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オウンドメディア運営は内製か外注か?企業の体制構築、判断基準と進め方

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:基礎知識オウンドメディアオウンドメディア集客

オウンドメディアに取り組もうとする企業がまず突き当たるのは、テーマ選定や記事構成の技術ではなく「自社で作るのか、外部に任せるのか」という体制の意思決定です。2026年に公表された調査では、B2B企業のオウンドメディア外注比率が63.9%と前年から約6ポイント低下し、内製化が進んでいることが分かりました。一方で別の調査では、内製化を希望する企業の半数近くが「マーケティング専任者を採用する予定がないから」を内製化しない理由に挙げており、内製と外注のどちらが良いかは一概には言えない状況がうかがえます。今回、内製・外注の切り分けを扱う解説記事と、外注できる業務範囲を整理した解説記事の2本を分析したうえで、公的統計や業界調査を追加で確認し、内製・外注・ハイブリッドの判断基準、必要な役割の全体像、体制構築の進め方、予算配分の考え方を整理しました。

この論点に関連して、「オウンドメディア集客完全ガイド」もあわせてご覧ください。

この論点に関連して、「オウンドメディアとは?意味・重要性・運営の全体像を企業担当者向けにやさしく整理」もあわせてご覧ください。

なぜ「内製か外注か」で迷う企業が増えているのか

コンテンツマーケティング・アカデミー(株式会社日本SPセンター運営)が2025年11月〜2026年1月に実施した調査(B2B36名・B2C29名、合計65名対象)によると、B2B企業のオウンドメディアの外注比率は63.9%で、前年調査から約6ポイント低下しました。同調査は、企業が「自社でコントロールできる基盤」を重視し始めていることを背景として挙げています(出典:コンテンツマーケティング・アカデミー調査)。一方、B2C企業では外注比率が75.9%と前年から約6ポイント上昇しており、内製化の流れはB2BとB2Cで方向性が異なっている点にも注意が必要です。

内製化を進める企業が増えている一方で、内製に踏み切れない企業も少なくありません。ナイル株式会社がマーケティング担当者506名を対象に2023年11月に実施した調査では、「外注がメイン(一部内製)」が37%、「内製がメイン(一部外注)」が26.7%、「すべて内製化」が24.5%という内訳でした。内製化を希望する担当者は約60%にのぼる一方、内製化したい理由の1位は「社内に人的リソースがあるから」(64.1%)、内製化したくない理由の1位は「マーケティング専任者を採用する予定がないから」(48.9%)でした(出典:ナイル株式会社調査)。つまり、内製化の可否を分けているのは施策への理解度よりも、社内の人員をどう確保するかという問題だと考えられます。

この背景には、採用市場そのものの厳しさもあります。東京商工会議所の調査では、中小企業の52.4%が人員を「不足」と回答しており、総務省「労働力調査」でも小規模企業の雇用者数は減少傾向にあるとされています(出典:リクルートワークス研究所の記事が引用する東京商工会議所調査・総務省統計)。生産年齢人口(15〜64歳)も1995年の約8,700万人から2025年には約7,200万人まで減少しているとみられ(出典:同記事が引用する人口推計)、マーケティング専任者を新たに採用すること自体のハードルが上がっている点は、体制を検討するうえで踏まえておくべき前提です。

内製・外注・ハイブリッド、判断基準はどこにあるか

内製と外注の切り分けを扱う解説記事では、判断の軸を「社内リソース(人手と知見の有無)」と「自社ならではの話をどれだけ出せるか」の2軸で整理しています。この記事は、戦略設計・目的やKPIの設計、自社の経営者や現場が語る一次情報の提供はどれだけ外注が進んでも社内に残すべきコア業務であり、構成作成や記事執筆、編集・校正、デザインといった手順が決めやすく成果物の基準をそろえやすい業務は外注に向いていると整理しています。「目的と語る中身を外注に預けると、契約終了とともに発信も資産も失われる」という指摘は、体制設計における一つの重要な視点です。

外注する業務範囲を決めた後に、戦略・制作・SEO・AIO・分析・料金などで支援会社を比較する場合は、オウンドメディア運営代行会社比較を参照してください。

もう一方の解説記事では、この考え方を一歩進め、「完全内製」でも「丸投げ外注」でもない、戦略判断と一次情報の提供は自社が担い、制作実務とSEO・AIOの設計は外部パートナーに委ねるという体制のあり方を提案しています。この記事では、月10本規模のコンテンツを完全に内製化しようとすると月間200時間程度の工数がかかるとされており、これをそのまま自社の担当者だけで担おうとすると、前述の人員不足の状況とも重なって現実的でないケースが多いと考えられます。

