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問い合わせ前に企業担当者は何を調べる?検索・評判・AI行動を調査

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:実践Web集客、SEO、AIOコンテンツマーケティング
BtoB見込み客が問い合わせ前に複数企業を検索・比較している様子と、複数候補化以降に接触する割合63.5%を示したアイキャッチ

BtoBの問い合わせを増やしたいとき、自社サイトのアクセス解析や営業・カスタマーサクセスに届いた質問だけを見ていると、問い合わせ前に離脱した見込み客の行動を見落とします。

重要なのは、「どのページから問い合わせたか」だけではなく、「何を知りたくて、どこを調べ、何が解決せず、次にどこへ移ったか」を時系列で記録することです。

本記事では、参加者調査、検索・AI環境の観察、自社サイトデータ、問い合わせ後の確認を組み合わせ、検索→比較→信頼確認→相談判断の流れを可視化する方法を解説します。

検索・AI環境でどのように信頼を確認されるかという観点は、CITEメソドロジーのTrust軸でも整理しています。

BtoB見込み客は、問い合わせる前にすでに比較を進めている

BtoBの問い合わせは、必ずしも「初めて詳しい説明を聞く場」ではありません。

調査結果を記事テーマや編集方針へ戻す前提となるメディア戦略・コンテンツ企画の全体像は「メディア戦略・コンテンツ企画とは?」で整理しています。

HubSpot Japanが2026年に実施した1,573名調査では、売り手に接触する買い手のうち63.5%が、複数候補をリストアップした段階以降まで検討を進めていました。また、実際に2つ以上の商品・サービスや提供会社を比較したケースは80.3%でした。最初に売り手へ接触する目的では「価格・見積もりを確認するため」が42.4%で最多です。

製造業の購買担当者200名を対象としたイントリックスの調査でも、61%が「Web上で情報収集・比較検討し、候補を数社に絞った段階」で問い合わせると回答しています。日常的な情報源では企業の公式Webサイトが70%、確認する情報では基本情報71%、競合比較41%、導入事例39%、導入条件やコスト感36%、顧客レビュー・評価30%でした。

株式会社Coneが、BtoBサービスへの問い合わせ・資料請求経験者221名を対象に行った2025年調査では、サイト内で確認した情報として「料金・費用」が54.4%、「自社の課題を解決できる情報」が46.6%、「導入・支援事例」が44.5%でした。サイト外では、業界メディアなどの記事33.9%、比較・ランキング記事31.7%が上位でした。

つまり、問い合わせ件数だけを成果指標として追うと、その前に行われた候補発見、比較、評判確認、社内説明の準備が見えません。調査対象は「問い合わせ直前のページ」ではなく、候補を知る前から相談を決めるまでの一連の探索行動です。

問い合わせ前検索行動は、一つのログだけでは把握できない

外部検索、比較サイト、第三者記事、生成AI、公式サイトを横断した行動を、企業側が一つの計測ツールだけで個人単位に追跡することはできません。

Search Consoleやアクセス解析で分かるのは、主に自社が観測できる検索流入やサイト内行動です。営業・CRMに残るのは、接触後の情報が中心です。

そのため、問い合わせ前の行動調査は「一つのツールですべて追う」のではなく、異なる観測方法を同じ調査項目でつなぎます。

調査方法 分かること 分からないこと・注意点
見込み客への検索日記・タスク観察 実際の検索語、AIへの質問、閲覧先、比較順、迷い 調査参加者以外へそのまま一般化できない
検索結果・AI回答の定点観察 どの企業・情報源・比較軸が表示されるか 実際の見込み客が同じ質問をしたとは限らない
Search Console・アクセス解析 自社への流入クエリ、入口ページ、回遊、問い合わせ到達 自社サイトに来る前の外部行動は見えない
問い合わせ直後のアンケート 事前に見た情報源、比較社数、未解決だった疑問 記憶に基づく回答になる
営業・CRM 商談時の質問、比較対象、失注理由 接触しなかった見込み客は捕捉できない

