観光ガイド」は、エリアや体験の分類に加えて、口コミ評価やランキングを掲載しています。ナビゲーションからは、ホテルやアクティビティなどの予約カテゴリへ進めます。

参考にしたいのは、観光スポットを調べる段階から、宿泊や体験を予約する段階へ移るための入口です。とはいえ、旅行商品を幅広く扱うサービスの構成を、小規模な観光協会や宿泊施設がそのまま再現する必要はありません。まずは、自社で予約を受ける範囲と、外部事業者へ案内する範囲を決めておくと整理しやすくなります。

検索需要は地域・季節・旅行条件を組み合わせて考える

検索を意識した記事は、地名だけで企画するより、季節や同行者、移動条件と組み合わせたほうが、読者の疑問に近い答えを用意できます。事例の情報分類は企画のヒントになります。ただ、実際にどんな検索がどのくらい行われ、いつ増えるのかは、自社の検索データなどで別に確かめる必要があります。

次の表は、記事を設計するための仮想例です。

想定する検索記事で答える内容読後の案内先
地域名+雨の日+子連れ屋内で過ごせる場所、移動、利用条件スポット詳細、アクセス
地域名+紅葉+モデルコース見頃情報、回り方、移動手段最新の開催・交通情報
温泉地名+冬+宿泊冬の過ごし方、交通、施設の特徴宿泊施設の詳細、空室検索

企画の段階で、旅行者が記事を読んだあとに何を決めるのかをひとつに絞っておくと、迷いにくくなります。行き先を選ぶための記事と、決めた行き先の予約条件を調べるための記事では、説明の深さも案内先も違うからです。

季節の記事では、毎年使える情報と、その年に確認し直す情報を分けておくのがポイントです。景観や地域の特徴は継続して使えても、開催日、営業時間、交通、料金、予約条件は更新が必要です。公開予定だけでなく、確認する担当者と更新する対象も決めておくと、前年の情報が混ざる事態を防げます。

写真・動画とSNSは旅行条件の確認までつなげる

SNSから予約までの導線

知ってから予約するまでの流れ

写真や動画には、旅先の雰囲気を伝える役割と、現地での過ごし方を確かめてもらう役割があります。分けて制作すると、使いどころがはっきりします。ここからは、事例の観察をふまえた自社向けの設計案です。

たとえば雪景色の写真を使うなら、撮影した場所と時期を添え、記事で冬の時期のアクセスや営業状況を案内します。施設内の移動を動画で紹介するなら、映像だけで説明を完結させず、利用条件も文字で確認できるようにしておくと親切です。

素材伝える内容の例記事で補う情報
景観写真季節の風景、場所の雰囲気撮影時期、所在地、最新情報の確認先
体験動画当日の流れ、動作、所要時間のイメージ参加条件、料金、開催日、予約方法
モデルコースの写真立ち寄り先と旅の流れ移動手段、区間ごとの条件、変更時の案内

SNSで紹介したテーマと、リンク先の記事の内容もそろえておく必要があります。紅葉の投稿から総合トップページに案内するだけでは、読者は目的の情報を探し直すことになります。対象地域の紅葉情報やモデルコースへ直接案内する設計が考えられます。ただし、媒体によってリンクを置ける場所や使い方が異なるので、実際の投稿画面で確認しておくと確実です。

素材の管理では、撮影日、掲載の許可、利用できる媒体、差し替えの時期を記録しておきます。季節が変わっても使える写真と、その年の状況を示す写真を区別しておくと、記事とSNSで使い分けやすくなります。

予約導線は運営主体の役割に合わせて選ぶ

予約への案内先は、運営主体によって基本の考え方が変わります。宿泊施設なら空室や宿泊プランへ、観光協会や観光地域づくり法人であるDMOなら施設・体験・交通などの案内先へつなぐのが基本です。旅行会社の場合は、記事の内容に対応したツアーや商品の詳細ページが候補になります。どの場合も、紹介した内容と移動先の条件が合っているかの確認が欠かせません。

たとえば体験記事で予約を案内するなら、対象日、人数、参加条件を確認できるページへつなぎます。地域の特集記事なら、いきなりひとつの商品に絞るより、モデルコースや施設情報を経由させたほうが、内容に合うこともあります。