2記事を踏まえると、内製・外注・ハイブリッドの判断は「すべてを内製できるか」ではなく、「発信の目的設計と自社にしか語れない情報の提供を、継続して担える体制が社内にあるか」を起点に考えるのが実務的です。この部分を担える人員が確保できるなら、記事の執筆・編集・デザインといった実務は外部パートナーに委ねるハイブリッド型が、多くの企業にとって無理のない選択になります。逆に、目的設計を担う担当者すら確保できない場合は、まず社内に責任者を1名置くところから体制づくりを始める必要があります。なお、更新本数の規模別にどの程度の人数・コストが必要になるかという具体的な試算は、本記事の範囲を超えるため、体制の人数とコストを詳しく比較する別記事に譲ります。

運営代行会社を変更する場合は、オウンドメディア運営代行会社を乗り換えるときの引き継ぎ手順でCMS・記事・画像・分析データ・権利・進行案件を移す手順を確認できます。

すでに運営代行会社と契約している場合は、事業成果・検索成果・制作品質・公開後改善・次期計画をそろえて、オウンドメディア運営代行会社の契約更新を判断する方法で更新可否を評価できます。

必要な役割・スキルの全体像

体制に必要な役割は、社内に残す役割と外部パートナーに委ねられる役割に分けて考えると整理しやすくなります。

記事制作を外注する場合は、企画・取材・SEO・校正・画像・入稿・修正範囲をそろえて評価する記事制作代行の見積を比較する方法も参照してください。

社内に必要なのは、運用方針とKPIを決め、外部パートナーとの窓口となり、自社の商品知識や経営者の考えといった一次情報を提供する「責任者」の役割です。この役割は正社員である必要はなく、業務委託の形で確保する企業もあります。重要なのは、この役割を複数人の兼任のまま曖昧にせず、最終的な判断と情報提供の責任を持つ担当者を明確にすることです。

外部パートナーに委ねやすいのは、記事の構成作成、執筆・取材、編集・校正・入稿、デザイン・アイキャッチ制作、SEO・AIOの技術的な設計といった、成果物の基準をそろえやすい実務です。外注先には、クラウドソーシングの個人からフリーランス編集者、記事制作会社、戦略設計から一括で対応するコンテンツマーケティング支援会社まで複数の類型があり、費用感もクラウドソーシングの1本数千円から、支援会社への月20万〜80万円まで幅があります。自社が持つコア業務の範囲が狭いほど、より上流の戦略設計まで任せられる支援会社型のパートナーが必要になり、コア業務を厚く持てるほど、実務だけを任せる制作会社型で足りるようになります。

なお、AIツールの活用も広がっており、前出の調査ではB2B企業の29.2%がテキスト生成AIツールを導入し、アクセス解析ツールに次ぐ主要ツールとして定着しつつあるとされています。ただし、AI活用はあくまで制作実務を補助する位置づけであり、戦略判断や一次情報の提供という社内に残すべきコア業務の代替にはならない点には注意が必要です。

体制構築の進め方——いきなり完成形を目指さない

体制は最初から完成形を目指す必要はありません。内製・外注の切り分けを扱う解説記事は、体制構築を「伴走型でプロ主導のもと品質と成果を作る」段階から始め、次に「一部の記事制作や簡単なリライトを社内で実施する」段階、最終的に「企画やディレクションも社内へ移行する」段階へと、3段階で進める考え方を示しています。もう一方の解説記事も、①発信目的とKPIの決定、②社内に残すコアと外注範囲の線引き、③範囲に合う外注先タイプの選定、④初回ヒアリングで自社の背景を理解してもらう、⑤制作と改善サイクルを一緒に回す、という順序を提案しています。

すでに外注運営しているメディアを内製へ切り替える場合は、契約・権利・記事素材・権限・編集基準・KPI・育成までを引き継ぐ必要があります。「オウンドメディアを外注から内製へ移行する方法」で90日の移行手順を確認できます。

