今のホームページ保守に不満があっても、次の会社を月額料金だけで選ぶと、必要な作業が対象外だったり、障害時にすぐ対応してもらえなかったりすることがあります。
保守会社を選び直すときは、料金だけでなく「どこまで対応するか」「問題が起きたら何をしてくれるか」「自社に必要な権限が残るか」まで同じ条件で比較することが重要です。
この記事では、対応範囲、緊急対応、バックアップ・復元、権限、追加費用、引き継ぎ対応の6項目を使い、候補となる保守会社を比較する方法を整理します。読み終わるころには、候補会社へ何を質問し、どの条件をそろえて選べばよいか判断できる状態を目指します。
結論:保守会社は月額ではなく6項目を同じ条件で比較する
ホームページ保守会社を選び直すときは、月額料金の安さだけで決めないことが重要です。
同じ「月額3万円の保守」でも、会社によって含まれる作業は異なります。CMSの更新だけを行う会社もあれば、バックアップ、障害対応、サーバー管理、軽微な修正まで含む会社もあります。
最低でも、次の6項目を同じ質問で比較します。
| 比較項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 対応範囲 | CMS更新、修正、サーバー、ドメイン、SSL、フォームなど |
| 緊急対応 | 受付時間、初動時間、障害の切り分け、復旧対応 |
| バックアップ・復元 | 対象、頻度、保存期間、復元対応 |
| 権限 | ドメイン、サーバー、CMSの管理権限 |
| 費用 | 月額内作業、追加料金、緊急対応費、初期調査費 |
| 引き継ぎ対応 | 他社制作サイトへの対応可否、調査範囲、契約終了時の条件 |

候補会社ごとに異なる説明を比較するのではなく、あらかじめ同じ確認項目を決めて横並びにすると判断しやすくなります。
この6項目を先に固定しておけば、会社ごとに説明の仕方が違っても比較しやすくなります。
比較を始める前に自社の条件をそろえる
保守会社へ問い合わせる前に、現在のホームページについて最低限の条件を整理します。
保守会社の比較だけでなく、サイト運用を社内と外部でどう分担するかから見直す場合は、「オウンドメディア運営は内製か外注か」も参考になります。
条件が会社ごとに変わると、見積もり金額も提案内容も比較できません。
まず確認したいのは次の項目です。
- 使用しているCMS
- 契約しているサーバー
- ドメインの管理状況
- 問い合わせフォームなど重要な機能
- 更新頻度
- 現在困っていること
- 今後も保守会社へ依頼したい作業
- 障害時に求める対応速度
WordPressの場合は、WordPress本体だけでなく、テーマやプラグインも運用対象になります。WordPress公式でも、プラグインやテーマは更新を続けること、更新前には復旧できるようバックアップを準備することが案内されています。
つまり、「WordPress保守対応」と書かれているだけでは十分ではありません。
何を更新し、更新前に何を確認し、問題が起きた場合に誰が戻すのかまで確認します。
対応範囲は「保守一式」ではなく作業単位で確認する
候補会社を比較するときは、「保守対応」「運用サポート」といった言葉をそのまま比較しないことがポイントです。
具体的な作業へ分解します。
月額内に含まれる作業
候補会社へ、次の作業が月額内か追加費用かを確認します。
- WordPress本体の更新
- プラグイン・テーマの更新
- 更新前のバックアップ
- SSL証明書の確認・更新
- サーバーやドメインの管理
- ページの文章・画像修正
- 問い合わせフォームの動作確認
- エラー発生時の原因調査
- 不正アクセスや改ざん時の対応
- アクセス状況を踏まえた改善提案
特に「更新」と「保守」と「改善」は分けて考えた方が比較しやすくなります。
ホームページの文章を変更する作業と、WordPressの安全性を保つ作業、問い合わせを増やすための改善提案では、必要な知識も作業時間も異なるためです。
対象外の作業も先に確認する
対応できる作業だけでなく、対応できない作業も確認します。
たとえば「サーバー管理は対象外」「メール設定は対象外」「大規模改修は別契約」と分かっていれば、自社側で別の対応を準備できます。
契約後に初めて対象外だと分かる状態を避けることが重要です。
緊急対応は「初動」と「復旧」を分けて比較する
「緊急対応可能」という表現だけでは、実際の対応速度は分かりません。
比較したいのは、問題が発生してから連絡がつくまでの時間だけではなく、原因調査と復旧までの役割です。
たとえば次のように確認します。
| 確認項目 | 質問例 |
|---|---|
| 受付時間 | 夜間・休日でも連絡できるか |
| 初動時間 | 緊急連絡から何時間以内に確認を始めるか |
| 対象障害 | サイト停止、改ざん、フォーム障害など何を対象とするか |
| 原因調査 | CMS・サーバー・外部サービスのどこまで確認するか |
| 復旧 | バックアップからの復元まで対応するか |
| 追加料金 | 時間外や緊急作業は別料金になるか |
「2時間以内に初動」と書かれていても、2時間以内にサイトが復旧するという意味ではありません。
初動とは状況確認や原因調査の開始を指す場合があります。比較時には「連絡受付」「調査開始」「暫定復旧」「本復旧」を分けて確認します。

