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ホームページ制作の見積もり比較|要件・CMS・SEO・保守

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
複数のWebサイト制作見積書を机上に並べ、担当者が内容を比較している様子

Webサイト制作を2〜3社へ依頼すると、同じサイトを相談したはずなのに見積金額が大きく違うことがあります。

しかし、総額だけを並べても適切な比較にはなりません。要件整理から任せるのか、原稿や写真は誰が準備するのか、CMSで何を更新できるのか、SEOや計測設定、公開後の保守、制作物の権利まで含まれるのかによって、同じ「Webサイト制作」でも契約内容は変わります。

見積比較で重要なのは、各社を同じ条件にそろえたうえで「何が含まれ、何が含まれないか」を確認することです。この記事では、制作会社を比較する8つの軸と、契約前に確認する具体的な質問を整理します。

Webサイト制作の見積は総額ではなく8項目で比較する

Webサイト制作会社の見積は、まず以下の8項目へ分解して比較すると違いを把握しやすくなります。

比較項目 主に確認すること
1. 要件定義・情報設計 目的、対象者、導線、必要ページを誰が整理するか
2. ページ・原稿・写真・デザイン ページ数だけでなく、素材準備や制作範囲まで含まれるか
3. CMS・更新機能 公開後に自社で何を更新できるか
4. SEO・サイト移行 URL、リダイレクト、検索設定、既存評価の引き継ぎを扱うか
5. 計測環境 Google Analytics、Search Consoleなどを誰が設定・管理するか
6. 保守・セキュリティ 更新、バックアップ、障害対応、脆弱性対応の範囲
7. 権利・アカウント デザイン、原稿、写真、ソース、ドメイン等を誰が管理するか
8. 修正・追加費用 見積範囲外になる条件と追加料金の決め方

見積金額が安くても、自社で原稿作成や移行作業を行う必要があれば、社内工数まで含めた負担は小さくありません。

逆に金額が高くても、自社に不要な機能や支援まで含まれていれば、適切な投資とは限りません。

つまり比較するべきなのは「いくらか」だけではなく、その金額でどこまで完成し、公開後に何が自社へ残るのかです。

STEP1|まず各制作会社へ渡す条件をそろえる

相見積もりを正しく比較するには、見積書を読む前に依頼条件をできるだけそろえる必要があります。

依頼条件をまだ整理できていない場合は、目的・ページ・CMS・SEO・計測・保守・権利を制作会社へ相談する前の要件メモにまとめる手順から確認してください。

Webサイト制作の目的と条件をそろえてから複数社の見積を比較する4段階の流れ

同じ制作条件を各社へ伝えてから見積を比較すると、価格差が制作範囲の違いによるものか判断しやすくなります。

最低限、次の情報は各社へ同じように伝えます。

  • Webサイトを作る目的
  • 主な対象者
  • 新規制作かリニューアルか
  • 必要だと考えているページ
  • 問い合わせフォームなど必要な機能
  • 現在保有している原稿・写真・動画
  • 自社で更新したい情報
  • 現在使用しているCMS
  • 希望公開時期
  • 公開後の保守・更新の希望

すべてを発注側で決める必要はありません。

重要なのは、「決まっていること」「制作会社から提案してほしいこと」「今回は対象外とすること」を分けることです。

たとえば「問い合わせを増やしたい」とだけ伝えた会社と、「既存の10ページをそのまま作り直してほしい」と伝えた会社では、提案内容が変わって当然です。

また、ページ数を決める際は企業側の都合だけでなく、サイトを訪れる見込み客が何を確認して問い合わせを判断するのかも考えます。サービス内容、料金・契約条件、事例、会社情報、FAQなど、意思決定に必要な情報から必要ページを逆算すると、単なるページ数比較になりにくくなります。

STEP2|見積書を8項目へ分解して比較する

1. 要件定義・情報設計はどこまで含まれているか

最初に確認したいのは、ページを作る前の設計工程です。

「ディレクション」「企画設計」「要件定義」など名称は会社ごとに異なりますが、確認したいのは実際の作業内容です。

  • サイトの目的を整理する
  • 対象者を定める
  • 必要な情報を整理する
  • サイト全体のページ構成を作る
  • 各ページの役割を決める
  • 問い合わせまでの導線を設計する

完成済みの構成を自社から渡す場合と、こうした設計から制作会社へ任せる場合では工数が異なります。

「企画一式」とだけ書かれている場合は、契約前に成果物と対応範囲を確認してください。

2. ページ数だけでなく原稿・写真・デザインの担当を確認する

「20ページ制作」という表記だけでは、見積範囲を判断できません。

同じ20ページでも、完成原稿と写真を自社が用意する案件と、制作会社が取材、構成、原稿作成、撮影まで行う案件では作業量が異なります。

最低限、以下を確認します。

項目 確認内容
原稿 自社支給か、取材・編集・執筆を含むか
写真 自社支給か、新規撮影を含むか
図表 制作数と修正範囲
デザイン トップだけ個別設計か、下層ページも個別設計か
スマートフォン レスポンシブ対応が含まれているか
修正 どの段階まで見積内で対応するか

