[独自調査] Report ID: SBR-2026-006
公開日:2026年9月9日 著者:菊地 将
要旨
弊社が47,967社の企業Webサイトを分析したところ、事例関連ページへのリンクが確認できた企業は29.0%でした。さらに、その中から45社を実際に確認すると、成果数値の記載は20.0%、成果数値・導入期間・対象企業条件の3つすべてが揃っていたのは8.9%でした。
調査概要
- 対象:企業Webサイトの導入事例ページ
- 方法:独自企業データベース分析+実ページ確認
- サンプル:47,967社(データベース分析) + 45社(実査)
導入事例を比較するときは、「有名企業の事例か」「成果が大きいか」だけで判断するのではなく、業種・企業規模・導入前の課題・成果・導入期間や条件を分けて確認すると、自社に近い事例か判断しやすくなります。
ただし、事例ページに必要な情報がすべて書かれているとは限りません。弊社が47,967社の企業Webサイトを分析したところ、事例関連ページへのリンクが確認できた企業は29.0%でした。さらに、その中から45社を実際に確認すると、成果数値の記載は20.0%、成果数値・導入期間・対象企業条件の3つすべてが揃っていたのは8.9%でした。
この記事では、導入事例を見る側がどこを確認すればよいかを整理しながら、実際の企業サイトでは何がどこまで開示されているのかを調査データとともに解説します。
本記事は導入事例の見方に絞って解説しています。メディア全体の設計やコンテンツ企画について確認したい場合は、メディア戦略・コンテンツ企画の全体像も参照してください。
導入事例を見るときは5つの項目を確認する
導入事例を自社の判断材料として使うときは、次の5項目に分けて確認します。
| 確認項目 | 見る内容 | 判断したいこと |
|---|---|---|
| 業種 | 導入企業の業界・事業内容 | 自社と似た業務環境か |
| 企業規模 | 従業員数・拠点数・売上規模など | 導入体制や運用負荷が近いか |
| 導入前の課題 | 何に困っていたか | 自社と同じ問題を解決した事例か |
| 導入後の成果 | 数値・変化・改善内容 | どのような結果が出たか |
| 導入期間・条件 | 導入までの期間、体制、前提条件 | 自社でも同じ条件を再現できそうか |
一つの項目だけで判断するより、複数の条件を組み合わせて見る方が、自社との近さを判断しやすくなります。
特に成果数値を見る場合は、数字の大きさだけでなく、どのような企業が、どのような課題を持ち、どの条件で導入した結果なのかまで確認することが重要です。
事例関連ページへのリンクが確認できる企業は29.0%
弊社の独自企業データベースを分析したところ、観測できた47,967社のうち、Webサイト上に事例関連ページへのリンクが確認できた企業は13,927社、全体の**29.0%**でした。
- 観測企業:47,967社
- 事例関連URLが確認できた企業:13,927社
- 確認率:29.0%
ここで確認しているのは、あくまで「事例に関連するURLへのリンクが確認できるか」です。個別の詳しい導入事例が掲載されている割合ではありません。
実際にページを開いて確認すると、この違いが大きいことが分かります。
45社を実際に確認すると82.2%は一覧・関連ページだった
事例関連URLが確認できた13,927社から45社を無作為に抽出し、実際のページ内容を確認しました。
その結果、45社中37社、**82.2%**は個別の詳細事例ではなく、複数の実績や事例をまとめた一覧・関連ページでした。個別の詳細事例に直接到達できるURLだったのは8社、17.8%です。

そのため、検索結果やサイト内に「導入事例」「実績」と書かれたページがあるだけで、自社との比較に必要な情報が揃っているとは限りません。
まず、一覧ページなのか個別事例なのかを確認し、そのうえで業種・規模・課題・成果・条件を見ていきます。
成果数値が書かれていたのは20.0%、3条件が揃うのは8.9%
同じ45社の実査で、ページ内容を目視確認し、以下の基準で分類しました(一覧ページの場合は、ページ上に見える範囲で判定、個別ページへの深追いはせず)。
同じ45社について、ページ上で確認できる情報を分類しました。
| 確認項目 | 該当社数/45社 | 割合 |
|---|---|---|
| 対象企業の条件(業種・規模等)の記載あり | 18社 | 40.0% |
| 具体的な成果数値の記載あり | 9社 | 20.0% |
| 導入期間の記載あり | 6社 | 13.3% |
| 成果数値+導入期間の両方 | 5社 | 11.1% |
| 成果数値+導入期間+対象条件の3つすべて | 4社 | 8.9% |