「2時間以内に対応」と書かれていても、その時間内に復旧するとは限りません。初動と復旧の条件を分けて確認します。
IPAは2026年7月、WordPressの脆弱性について、影響を受ける環境では速やかな更新が必要であること、自動更新が環境によって動作していない場合もあるため実際のバージョン確認が必要であることを案内しました。
保守会社を選ぶ際も、「更新しています」という説明だけでなく、緊急時に確認・判断・復旧まで進められる体制かを見ることが重要です。
バックアップは取得頻度だけでなく復元まで確認する
バックアップで重要なのは、「取っているか」だけではありません。
実際に問題が起きたときに戻せる状態になっているかを確認します。
WordPress公式では、一般的なWordPressサイトを完全に復元するには、Webサーバー上のファイルとデータベースの両方が必要と説明しています。
保守会社へは次の5点を確認すると比較しやすくなります。
- 何をバックアップするか
- どの頻度で取得するか
- 何世代・何日分保存するか
- どこへ保存するか
- 復元作業まで契約に含むか

バックアップは取得頻度だけでなく、必要なデータがそろい、実際に復元できる状態かまで確認することが重要です。
たとえば、毎日バックアップを取得していても、同じサーバー内にしか保存されていなければ、サーバー自体に問題が起きたときの対応方法を別途確認する必要があります。
また、バックアップファイルが存在していても、復元方法が確認されていなければ緊急時に時間がかかることがあります。
候補会社には「最後に復元確認を行った時期」も聞いておくと、運用方法を具体的に把握できます。
ドメイン・サーバー・CMSの権限を自社でも確保する
保守会社を選び直すときは、作業を任せられるかだけでなく、自社に必要な管理権限が残るかを確認します。
特に重要なのは次の3つです。
- ドメイン
- サーバー
- CMS
JPドメイン名についてJPRSは、登録者が管理する指定事業者を変更できること、変更手続きでは認証コードが必要になることを案内しています。
保守会社が実務を代行する場合でも、「誰が登録者なのか」「誰が認証情報を取得できるのか」は確認しておく必要があります。
WordPressにも複数の権限区分があり、管理者はプラグインやテーマの更新など幅広い管理機能を利用できます。
保守会社だけが管理者アカウントを持つ状態ではなく、自社側でも必要な管理手段を持てるか確認しておくと、担当会社の変更時にも状況を把握しやすくなります。

保守作業を外部へ任せる場合でも、ドメイン・サーバー・CMSについて自社側で必要な管理手段を確保しておきます。
費用は月額ではなく年間の想定総額で比較する
月額料金が安くても、必要な作業のたびに追加料金が発生すれば、年間費用は高くなります。
候補会社には、月額以外に発生する可能性がある費用を確認します。
| 費用項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 月額費用 | 基本料金に含まれる作業 |
| 初期費用 | 現在のサイト調査や設定に必要な費用 |
| 修正費 | 月額内の修正回数・作業時間を超えた場合 |
| 緊急対応費 | 夜間・休日・障害対応の追加料金 |
| 改修費 | 機能追加やデザイン変更 |
| 引き継ぎ関連費 | 他社サイトの調査や契約開始時の作業 |
比較するときは、「毎月いくらか」ではなく、自社で想定される作業を1年間依頼した場合の総額を出してもらうと判断しやすくなります。
見積書に「保守一式」としか書かれていない場合は、作業範囲と追加料金条件を確認してから比較します。
引き継ぎ対応は契約前に可否と条件だけ確認する
現在とは別の保守会社へ変更する場合、他社が制作・管理しているホームページを引き受けられるか確認します。
候補会社を決めて実際の移管へ進む段階では、「ホームページ制作会社を乗り換えるときにやること」でドメイン・サーバー・CMS・計測環境の引き継ぎ項目を確認できます。
契約前の段階で必要なのは、実際の移行作業を始めることではなく、「引き受け可能か」「どの情報が必要か」「事前調査に費用がかかるか」を把握することです。
候補会社へは次の点を確認します。
- 他社制作サイトでも保守できるか
- 契約前にサイトやサーバーの調査が必要か
- 調査費用はいくらか
- 現在使用しているCMSやサーバーに対応できるか
- 現在の会社からどの情報を受け取る必要があるか
- 将来自社が契約を終了するときの引き継ぎ条件はどうなるか
IPAが公開する「情報システム・モデル取引・契約書」でも、保守・運用を含む外部委託について契約条件やユーザー・ベンダー双方の責務を整理しています。2025年にも関連資料が更新されています。
ホームページ保守でも、口頭で「対応できます」と確認するだけでなく、対応範囲や条件を契約書・見積書等で確認することが重要です。
候補3社は100点の比較表にすると判断しやすい
候補会社を2〜3社まで絞ったら、同じ基準で点数を付けると比較しやすくなります。
以下は配点例です。
| 比較項目 | 配点 |
|---|---|
| 対応範囲 | 20 |
| 緊急対応 | 20 |