BtoBの問い合わせ前行動を検索日記、検索・AI回答、アクセス解析、アンケート、営業CRMの5つから把握する構造図

問い合わせ前の検索・比較行動は、一つの計測ツールでは把握できません。観測範囲の異なるデータを組み合わせて確認します。

この5つを同じ「検索・比較行動シート」に集約すると、自社サイトだけを見ていたときには分からなかった情報不足を発見しやすくなります。

まず「検索→比較→信頼確認→問い合わせ」を6段階に分ける

調査前に、買い手の行動を一本道と決めつける必要はありません。一方で、記録単位がないと調査内容が人によってばらつきます。

そこで、最初は次の6段階を仮説として置き、実際の調査で順序の入れ替わりや往復を確認します。

段階 見込み客の中心質問 記録したい行動
1. 課題認識 何が問題なのか 課題・症状・用語をどう検索したか
2. 解決策探索 どんな解決方法があるか Google、業界メディア、AIで何を探したか
3. 候補化 どの会社・サービスが候補か 初めて知った企業、候補に残した理由
4. 比較 どこが自社に合うか 料金、機能、支援範囲、体制、事例の比較
5. 信頼確認 本当に任せてよいか 評判、実績、会社情報、第三者記事の確認
6. 問い合わせ判断 今相談する価値があるか 未解決事項、社内説明、見積もりの必要性

BtoB見込み客が課題認識から解決策探索、候補化、比較、信頼確認、問い合わせ判断へ進む6段階の行動フロー

6段階は固定された一本道ではありません。実際の調査では、比較から検索へ戻るなどの往復も記録します。

BtoBカスタマージャーニーの研究では、複数の担当者が直接・間接の接点を行き来し、単一人物が全工程に関与するとは限らないと整理されています。

また、デジタル化によって新しい接点が追加されるだけでなく、既存接点や顧客側の役割、検討プロセスそのものも変化することがBtoB企業と顧客を対象としたケース研究で示されています。

したがって、調査では「典型的な一人の旅」を作るより、購買担当者、利用部門、決裁者など、誰の行動なのかを分けて記録する方が実態に近づきます。

BtoB問い合わせ前検索行動を調査する7ステップ

BtoB見込み客の問い合わせ前検索行動を、対象条件設定から未解決不安のコンテンツ企画化まで調査する7ステップ

検索キーワードを集めるだけでなく、何を判断できず次の情報源へ移ったのかまで追うことが調査のポイントです。

STEP1|調査対象を「会社」ではなく「購買状況」で揃える

同じBtoBでも、初めて導入する商材と更新契約では検索行動が異なります。

Lüdersらが購買担当者40名への定性調査と198の購買状況を分析した研究では、特に新規性の高い購買状況でオンライン情報探索の重要性が高まることが示されています。

「従業員規模」「業種」だけでなく、初回導入か乗り換えか、購買金額帯、検討役割、導入期限、既知ブランドの有無まで条件を整理します。

ここを揃えないと、以前から知っている企業から選ぶ購買と、ゼロから解決策を探す購買が同じデータに混ざります。

STEP2|問い合わせ前の対象者を、同意を得て観察する

本当に「問い合わせ前」の行動を知りたいなら、匿名訪問者を特定しようとするのではなく、ターゲット条件に合う調査参加者を募集します。

第三者パネル、業界ネットワーク、調査会社などを利用し、実際の検討課題または現実に近い比較タスクを設定します。

参加者には検索のたびに、

  • 入力した検索語・AIへの質問
  • 開いた情報源
  • 知りたかったこと
  • 分かったこと
  • まだ不安なこと
  • 次にした行動

を記録してもらいます。

可能なら画面共有や検索日記を併用し、後から記憶だけで再現する調査に偏らないようにします。

STEP3|検索語を「テーマ」ではなく「判断質問」で分類する

「MA」「SEO会社」といった単語だけでは、なぜ検索したかが分かりません。

検索語・AIへの質問を、次のような判断質問へ分類します。

  • 自社に向いているか
  • 他社と何が違うか
  • いくらかかるか
  • どのくらいで導入できるか
  • どんな会社が使っているか
  • 失敗条件や注意点は何か
  • 評判は悪くないか
  • 社内でどう説明するか

この分類にすると、SEOキーワード一覧をそのまま記事企画へ移すのではなく、買い手の判断に必要なのに答えがない質問を発見できます。

STEP4|Google検索とAI検索の両方で「見える情報」を記録する

2026年のHubSpot Japan調査では、生成AI・AI検索利用者の50.3%が候補となる商品・サービスの洗い出し、47.1%が各社の特徴・違いの整理、39.2%が比較表作成にAIを利用していました。