成果数値が確認できたのは45社中9社でした。さらに、成果数値・導入期間・対象企業条件の3つすべてが確認できたのは4社です。
この20.0%と8.9%は、47,967社全体への推定値ではなく、今回実際に確認した45社の中での割合です。
導入事例を見るときは、書かれている情報だけで無理に判断せず、足りない条件を別ページや問い合わせで補う前提を持っておくと比較しやすくなります。
まず業種と課題が自社に近いかを見る
導入事例を探すときは、まず「自社と同じ業種か」「抱えていた課題が近いか」を確認します。
同じサービスを導入していても、業種によって業務フロー、顧客との接点、必要な社内体制は変わります。また、同じ業種でも、解決しようとしている課題が違えば参考にすべきポイントも変わります。
たとえば、同じ業界の事例でも、
- 新規顧客を増やしたい
- 業務時間を減らしたい
- 拠点ごとの運用を統一したい
- 採用数を増やしたい
- 問い合わせ後の対応を改善したい
では、見るべき成果や導入条件が異なります。
業種だけで「自社に近い」と決めず、導入前の課題までセットで確認します。
企業規模は事例ページ以外の情報も使って確認する
企業規模は、同じ施策を自社でも実行できるか考えるうえで重要な条件です。
弊社データベースで事例関連ページへのリンク確認率を従業員規模別に見ると、次のようになりました。
| 従業員規模 | 母数 | 事例関連ページあり | 確認率 |
|---|---|---|---|
| 1〜10名 | 13,321社 | 4,490社 | 33.7% |
| 11〜50名 | 542社 | 211社 | 38.9% |
| 51〜200名 | 700社 | 244社 | 34.9% |
| 201〜1,000名 | 534社 | 147社 | 27.5% |
| 1,000名以上 | 207社 | 48社 | 23.2% |

この数字は「企業規模ごとの事例内容の詳しさ」を示すものではなく、事例関連ページへのリンクが確認できた割合です。
個別の事例ページで企業規模が分からない場合は、導入企業の会社概要、拠点数、従業員数なども確認します。
たとえば、10名規模の会社と1,000名規模の会社では、同じシステムや支援を利用していても、導入に必要な担当者数、社内調整、対象範囲が大きく異なる場合があります。
成果は「数字」だけでなく前提条件まで確認する
成果数値が掲載されている事例は分かりやすい一方、数字だけを切り取って比較すると、自社で再現できるか判断しにくくなります。
たとえば「問い合わせ数が2倍」と書かれていても、確認したいのは数字だけではありません。
- どの期間を比較しているか
- 導入前はどのような状態だったか
- 何を実施した結果なのか
- 対象範囲はどこまでか
- 他の施策も同時に行っていないか
まで分かると、成果の意味を判断しやすくなります。
今回の45社実査では、具体的な成果数値が確認できたのは20.0%でした。成果が定性的に説明されている場合は、「良くなった」という表現だけでなく、何がどう変わったのかを確認します。
導入期間と導入条件まで見ると再現性を判断しやすい
今回の45社実査では、導入期間の記載が確認できたのは13.3%でした。
導入期間は、「どのくらいで成果が出るか」だけを見るための情報ではありません。導入までに必要な準備や社内体制を考える材料になります。
確認したいのは、たとえば次のような内容です。
- 導入開始から運用開始までの期間
- 社内で必要だった担当者や部門
- 初期設定やデータ移行の有無
- 対象店舗・拠点・部署の数
- 既存システムとの連携条件
- 成果を確認した期間
成果数値・導入期間・対象企業条件がすべて確認できた事例は、今回の45社では8.9%でした。
事例ページだけで条件が分からない場合は、サービスページ、FAQ、資料、問い合わせなども使って確認します。
業種によって事例関連ページへのリンク確認率は12.8%〜57.2%まで差がある
47,967社のデータを業種別に見ると、事例関連ページへのリンク確認率には差がありました。

