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海外オウンドメディア参考事例|BtoB・BtoCの戦略を国内事例と比較

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
海外オウンドメディア事例のイメージ

海外のオウンドメディアを参考にするとき、記事のテーマやデザインばかりに目が向いていないでしょうか。自社との違いが見えてくるのは、「誰に何を届け、読んだあとにどんな行動へつなげているか」に注目したときです。たとえば、マーケティングや営業の情報を発信するHubSpotや、決済関連の情報を提供するStripeでは、業務の課題に応じた情報と、無料ツールや試用への案内が確認できます。飲料ブランドのRed Bullでは、スポーツやイベントを楽しむための接点が用意されています。

海外5事例と国内3事例を並べてみると、違いは、企業の所在国だけでは説明できません。媒体の目的と、事業へのつなぎ方による差のほうが大きく表れています。この記事では、各社の公式サイトで確認できる情報構成と導線を比べながら、自社に取り入れたい戦略を整理します。なお、取り上げる8事例は、公開サイトの構成と導線が確認できた参考事例です。売上や問い合わせの増加といった成果は確認できていないため、「成功事例」とは断定せず、成果の大きさを順位づけすることもしていません。

海外事例から学べるのは、読者の目的に合う情報と導線の組み合わせ

海外のオウンドメディアには、業務の疑問に答えてサービスの利用へ案内する媒体もあれば、趣味や文化を楽しむ場を提供する媒体もあります。自社の参考にするなら、記事の数よりも「読者の目的」「情報の形式」「次の行動」をそろえて比べたほうが、判断しやすくなります。目的やテーマの決め方は、メディア戦略・コンテンツ企画の基本で整理しています。

この記事では、企業が自社で管理して発信するブログ、ガイド、ニュースサイトなどを、オウンドメディアとして扱います。SNSは、記事や動画を届ける接点として区別します。

海外事例の全体像は次のとおりです。表の導線は、2026年10月20日時点の各社公式サイトで確認できたものです。

海外事例読者・利用場面主なコンテンツ確認できる次の行動
HubSpot Blogマーケティング・営業・顧客対応などの業務記事、動画、音声番組、レポートやガイドメール購読、無料ツール、無料利用
Stripe ガイドとリソース決済・請求・税務などに関する情報収集ガイド、レポート、計算ツール購読、試用、営業への問い合わせ
Mailchimp Resources事業の立ち上げから成長、マーケティング施策の実行記事、ウェビナー、ダウンロード資料メール購読、無料トライアル、営業への相談
Red Bullスポーツ・競技・イベントを楽しむ場面記事、映像、選手情報、イベント情報映像視聴、イベント情報の確認、一部イベントの参加登録
Airbnb Newsroom記者による企業・サービス情報の確認ニュース、メディア向け素材関連情報・素材の確認、問い合わせ先へのアクセス

ここで押さえておきたいのは、法人向けのBtoB媒体でも、すべての読者がすぐに商談を望んでいるわけではないことです。反対に、個人向けのBtoC企業が運営している媒体でも、読者が消費者とは限りません。この違いを考える材料になるのが、Airbnb Newsroomです。

海外BtoBの3事例:業務の理解から実行までを支える構成

HubSpot、Stripe、Mailchimpに共通して参考になるのは、解説記事だけで終わらず、資料・ツール・ウェビナーなどを組み合わせている点です。知識を得たい場面と、実際に業務を進めたい場面とで、読者が必要とする情報の形は違います。3社はそれぞれに合わせて、異なる形式の情報を用意しています。

HubSpot:職務別の情報から無料ツールへ案内

マーケティング・営業・顧客対応などの情報を発信するHubSpot Blogは、ブログをMarketing、Sales、Service、Websiteに分けています。担当している業務から情報を探せるほか、トピック別の入口や、ニュースレターの購読、レポートやガイドのダウンロードの入口もあります。

形式は記事だけではありません。動画ライブラリ、音声番組のネットワーク、レポートやガイドのダウンロードも用意されています。サイト上では、メール購読に加えて、無料利用や無料ツールへの案内も確認できます。