「一式」という記載がある場合は、細かな単価を要求するというより、どこからどこまでが契約範囲かを確認することが重要です。

3. CMSは「導入するか」より「何を更新できるか」で見る

CMSとは、専門的なコードを書かなくてもWebサイトの情報を更新しやすくする仕組みです。

見積書に「WordPress構築」「CMS導入」と書かれていても、実際に更新できる範囲はサイトごとに異なります。

契約前には次のように具体的に確認します。

  • お知らせを追加できるか
  • 事例を追加できるか
  • サービス情報を変更できるか
  • FAQを追加できるか
  • 担当者が画像を変更できるか
  • 更新マニュアルや操作説明があるか

必要以上に自由度を高めればよいわけではありません。

日常的に変更する箇所は自社で操作できるようにし、レイアウトやプログラムに関わる部分は制作会社へ任せるなど、公開後の役割分担まで決めて比較します。

4. リニューアルではSEOとURL移行を別項目で確認する

既存サイトをリニューアルする場合は、新しいデザインを公開するだけでは終わりません。

旧サイトのURLを新サイトへ対応付け、リダイレクトして公開後に確認するSEO移行の流れ

リニューアルでは、旧URLと新URLの対応付け、リダイレクト、公開後の確認までを制作範囲として確認します。

旧ページと新ページでURLが変わる場合、Googleはサイト移行時に旧URLと新URLの対応表を準備し、恒久的なリダイレクトを設定して、Search Console等で状況を確認することを案内しています。Googleは恒久リダイレクトについて、一般に少なくとも1年間維持することも推奨しています。

そのため、リニューアル見積では以下を確認します。

  • 既存URLの一覧化
  • 新URLとの対応表作成
  • リダイレクト設定
  • titleやdescription等の移行
  • canonicalやrobots設定
  • XMLサイトマップ
  • Search Console確認
  • 公開後のインデックス状況確認

この作業が見積にない場合、公開後に検索流入へ影響が出てから別途対応が必要になる可能性があります。

「SEO対策込み」という表記だけで判断せず、具体的な作業を確認してください。

5. GA4・Search Consoleなどの計測環境と管理権限を確認する

Webサイトを集客へ活用するなら、公開後に成果を確認できる状態が必要です。

Google Analyticsでは、アカウントやプロパティ単位でユーザーと権限を管理できます。Search Consoleでも、確認済み所有者は最も高い権限を持ちます。

そのため「設定してもらえるか」だけでなく、

  • どの会社・担当者のアカウントで作るのか
  • 自社が管理権限を持てるか
  • 制作会社との契約終了後もデータへアクセスできるか
  • 問い合わせ等の計測設定まで含むか

まで確認します。

サイトそのものだけでなく、計測データを継続利用できる状態で引き継がれるかが重要です。

6. 保守は「月額○円」ではなく作業範囲で比較する

CMSを利用するWebサイトでは、公開後もソフトウェア更新やセキュリティ対応が必要になります。

IPAは、Webサイトを構成するソフトウェアやCMSについて、脆弱性が見つかった場合に適宜バージョンアップなどの対策を行う必要があると案内しています。

保守見積では次を分けて確認します。

  • CMSやプラグインの更新
  • バックアップ
  • セキュリティ確認
  • 障害発生時の対応
  • サーバー・ドメイン管理
  • 軽微な文章・画像変更
  • 新ページ追加
  • アクセス分析・改善提案

特に「保守」「更新代行」「Web改善」は別の仕事です。

月額料金だけでなく、何が含まれ、どこから追加費用になるのかを確認しましょう。

7. 著作権・制作データ・アカウントの扱いを契約前に確認する

見積比較で見落としやすいのが権利条件です。

Webサイト本体に加えてドメイン、CMS、計測ツール、制作データなどの管理状態を確認する図

完成したWebサイトだけでなく、公開後に必要なアカウントや制作データを誰が管理するかも契約前に確認します。

Webサイトには、デザイン、原稿、写真、動画、イラスト、プログラム、フォントなど複数の制作物が含まれます。

文化庁も、デジタル化によって著作物の利用方法が多様化する中、著作権に関する条件を文書で明確にすることの重要性を示し、契約書作成支援の仕組みを提供しています。

契約前に少なくとも以下を確認します。

  • 制作したデザインをどこまで利用できるか
  • 原稿や写真の利用条件
  • 有料素材・フォントのライセンス
  • 元データを受け取れるか
  • ソースコード等の納品範囲
  • ドメインの契約名義
  • サーバーの契約名義
  • CMSの管理者権限
  • GA4・Search Consoleの管理権限

「納品されたサイトを利用できる」ことと、「すべての制作物の権利を自由に扱える」ことは同じとは限りません。

権利条件は見積金額とは別に、契約書や利用条件まで確認してください。

8. 修正回数より「追加費用になる条件」を確認する

制作途中では、当初予定していなかった変更が起こることがあります。

そのため「修正3回まで」といった回数だけではなく、

  • 当初の要件と違う追加要望
  • ページ追加
  • 機能追加
  • 原稿の全面変更
  • デザイン確定後の大幅変更
  • 公開日の延期
  • 外部サービスとの追加連携