観測対象200社以上の業種では、総合工事業57.2%、IT・DX・マーケティング52.7%だった一方、ファッション17.6%、食品12.8%でした。
この差は、各業種の事例内容の質や成果の出やすさを示すものではありません。Webサイト上で事例関連ページへのリンクが確認できた割合の違いです。
事例を比較するときは、「この業界では事例が少ないから実績がない」と決めつけず、業種によってWeb上での情報の出し方に差があることも考慮します。
情報が足りない事例は別ページと問い合わせで補う
導入事例に必要な情報がすべて書かれていない場合でも、比較を止める必要はありません。
まず業種と課題から候補を絞り、不足する情報を別の場所で補います。

たとえば次のように確認できます。
| 足りない情報 | 補う場所の例 |
|---|---|
| 企業規模 | 導入企業の会社概要、採用情報、拠点情報 |
| 成果の詳細 | 個別事例、プレスリリース、資料、商談 |
| 導入期間 | サービスページ、FAQ、問い合わせ |
| 導入条件 | 料金ページ、対象企業条件、FAQ、問い合わせ |
| 運用体制 | 導入フロー、支援範囲、商談 |
事例ページだけで比較を完結させようとせず、「事例で候補を絞る」「不足情報を補う」と役割を分けると判断しやすくなります。
自社の事例ページを見直すなら、まず不足情報を特定する
自社が導入事例を発信する側であれば、この記事で整理した業種・企業規模・導入前の課題・成果・導入期間や条件の5項目を使い、読み手が比較に必要な情報のうち何が不足しているかを点検します。
ここでは「開示不足を見つける」ことまでを扱います。実際に事例ページを新規制作・改修する場合は、対象企業、選定理由、取り組み内容、成果数値の測定条件、公開承認、更新日まで設計が必要です。具体的な掲載項目・取材質問・制作フローは、法人向け導入事例ページの作り方で詳しく解説しています。
また、事例ページだけを整えるのではなく、サービス説明や問い合わせ導線とのつながりも確認します。
弊社データベースでは、事例関連ページへのリンクが確認できた企業13,927社は、確認できなかった企業34,040社と比べて、CTAとサービス説明ページへのリンク確認率も高い結果でした。
- CTA:事例あり企業76.6%(10,660/13,927)/事例なし企業45.9%(15,602/34,040)
- サービス説明ページ:事例あり企業74.4%(10,361/13,927)/事例なし企業41.9%(14,267/34,040)

これは相関関係であり、事例ページを作ればCTAやサービス説明ページが増えるという因果関係を示すものではありません。
事例関連ページの有無は、その企業がWeb上でどれだけ多角的に情報発信をしているかを映す代理指標になっている可能性があります(相関関係であり、因果関係を示すものではありません)。
自社サイトを見直す場合は、事例単体だけでなく、事例からサービス理解や問い合わせへ進める状態になっているかも確認します。
公開した導入事例がAI検索上でどのように認識・表示されるかまで確認したい場合は、AI検索に表示される導入事例・実績情報の監査方法も参照してください。
まとめ
導入事例を比較するときは、業種・企業規模・導入前の課題・成果・導入期間や条件の5項目に分けて確認すると、自社に近い事例か判断しやすくなります。
弊社が47,967社の企業Webサイトを分析したところ、事例関連ページへのリンクが確認できた企業は29.0%でした。さらに45社を実際に確認すると、82.2%が一覧・関連ページで、具体的な成果数値の記載は20.0%、成果数値・導入期間・対象企業条件の3つすべてが揃っていたのは8.9%でした。
事例ページだけで必要な情報が揃わない場合は、まず業種と課題で候補を絞り、企業規模、成果、導入期間、条件を会社概要やサービスページ、資料、問い合わせで補います。
自社の事例ページを見直す場合も、読み手が同じ5項目を確認できるかを基準にすると、比較判断に使いやすい事例へ整理できます。
参考文献・出典
この記事で参照した情報を確認できます。
- 弊社独自企業データベース(観測時点:2026年9月4日、観測対象47,967社、事例関連URL確認企業13,927社)
- 弊社実査(2026年9月9日、事例関連URL確認企業から無作為抽出した45社を目視確認)
‹ 親記事: メディア戦略・コンテンツ企画とは?ゴール設定からテーマ選定・編集方針までを体系的に整理
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