一方、AIで得た情報を社内説明や稟議に使用した人のうち48.3%は、自分で事実確認や加筆修正をしていました。

したがって、AI検索の調査では「自社名が出たか」だけを見ません。

どの質問で候補が出るか、何を比較軸として説明されるか、どの情報源を根拠としているか、その後に参加者が公式サイトや第三者情報へ確認に行くかまで記録します。

STEP5|自社サイトに入った後の行動とつなぐ

アクセス解析では、入口ページから料金、事例、比較、FAQ、会社情報、問い合わせまでの回遊を確認します。Search Consoleでは、自社が表示・クリックされた検索語を確認します。

ただし、「料金ページを見た人は問い合わせ意向が高い」といった因果関係までは断定しません。

ページ閲覧は関心を示す材料にはなりますが、ページを見たから問い合わせたのか、もともと意向が高い人が閲覧したのかは、アクセスログだけでは切り分けられないためです。

STEP6|問い合わせ直後に「何を調べたか」を短く聞く

フォーム完了後や初回商談前に、任意回答で次の項目を確認します。

  • 当社を最初に知った場所
  • 問い合わせ前に確認した情報源
  • 比較した会社・サービス
  • 特に確認した情報
  • 問い合わせ前に解決しなかった疑問
  • AI検索・生成AIを利用したか

この回答を「最後に流入したチャネル」だけで集計せず、参加者調査で確認した探索パターンと照合します。

STEP7|「未解決不安」をコンテンツ企画へ戻す

最終成果物は、きれいなカスタマージャーニー図ではなく、未解決情報の一覧です。

各質問について、

  • 検索された頻度
  • 意思決定への重要度
  • 自社情報で解決できたか
  • 競合や第三者には情報があるか

を並べます。

改善優先度は、たとえば「検索頻度 × 判断への重要度 × 未解決度」をそれぞれ1〜5で評価し、同じ基準で並べる方法があります。

これは市場共通の指標ではなく、コンテンツ企画の着手順を揃えるための運用フレームです。

BtoB見込み客の未解決質問を検索頻度、判断の重要度、未解決度で評価し、コンテンツ改善の優先順位へ変換する図

検索数だけでなく、意思決定への重要度と未解決度を合わせて見ることで、問い合わせ前に不足している情報から改善できます。

料金・事例・評判・比較・AI検索は「次の行動」とセットで見る

料金を見た、事例を見た、口コミを見たという事実だけでは、コンテンツ改善には足りません。

その情報を見たあとに何をしたかまで確認します。

確認情報 見たいポイント 次の行動で確認すること
料金・費用 金額、追加費用、契約条件、見積もり条件 候補から外したか、見積もりへ進んだか
導入事例 自社と近い業界・規模・課題・成果 適合性への不安が減ったか
比較情報 機能、支援範囲、体制、導入期間、向き不向き 候補社数が減ったか、比較軸が増えたか
評判・第三者情報 実績の裏付け、悪評、専門性、客観評価 公式情報を再確認したか
AI検索 候補抽出、違い整理、要約、比較表 出典確認や企業名再検索へ進んだか

HubSpot Japanの調査では、信頼できる情報として「価格・追加費用・契約条件が明瞭な情報」が60.6%で最上位、提供会社の導入事例が57.0%でした。一方、AIがまとめた情報は37.8%で10項目中最下位でした。

AIが利用されていないわけではありません。AIで候補や比較軸を整理したあと、別の情報で確かめる行動まで含めて見る必要があります。

調査シートには9項目を残す

調査データを記事企画へ転用するため、1回の探索行動ごとに次の項目を残します。

項目 記録例
日時・検討段階 4月10日/候補比較
担当者の役割 利用部門の選定担当
検索語・AI質問 「○○ 比較 料金」
使用チャネル Google/ChatGPT/比較サイト
開いた情報源 公式サイト、第三者記事、口コミ
知りたかったこと 自社規模での費用感
分かったこと 基本料金は確認できた
未解決だったこと オプション費用が不明
次の行動 別企業を検索/AIで比較/問い合わせ

この形式なら、「検索回数が多いキーワード」ではなく、問い合わせ前に何度も未解決のまま残る質問を抽出できます。

調査結果をコンテンツ企画へ戻すときの判断基準

調査後は、検索数の多いテーマから記事を書くのではなく、次の4条件で優先順位を決めます。

  1. 検討中に繰り返し確認されている
  2. 候補から外す・残す判断に関係している
  3. 自社サイトでは答えが不足している
  4. 営業へ聞かなければ分からない情報になっている