など、何をすると追加費用になるのかを確認します。

見積時点で決め切れない要件は、「未定」としたままにせず、どの条件で金額が変わるのかを記録しておくと比較しやすくなります。

8項目を100点で採点すると発注判断を整理しやすい

複数社を比較するときは、価格だけで順位を決めず、自社にとって重要な項目へ重みを付けます。

以下は一例です。

評価項目 配点例
要件定義・情報設計 15
ページ・原稿・デザイン 15
CMS・更新性 10
SEO・移行 15
計測環境 10
保守・セキュリティ 15
権利・アカウント 10
修正・追加費用 10
合計 100

この配点はすべての企業に共通する正解ではありません。

たとえば新規の小規模サイトならSEO移行の比重は低くできます。一方、検索流入の多い既存サイトを全面リニューアルするなら、URL移行や計測環境は重要度を上げるべきです。

サプライヤー選定の分野でも、価格だけではなく複数の定量・定性基準を使う考え方が長く研究されています。78本の関連研究をレビューしたHoらの研究でも、サプライヤー評価は単一のコストではなく複数基準で行う考え方が整理されています。

契約前に確認したい12項目

最終候補が決まったら、契約前に次の項目を確認します。

  • サイトの目的と対象者が共有されている
  • 制作ページと機能が明確になっている
  • 原稿・写真を誰が準備するか決まっている
  • CMSで更新できる範囲が明確になっている
  • リニューアルなら旧URLの扱いが決まっている
  • SEO・計測設定の担当範囲が明確になっている
  • ドメイン・サーバーの契約名義を確認した
  • CMS・GA4・Search Consoleの管理権限を確認した
  • 公開後の保守範囲を確認した
  • 制作物・素材の権利条件を確認した
  • 追加費用が発生する条件を確認した
  • 検収・納品・公開後の対応期限を確認した

この12項目のうち不明なものがあれば、総額を比較する前に制作会社へ質問した方が判断しやすくなります。

現在の制作会社から別会社へ切り替える場合は、見積条件だけでなく、ホームページ制作会社を乗り換えるときの引き継ぎ手順でドメイン・サーバー・CMS・制作データ・計測権限の移行も確認してください。

安い会社と高い会社のどちらを選ぶべきか

安い会社が悪いわけでも、高い会社が優れているわけでもありません。

自社でサイト構成、原稿、写真、SEO設計まで準備できるなら、制作範囲を絞った会社の方が合理的な場合があります。

一方で、何を掲載すべきか決まっておらず、見込み客が問い合わせを判断するための情報設計から必要なら、企画・設計に費用をかける意味があります。

比較するときは、次の3つを順番に確認してください。

必要な作業、見積範囲、社内工数の順に確認してWeb制作会社を選ぶ判断フロー

発注先は見積金額の大小ではなく、自社に必要な作業をどこまで任せられるかで比較します。

  1. 自社に必要な作業は何か
  2. その作業が各社の見積に含まれているか
  3. 含まれない作業を自社または別会社で行う場合、どの程度の負担になるか

この順番で確認すると、「一番安い会社」ではなく、必要な成果を必要な条件で実現できる会社を選びやすくなります。

まとめ

Webサイト制作会社の見積比較では、総額だけを並べないことが重要です。

要件定義、ページ・素材、CMS、SEO・移行、計測、保守、権利、追加費用の8項目へ分解し、同じ条件で比較してください。

特に公開後のCMS更新範囲、ドメインや計測ツールの管理権限、リニューアル時のURL移行、制作物の権利条件は、完成画面だけでは判断できません。

最終的には「何を作るか」だけではなく、「公開後に自社が何を持ち、何を自分たちで管理できる状態になるか」まで確認したうえで発注先を選びます。

複数社から見積を取得したものの条件が揃わない、SEOやCMS、権利・保守まで含めてどこを確認すべきか判断できない場合は、契約前に専門家へ相談し、比較条件を整理してから発注する方法もあります。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

  • Google Search Central「How to move a site」。2026年8月20日更新。サイトリニューアル時のURLマッピング、恒久リダイレクト、Search Console、サイト移行確認について参照。Google Search Central公式ページ
  • Google Search Console ヘルプ「サイトの所有権を確認する」。Search Consoleの所有者権限について参照。Google公式ページ
  • Google Analytics ヘルプ「Add, edit, and delete Analytics users and user groups」。GA4のアカウント・プロパティ権限管理について参照。Google公式ページ
  • IPA「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条」。CMS等のソフトウェアの脆弱性対策・運用管理について参照。IPA公式ページ
  • 文化庁「著作権契約書作成支援システム」。著作権等に関する契約条件を文書化する考え方について参照。文化庁公式ページ
  • Ho, W., Xu, X., Dey, P. K. “Multi-criteria decision making approaches for supplier evaluation and selection: A literature review.” European Journal of Operational Research, 2010. DOI: 10.1016/j.ejor.2009.05.009。発注先を複数基準で評価する考え方の補助根拠として参照。論文ページ

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