両記事に共通しているのは、いきなり全業務を内製化・外注化するのではなく、まず目的とコア業務の線引きを決め、外部パートナーとの伴走を通じてノウハウを社内に蓄積しながら、段階的に体制を移行させるという考え方です。定例の編集会議などで、キーワード選定の理由や構成の意図といった戦略的な背景を外部パートナーと共有する場を設けることが、実践的なノウハウを社内に残すうえで有効とされています。前述のとおり採用市場が厳しく、専任のマーケティング人材をすぐに確保できるとは限らない企業が多いことを踏まえると、この段階的な進め方は多くの企業にとって現実的な選択肢だと考えられます。

予算配分の優先順位

コンテンツマーケティング・アカデミーの調査では、B2B・B2Cともに年間予算「100万円未満」が最多(それぞれ41.7%・41.4%)で、500万円未満までの企業で全体の約7割を占めています。一方でB2Bでは年間1000万円以上と回答した企業も約30%あり、予算規模の二極化が進んでいることがうかがえます。予算増加の意向については、B2B・B2Cともに「変化なし」が7割以上を占めており、多くの企業が今の予算規模の中でやりくりをしていく前提で体制を考える必要があることが分かります。

運営代行会社を選定する段階では、制作範囲・完成条件・分析・権限・費用を同じ基準で評価するオウンドメディア運営代行の提案書を比較する方法も参照してください。

限られた予算の中での優先順位としては、まず外注では代替しにくい「目的設計・KPI設計・一次情報の提供」を担う社内の責任者の確保にリソースを割き、次に記事制作や編集、デザインといった実務にあたる外部パートナーへの予算を配分するという順序が無理のない考え方です。外注費用の相場は、記事制作のみであれば月10万〜30万円程度、戦略設計から効果測定まで任せるフル運用であれば月40万〜80万円程度とする解説記事の整理もあり、自社が担う範囲を広げるほど外注予算は抑えられる一方、社内の工数は増えるというトレードオフがあります。この配分は一度決めたら終わりではなく、内製化が進むにつれて外注予算を実務から戦略支援へと配分し直すなど、段階に応じて見直すことが前提になります。

体制構築でつまずきやすいポイント

体制を整えたつもりでも、運用段階でつまずくパターンがいくつかあります。1つ目は、コストの安さだけで丸投げに近い外注先を選び、目的設計や一次情報の提供まで任せてしまうケースです。この場合、契約が終了すると発信のノウハウも資産も社内に残りません。2つ目は、逆に社内のリソースを見誤って無理な内製化を進め、担当者が疲弊して更新が止まってしまうケースです。3つ目は、外部パートナーとの情報共有を制作物の受け渡しだけにとどめ、戦略的な背景を共有する場を設けないまま進め、社内にノウハウが蓄積されない状態が続くケースです。いずれも、内製か外注かという選択そのものよりも、どこまでを社内に残し、どこを任せるかの線引きと、その線引きを継続的に見直す姿勢が欠けていることが原因だと考えられます。

まとめ:次にすべきこと

オウンドメディアの体制構築は、内製か外注かの二択で考えるのではなく、「発信の目的設計と自社にしか語れない情報の提供を、継続して担える体制が社内にあるか」を起点に、コア業務は自社に残し、実務は外部パートナーに委ねるハイブリッド型を基本形として検討するのが現実的です。体制はいきなり完成形を目指さず、伴走型のパートナーとともに段階的にノウハウを社内へ移していくことで、無理のない形で内製の比率を高めていくことができます。まずは自社に目的設計と一次情報提供を担う責任者を1名置けるかどうかを確認し、そこから外部パートナーに委ねる範囲と予算配分を検討することが、体制構築の出発点になります。

調査方法・出典・限界

本記事は、オウンドメディアの内製・外注の切り分けを扱う解説記事と、外注できる業務範囲・外注先の類型を整理した解説記事の2本を分析したうえで、コンテンツマーケティング・アカデミー(株式会社日本SPセンター運営)の調査(2025年11月〜2026年1月、B2B36名・B2C29名)、ナイル株式会社の調査(2023年11月、マーケティング担当者506名)、東京商工会議所・総務省の統計を引用するリクルートワークス研究所の記事を追加で確認し、独自に構成した記事です。判断基準の2軸整理、外注業務の分類、体制構築のステップは参考記事からの引用・再構成であり、弊社独自の調査結果ではありません。外注費用の相場や年間予算の分布は、各調査・記事が示す一般的な傾向であり、自社に当てはめる際は業種や地域、依頼範囲によって実際の金額が変わる点にご留意ください。なお、更新本数の規模別に必要な人数や内製・外注の月額コストを比較した具体的な試算は本記事では扱っておらず、その内容を専門に扱う別記事を参照してください。

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