たとえば料金を公開できない場合でも、「個別見積もり」とだけ書くのではなく、価格が変わる要因、最低契約条件、標準的な支援範囲、見積もり時に必要な情報は説明できます。

事例を匿名にする場合も、業種、企業規模、課題、導入範囲、期間、結果を揃えれば、比較材料として使いやすくなります。

調査の目的は、すべての見込み客を問い合わせへ誘導することではありません。

自社に合わない人が早い段階で判断できる情報も必要です。向き不向きや制約まで公開すると、相談後のミスマッチを減らし、営業が個別事情の確認に時間を使いやすくなります。

問い合わせ前検索調査で避けたい5つの誤り

第一に、Search Consoleの検索語を「問い合わせ前の全検索」とみなさないことです。自社が検索結果へ表示された範囲しか見えません。

第二に、業界平均の調査結果をそのまま自社顧客の行動順序に当てはめないことです。商材の新規性、価格、リスク、検討役割によって行動は変わります。

第三に、自社担当者がAIへ入力した質問を「顧客が実際に聞いている質問」と扱わないことです。AI定点観察は検索環境の確認であり、実際のユーザー行動は参加者調査で補います。

第四に、問い合わせに至った人だけで調査を終えないことです。可能であれば、比較途中で候補から外した人や第三者パネルも含め、離脱理由を確認します。

第五に、一つの接点と問い合わせの因果関係を断定しないことです。BtoBでは複数人・複数接点で検討されるため、「どのページが受注を生んだか」だけでなく、「どの判断課題の解消に使われたか」を確認します。

今回の情報から判断できる範囲

公開調査からは、BtoB買い手が売り手への接触前に情報収集や比較を進め、料金、事例、比較、第三者情報、AIなど複数の情報源を使っている傾向を確認できます。

一方、業界、商材価格、購買の新規性、会社規模、関与者によって行動は変わります。

自社の見込み客について「料金→事例→評判→問い合わせの順番で動く」と一般化するのではなく、順序そのものを調査してください。

公開調査は仮説づくりに使い、自社のコンテンツ改善は、自社の対象顧客で確認した行動を根拠に決めるのが安全です。

まとめ

BtoBの問い合わせ前検索行動を把握するには、自社サイトのログだけでは足りません。見込み客は問い合わせ前に候補を探し、比較し、料金や事例を確認し、第三者情報やAIも使いながら不安を減らしていきます。

調査では、参加者の検索日記・タスク観察、検索結果とAI回答の定点観察、Search Console・アクセス解析、問い合わせ直後のアンケート、営業・CRMを同じ項目でつなぎます。

そして「何を検索したか」だけでなく、「何を知りたかったか」「何が解決しなかったか」「次に何をしたか」を残してください。

最終的にコンテンツ企画へ戻すべきなのは、検索キーワードの一覧ではなく、見込み客が問い合わせ前に解消できていない判断課題の一覧です。

そこから料金、事例、比較、FAQ、第三者評価、AI検索で参照される情報を整えることで、問い合わせ前の見えない検討を、改善可能なコンテンツ課題へ変えられます。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

  • HubSpot Japan「日本のBtoB購買に関する意識・実態調査2026」2026年7月16日。直近12カ月以内にBtoB商材の比較・選定・稟議・承認・決裁等に関与した1,573名を対象。
  • イントリックス株式会社「【製造業】新・問い合わせを起こすまでのユーザー行動調査2025」。製造業の製品選定・購買プロセスに主体的に関わる200名を対象。
  • 株式会社Cone「【調査】BtoBサイト訪問者はなにを見て問い合わせを決めているのか?」2025年10月。問い合わせ・資料請求経験者221名を対象。
  • Lüders, M., Klarmann, M., Wouters, M., & Gerlach, A. “How online information search behavior and the role of tacit knowledge differ across clusters of purchase situations.” Journal of Purchasing and Supply Management, 29(4), 2023. DOI: 10.1016/j.pursup.2023.100862.
  • Purmonen, A., Jaakkola, E., & Terho, H. “B2B customer journeys: Conceptualization and an integrative framework.” Industrial Marketing Management, 113, 2023. DOI: 10.1016/j.indmarman.2023.05.020.
  • Lundin, L., & Kindström, D. “Digitalizing customer journeys in B2B markets.” Journal of Business Research, 157, 2023. DOI: 10.1016/j.jbusres.2022.113639.

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