見落としやすいのが、予約リンクのクリックと予約の完了は別の指標だという点です。外部の予約サイトへ案内する場合は、クリックしたあとの予約結果を自社で把握できるかも確認しておく必要があります。取得できないときは、予約先への送客と実際の予約を同じ成果として報告しないようにします。

また、地域の観光組織では、予約数だけでサイト全体を評価しない設計も必要です。旅程の検討、交通情報の確認、地域内の施設への案内など、サイトが担う役割ごとに確認する項目を置いておくと、評価がぶれません。

改善は情報の誤りと行き止まりから着手する

改善の進め方の順序

改善は誤りから着手する

最初に手を付けたいのは、古い営業情報、リンク切れ、記事と予約先の不一致です。次に、読まれている記事から必要な詳細ページへ進めるかを確かめ、そのあとで新しい記事やSNSの企画を増やす流れをおすすめします。この順序は事例の実績から導いたものではなく、自社で点検するときの推奨です。

優先順位確認する状態対応例
1開催日・営業・交通・予約条件が古い情報を更新し、確認日を記録する
2リンク切れや案内先の不一致がある正しい詳細ページや予約先へ変更する
3記事を読んだ後の案内がないモデルコース、アクセス、施設詳細を追加する
4必要な情報はあるが見つけにくい季節・地域・体験の分類や関連記事を見直す
5既存記事で答えられない需要がある新規記事や写真・動画の制作を検討する

効果を確かめるときは、広告を使わない検索結果からの訪問、SNS経由の訪問、詳細ページへの移動、予約先へのクリック、取得できる場合は予約完了を、それぞれ分けて見ます。集客が増えても予約先への移動が増えない場合と、移動は増えたのに予約完了が増えない場合では、見直す場所が違うからです。

旅行は季節によって増減が大きいため、前月との比較だけでなく、前年の同じ時期も確認します。開催日、休業、販売プランに変更があったときは、その条件も記録しておきます。

実務では、ひとつの記事について次の項目を確認すると、抜け漏れを防げます。

  • 想定する季節・同行者・移動条件を明記している。
  • 営業・開催・交通・予約条件を確認している。
  • 写真・動画の撮影時期と利用条件を確認している。
  • 紹介内容に合った詳細ページや予約先を案内している。
  • 予約先へのクリックと予約完了を区別している。
  • 更新担当者と次回の確認時期を決めている。

まとめ

旅行・観光メディアの公開事例から参考にできるのは、季節・地域・体験による情報の分類と、運営主体に合った「次の行動」への案内です。SNSや写真・動画は旅への関心を伝える接点として設計し、記事では訪問の条件や予約方法を確かめられるようにします。

最初の一歩としては、自社の季節記事をひとつ選び、検索やSNSから訪れた旅行者が、必要な条件を確認して詳細ページや予約先へ進めるかを点検してみるとよいでしょう。その結果をもとに、情報更新、案内先の修正、分類の改善、新規制作の順で対応を決めていくと、作業の目的がそろいます。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

以下は2026年10月20日時点の公開情報です。各ページの公開日・更新日は確認できていません。サイト構成と案内先の比較に使用しており、集客数や予約増加の根拠としては使用していません。

  • GO TOKYO 東京の観光公式サイト/公益財団法人東京観光財団 https://www.gotokyo.org/jp/ 季節・体験・地域の分類、詳細検索、SNSへのリンク、外部サイトへの案内を参照。
  • 旅東北/一般社団法人東北観光推進機構 https://www.tohokukanko.jp/ 季節特集、モデルコース、SNSへのリンク、「旅の予約」などの入口を参照。
  • 星野リゾート 公式サイト/星野リゾート https://www.hoshinoresorts.com/ 地域・ブランドによる分類、編集コンテンツ、空室検索、メールマガジンへの案内を参照。
  • 星野リゾート メールマガジン案内/星野リゾート https://www.hoshinoresorts.com/information/mailmagazine/ 旅に関する限定コンテンツの訴求を参照。
  • 北海道観光公式サイト HOKKAIDO LOVE!/公益社団法人北海道観光機構 https://www.visit-hokkaido.jp/ テーマ・季節・時間帯による分類、SNSへのリンク、予約とお気に入りの入口を参照。
  • じゃらん観光ガイド/リクルート https://www.jalan.net/kankou/ エリア・体験の分類、口コミ・ランキング、宿泊・体験の予約カテゴリを参照。ページの一部が読み取りにくかったため、確認できた内容に限定。

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