| バックアップ・復元 | 20 |
| 権限管理 | 15 |
| 費用の分かりやすさ | 15 |
| 引き継ぎ条件 | 10 |
| 合計 | 100 |
各項目を5段階で評価し、
「5段階評価 ÷ 5 × 配点」
で点数へ換算します。
ただし、合計点だけで決める必要はありません。
たとえば「バックアップから復元できない」「ドメインの管理条件を説明できない」など、自社にとって外せない条件を満たさない会社は、合計点が高くても候補から外す方法があります。
先に必須条件を決め、そのうえで点数比較をすると、安さだけに引っ張られにくくなります。
最初の相談で聞く10の質問
候補会社との打ち合わせでは、最低限次の10項目を同じ順番で質問します。
- 月額料金に含まれる作業は何ですか
- 月額料金に含まれない作業は何ですか
- WordPress本体・テーマ・プラグインの更新は誰が行いますか
- 更新前のバックアップはどのように取得しますか
- バックアップからの復元も依頼できますか
- サイト停止など緊急時の受付時間と初動時間は何時間ですか
- ドメイン・サーバー・CMSの管理権限は自社でも持てますか
- 他社が制作した現在のサイトでも保守できますか
- 緊急対応や追加作業ではどのような料金が発生しますか
- 契約終了時のデータ・アカウント・権限の扱いはどうなりますか
複数社へ同じ質問をすれば、営業担当者の説明のうまさではなく、実際の保守条件を比較できます。
無料相談を検討した方がよいケース
比較項目を整理しても判断しにくい場合は、現在のホームページの状態を確認したうえで相談する方法があります。
特に、次のような状態では、単純な料金比較だけでは判断しにくくなります。
- 現在の保守範囲が分からない
- ドメインやサーバーの管理者が分からない
- WordPressやプラグインが長期間更新されていない
- バックアップの保存状況が分からない
- 他社へ変更できる状態なのか判断できない
- 保守だけでなくサイト改善も依頼したい
リブランディング株式会社では、Webサイトに関する相談や見積もりの問い合わせを受け付けています。
比較条件を整理したうえで相談したい場合は、無料相談・お問い合わせから確認できます。
よくある質問
一番安い保守会社を選んでも問題ありませんか
必要な対応がすべて含まれているなら、安いこと自体は問題ではありません。
ただし、月額料金だけでは、緊急対応、バックアップからの復元、CMS更新、追加作業などの範囲が分かりません。
同じ作業条件で年間の想定総額を比較してください。
制作した会社と保守会社は同じでないといけませんか
必ずしも同じ会社である必要はありません。
ただし、使用しているCMSやサーバー、独自システムなどによって、他社では対応できない場合があります。
現在の環境を伝えたうえで、契約前に対応可否を確認します。
保守会社は何社くらい比較すればよいですか
候補を増やしすぎるより、条件の合う2〜3社へ同じ質問を行う方が比較しやすくなります。
重要なのは会社数ではなく、対応範囲や緊急対応、バックアップ、権限、費用などの条件をそろえることです。
まとめ
ホームページ保守会社を選び直すときは、月額料金だけではなく、対応範囲、緊急対応、バックアップ・復元、権限、費用、引き継ぎ対応の6項目を同じ条件で比較します。
特に、障害時の「初動」と「復旧」、バックアップの「取得」と「復元」は分けて確認してください。
また、ドメイン・サーバー・CMSについて、自社側にも必要な管理権限が残るかを確認しておくことが重要です。
候補を2〜3社まで絞ったら、必須条件を決めたうえで100点の比較表を作り、各社へ同じ10の質問を行うと判断しやすくなります。
「安い会社」を探すのではなく、「自社が必要とする保守を、条件と費用を明確にしたうえで任せられる会社」を選ぶことが、保守会社の再選定では重要です。
参考文献・データ元
この記事で参照した情報を確認できます。
- WordPress.org「Plugin and themes auto-updates」:プラグイン・テーマ更新および更新前のバックアップに関する確認。WordPress.org公式情報
- WordPress Developer Resources「Backups」:WordPressサイトのファイル・データベースのバックアップに関する確認。WordPress公式バックアップ資料
- WordPress.org「Roles and Capabilities」:WordPressの管理者権限等に関する確認。WordPress公式権限資料
- JPRS「指定事業者制度」「ドメイン名の管理指定事業者の変更」:JPドメインの登録者・管理指定事業者・変更手続きに関する確認。JPRS 指定事業者制度 JPRS 指定事業者変更
- IPA「WordPressの脆弱性対策について」2026年7月22日:WordPressの脆弱性および更新確認に関する情報。IPA WordPress脆弱性対策情報
- IPA「情報システム・モデル取引・契約書(第二版)」:保守・運用を含む外部委託契約の役割・契約条件確認の参考。IPAモデル契約
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