参考にしたいのは、記事と製品紹介のあいだに、読者が試せる接点を置いていることです。自社に取り入れるなら、記事の最後に一律で問い合わせを置くのではなく、その場で使えるテンプレートや確認ツールを用意できないか検討してみてください。

ただし、公開されているメニューから分かるのは、情報と導線の構成までです。無料ツールが商談をどれだけ生んでいるのかは分かりません。

Stripe:決済関連の課題をガイドとツールで補完

決済関連のガイドや製品情報を提供するStripeの「ガイドとリソース」は、資金管理、税務、請求書発行・請求管理などに分類されています。日本のインボイス制度に対応するガイドも含まれています。

解説に加えて、売上税・VAT・GSTの計算ツールのように、入力して使う形式のコンテンツがあるのも特徴です。サイトには購読フォームと、「今すぐ試す」「営業にお問い合わせ」という案内があります。

国内企業が参考にできるのは、商品名だけで情報を整理せず、顧客の業務上の課題を入口にする方法です。たとえば請求業務に関するサービスなら、機能の紹介とは別に、担当者が処理の方法を確かめるためのガイドを設けるイメージです。

また、海外企業の事例であっても、日本語や国内の制度に対応した情報が含まれています。「海外の手法を日本語に訳す」だけではなく、読者が働く制度や業務の条件に合わせる視点が欠かせません。

Mailchimp:事業段階と施策の両方から情報を探せる構成

マーケティング施策や事業運営の情報を提供するMailchimp Resourcesは、「事業段階」と「施策」という2つの入口を用意しています。事業段階では立ち上げ準備、運営、成長に、施策ではメール、SNS、顧客管理、ECなどに分かれています。

記事、ダウンロード資料、録画ウェビナーが用意されています。メール購読、無料トライアル、営業への相談も案内されています。

この構成は、同じ施策名で調べている読者でも、必要な情報は違うということを考える材料になります。これからメール配信を始める担当者と、すでにある配信を改善したい担当者とでは、読むべき記事が違うということです。

自社サイトで試すなら、既存の記事を「何の話か」だけでなく、「どの段階の読者が使うか」でも整理してみてください。記事を増やす前に、読者が自分に合う記事を選べる状態かを確かめるのが先です。

海外BtoCの2事例:購入以外の接点と、媒体ごとの対象読者

BtoBとBtoCのオウンドメディアの役割の違い

BtoBとBtoCの役割の違い

企業が運営するメディアの目的は、商品やサービスの購入を促すことだけではありません。Red Bullは、競技や映像を楽しむ接点を用意しています。一方、Airbnb Newsroomは、Airbnbが運営する、記者が企業やサービスの情報を確認するための場です。

Red Bull:商品説明より競技・映像・イベントを前面に配置

Red Bullの公式サイトには、飲料のメニューと並んで、イベント、選手、Red Bull TVの入口があります。記事ではマウンテンバイク、スケートボード、F1、Esportsなどを扱い、映像やライブイベントにもアクセスできます。

イベント情報には開催地や競技が示され、一部には参加登録の受付表示があります。一方で、購入ボタンやニュースレター登録は見当たりませんでした。

この事例を参考にするときは、商品と直接関係しない記事を増やすこと自体が目的にならないよう、注意が必要です。競技や出演者を継続して扱うには、素材の確保、撮影、権利の確認、更新の担当が必要になるためです。

国内企業であれば、まず自社が継続して取材・発信できる分野を確かめると、取り組む企画を絞り込めます。動画やイベントへの展開は、その分野と制作体制が固まってから検討する順序が現実的です。

Airbnb Newsroom:旅行者向けの予約媒体ではなく記者向けの情報源

Airbnb Newsroomは、サイト上で記者向けの媒体であることを明示しています。企業情報、メディア向け素材、製品発表、連絡先の入口があり、ニュースは会社、宿泊、体験、製品、政策などのトピックで探せます。

宿泊や体験に関するトピックも並んでいますが、予約ボタンは見当たりませんでした。旅行に関するトピックがあることと、旅行者の予約を主な目的とした媒体であることは別の話です。

自社でも、顧客向けの記事、報道関係者向けのニュース、採用候補者向けの記事を、同じ成果指標で評価しないほうが、改善する対象を判断しやすくなります。最初に、その媒体が誰に使ってもらう場所なのかをはっきりさせておくことが前提です。

国内事例との違いは、国よりも媒体の目的に表れる

国内外の事例を目的で比べる考え方

国ではなく目的で比べる

今回の事例比較では、「海外は実用情報、国内は読みもの」といった区別は当てはまりません。海外にも関心のある分野を楽しむ媒体があり、国内にも販売や採用につながる案内があります。読者・形式・導線を同じ軸で並べてみると、参考にする部分が具体的になります。BtoC企業の事例は、BtoCオウンドメディアの事例比較も参考になります。

比較する事例共通している点確認できる違い自社で考える論点
HubSpotとサイボウズ式法人向け事業に関係する情報を発信HubSpotは職務別情報と無料利用、サイボウズ式は組織・働き方などのテーマと公式・採用ページへの案内業務の実行を支えるか、テーマへの理解を深めるか
Red Bullと北欧、暮らしの道具店記事以外に映像・音声などの接点があるRed Bullは競技・映像・イベント、北欧、暮らしの道具店は読みものと買いものが同一サイトに並ぶコンテンツと販売をどの距離に置くか
Airbnb Newsroomとmercan企業や事業に関する情報を掲載Airbnb Newsroomは記者向け、mercanは求人一覧や採用サイトへの案内が中心記者と採用候補者のどちらに何を伝えるか

サイボウズ式との比較:実務支援とテーマへの理解

サイボウズ式は、「新しい価値を生み出すチームのメディア」と掲げ、会社・組織、働き方・生き方、家族と仕事などを扱っています。特集やコラムがあり、製品の訴求は前面に出ていません。

HubSpotと比べると、同じ法人向け事業に関係する媒体でも、読者に提供する体験が異なることが分かります。業務を進めるための具体的な手段を届けるのか、チームや働き方について考える材料を届けるのか、という違いです。

自社がどんな関係を読者と築きたいかによって、選ぶ企画も変わってきます。製品の使い方を知りたい読者に理念だけを届けたり、テーマへの関心から訪れた読者に試用を繰り返し迫ったりしないよう、設計の段階で考えておきたいところです。

北欧、暮らしの道具店との比較:コンテンツと販売の距離

北欧、暮らしの道具店は、通販サイトの中に記事、読みもの、ビデオ、ラジオ、特集を置いています。買いもののメニューと並んで、メルマガ、公式アプリ、SNSや音声配信への案内もあります。

Red Bullとの共通点は、記事以外の形式でも接点を設けていることです。違いは、サイト上での販売との距離にあります。北欧、暮らしの道具店では、コンテンツと商品を探す入口が同じサイトに並んでいます。

商品の販売を目的にしている国内企業なら、形式の多さよりも、読んだ人が商品を探すときに迷わないかどうかを参考にするとよいでしょう。ただし、記事からの購入率や継続購入への貢献は分かりません。

mercanとの比較:企業の発信でも読者は異なる

メルカリの企業・採用情報を伝えるmercanは、「メルカリの“いま”と“未来”を伝える」メディアです。会社・事業や職種の情報を扱い、働く理由を伝えるタグ、求人一覧、採用サイトへの案内が確認できます。

Airbnb Newsroomと同じ企業発信でも、mercanは、仕事や働く人の情報を知りたい採用候補者に向けた構成が中心です。企業の記事をただ増やすのではなく、「誰が何を確かめに来るのか」に合わせて、分類と案内を変える必要があります。

ここで挙げた違いは、国ごとの優劣や読者心理の差を示すものではありません。比べられるのは、選んだ媒体の情報構成と導線です。

自社に取り入れる戦略は、読者の目的と制作体制で選ぶ

自社に取り入れる戦略の選び方

目的と体制から選ぶ

海外事例を参考にするといっても、最初から動画・音声・ツールをすべて加える必要はありません。自社の読者が必要とする情報と、読んだあとの行動を一組にして設計し、そのうえで、継続して制作・更新できる形式を選びます。

次の表は、自社で戦略を選ぶための判断例です。

自社の状況参考になる事例先に取り入れる内容自社で確認する指標の例
読者の職務が複数に分かれるHubSpot職務別の入口と関連記事の整理分類ページから記事への遷移
制度や業務手順の説明が必要Stripe課題別ガイドと更新担当の設定ガイドから関連情報・試用への遷移
初心者と経験者が混在するMailchimp事業・実務段階別の案内段階別記事の閲覧と購読登録
継続して扱える趣味・文化があるRed Bullテーマを絞った連載や映像再訪、映像視聴、イベントへの遷移
コンテンツとECを接続したい北欧、暮らしの道具店読みものと買いものの入口整理商品ページへの遷移と購入
企業理解や採用を支えたいサイボウズ式、mercan組織・仕事・働く人の企画関連情報・求人ページへの遷移

実施する前に、次の項目を確認します。

  • 主に読んでほしい人と、その人が確認したい内容を決めた
  • 読了後に案内する行動を、記事の内容に合わせて決めた
  • 記事・動画・ツールの制作担当と更新担当を決めた
  • 制度や製品情報が変わった際の確認方法を決めた
  • 閲覧後の行動を確認する指標と集計方法を決めた

具体的に考えてみます。法人向けサービスの運営担当者がStripeを参考にするなら、いきなり計算ツールを開発する必要はありません。まずは、問い合わせで繰り返し聞かれる業務上の疑問をガイドにまとめ、関連するサービス情報へ案内するところから始められます。これは自社で試すための例であり、Stripeと同じ結果になるとは限りません。

優先したいのは、新しい形式を足すことより、既存の記事で読者の疑問が解決し、その後の選択肢が分かる状態をつくることです。担当者だけでは判断しにくいときは、営業や顧客対応の担当者に確認し、実際に寄せられた質問と記事の内容を照らし合わせる方法もあります。

まとめ

海外のオウンドメディアから学べるのは、企業名やコンテンツの規模ではなく、読者の目的に合わせた情報の構成です。HubSpot、Stripe、Mailchimpは、業務の理解や実行を支える形式を組み合わせています。Red Bullは競技・映像・イベントの接点を用意し、Airbnb Newsroomは記者向けという媒体の役割を明示しています。

国内事例と比べても、実用情報、テーマへの理解、買いもの、採用では、必要な情報と導線が異なります。まずは、自社と目的が近い事例を選び、既存記事の分類、提供する形式、読後の案内を並べてみると、先に改善する箇所を決めやすくなります。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

以下は各社公式サイトの情報です。内容・導線の対象時点は2026年10月20日です。各ページの公開日・更新日は確認できていません。売上や問い合わせなどの成果数値を比較するための資料ではありません。

  • HubSpot Blog — HubSpot。職務別・トピック別の分類、記事以外の形式、購読・無料利用・無料ツールへの案内を参照。
  • Stripe ガイドとリソース — Stripe。業務課題別の分類、国内制度に関するガイド、計算ツール、購読・試用・問い合わせへの案内を参照。
  • Mailchimp Resources — Mailchimp。事業段階別・施策別の分類、ウェビナー・資料、購読・トライアルへの案内を参照。
  • Red Bull 公式サイト — Red Bull。競技記事、映像、選手・イベント情報と、確認できた導線を参照。
  • Airbnb Newsroom — Airbnb。記者向けという対象読者の明示、ニュース分類、メディア向け素材を参照。
  • サイボウズ式 — サイボウズ株式会社。媒体のテーマ、特集・コラム、公式サイト・採用ページ、RSS・SNSへの案内を参照。
  • 北欧、暮らしの道具店 — Kurashicom inc.。読みもの・映像・音声と買いものの配置、メルマガ・アプリへの案内を参照。
  • mercan — 株式会社メルカリ。会社・職種別の情報、働く理由に関する記事、求人・採用サイトへの案内を参照。

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