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オウンドメディア運営代行の提案比較|制作範囲・分析・権限・費用

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
複数社のオウンドメディア運営代行の提案書を、比較表を使って同じ条件で確認している担当者のデスク

オウンドメディア運営代行を複数社へ相談すると、「月4本・月額40万円」と「月4本・月額55万円」のように、一見すると価格で比較できそうな提案が届きます。しかし、片方は原稿納品まで、もう片方は企画・SEO設計・CMS入稿・公開後分析まで含むのであれば、同じ「月4本」ではありません。

提案書を比較するときに重要なのは、金額を並べる前に、各社の提案を同じ制作工程・完成条件へそろえることです。

この記事では、受領済みの提案書を「制作範囲、完成条件、品質管理、分析・改善、権限・引き継ぎ、費用」に分解し、発注先を判断できる状態にする方法を解説します。

本記事は個別テーマに絞っているため、上位の全体設計を確認したい場合は、オウンドメディア運営の内製・外注の判断基準も参照してください。

オウンドメディア運営代行の提案は「同じ完成条件」にそろえてから比較する

オウンドメディア運営代行の提案比較では、最初に各社がどこまで担当して、何が完成したら1本・1か月分の業務完了になるのかをそろえます。

比較軸は、少なくとも次の7つに分けると整理しやすくなります。

比較軸 確認すること
制作範囲 企画、SEO、取材、構成、執筆、編集、画像、CMS、公開のどこまで含むか
完成条件 初稿納品、校了、CMS入稿、公開完了のどこを「1本」とするか
品質管理 ファクトチェック、校正、修正、承認を誰が行うか
分析・改善 レポートだけか、課題抽出・改善提案・リライトまで含むか
会議・進行 定例会、進行管理、議事録、承認管理を誰が担当するか
権限・資産 CMS、GA4、Search Consoleなどを誰が管理するか
費用 固定費、従量費、オプション、実費のどこまで含むか

特に注意したいのが「記事制作」「分析」「運営」といった言葉です。同じ名称でも会社ごとに作業範囲が異なるため、業務名ではなく具体的な作業と完成状態で比較します。

「月4本」「月額50万円」だけでは提案内容を比較できない

たとえば、次の2社があったとします。

項目 A社 B社
月額 40万円 55万円
記事本数 4本 4本
企画 含む 含む
SEO設計 オプション 含む
取材 別料金 含む
CMS入稿 1本1万円 含む
公開作業 自社 含む
月次分析 5万円 含む
改善提案 なし 含む

金額と本数だけを見るとA社の方が15万円安く見えます。

しかし、A社にCMS入稿4万円、分析5万円、SEO設計や取材費が追加されるのであれば、実際の差は小さくなります。さらに公開作業や改善判断を自社で行う必要があれば、社内工数も異なります。

実際のオウンドメディア運営業務でも、「4本」という本数だけで成果物が定義されているわけではありません。

日本財団が公開した2026年度の「日本財団ジャーナル」運営業務の提案依頼では、月平均最低4本に加えて、1本4,000文字前後、取材から初校まで原則7営業日、1記事5画像、CMS入稿などが具体的に示されています。さらに、記事のファクトチェックを2人以上で行うことや、月次分析レポートの提出も業務に含まれています。

つまり、本数は比較条件の一部にすぎません。

月4本の提案でも40万円のA社と55万円のB社でSEO・取材・CMS・分析などの含有業務が異なることを示す比較図

同じ記事本数でも、取材・CMS・分析などの含有範囲が違えば単純な月額比較はできません。

手順1|受領した提案を比較するための基準表を1枚作る

提案書を受け取ったら、会社ごとの資料を順番に読む前に、比較用の基準表を作ります。

提案ごとの前提がそろっていない場合は、オウンドメディア運営代行の提案依頼書の作り方で依頼条件をそろえてから再比較してください。

ここで新しく発注要件を作り直す必要はありません。すでに各社へ伝えた依頼内容や、社内で必要としている運営業務を基準に、比較したい工程を縦軸に並べるだけで構いません。

たとえば次のように整理します。

工程 比較する内容
企画 テーマ調査、企画案、本数、企画根拠
SEO キーワード調査、検索意図、競合調査、内部リンク
取材 対象選定、日程調整、実施、文字起こし
構成 H2・H3、根拠確認、承認
執筆 文字数、専門性、ライター
編集 編集者、校正、ファクトチェック
画像 アイキャッチ、図解、写真、素材費
CMS 入稿、装飾、リンク、メタ情報
公開 最終確認、公開作業
分析 GA4、Search Console、順位、CVなど
改善 改善案、リライト候補、実施
会議 定例、レポート、議事録、進行管理
引き継ぎ 原稿、画像、分析データ、アカウント、運用資料

この表を先に作ることで、各社の提案資料の章立てが違っていても、同じ場所へ情報を転記できます。

手順2|各業務を「含む・オプション・含まない・不明」に分ける

次に各社の提案内容を、工程ごとに4区分します。

  • 含む
  • オプション
  • 含まない
  • 不明

特に重要なのが「不明」です。

提案書に「SEO対応」「分析支援」「CMS対応」とだけ書かれている場合、勝手に「含む」と判断してはいけません。

たとえば「CMS対応」でも、次の作業は別です。

  • 下書きとして入稿する
  • 見出しや画像まで設定する
  • 内部リンクを設定する
  • meta titleやdescriptionを設定する
  • 公開前チェックをする
  • 公開ボタンまで押す
  • 公開後の表示崩れを確認する

同じように「分析」も、数値をレポートへ転記するだけなのか、課題を特定して翌月の企画や既存記事改善まで反映するのかで価値が変わります。

曖昧な項目は、評価前に質問して埋めます。

手順3|「納品」ではなく工程ごとの完成条件を確認する

提案書を正しく比べるには、「やります」と書いてあるかだけでなく、どこまで進んだら完了なのかを確認します。

工程 曖昧な表現 比較できる完成条件の例
企画 月4本企画 企画案4本を提出し承認まで
執筆 月4本制作 編集・確認済み原稿4本
CMS 入稿対応 画像・リンク・メタ情報設定済み
公開 公開支援 指定URLで公開・表示確認済み
分析 月次レポート 数値、課題、改善候補、次月施策まで提出
リライト 改善対応 対象選定、修正、CMS反映、再測定まで

完成条件が違う提案をそのまま採点すると、実際には多くの作業を含む会社ほど高く見え、作業範囲を狭く書いた会社ほど安く見える可能性があります。

価格評価より先に、完成条件をそろえることが重要です。

手順4|費用を「固定費・従量費・オプション・実費」に分解する

制作範囲をそろえたら、費用を比較します。

月額総額だけでなく、次の4種類に分けます。

費用区分 例
固定費 月次運営費、ディレクション費、定例会
従量費 記事単価、取材単価、図解単価
オプション CMS入稿、リライト、撮影、追加分析
実費 交通費、購入素材、取材協力費など

初期費用がある場合は、想定契約期間も含めて比較すると分かりやすくなります。

たとえば12か月契約で20万円の初期設定費がかかる場合、月平均では約1万6,700円です。

同様に、記事単価が安くても毎月必要なCMS入稿や分析が別料金なら、それを想定本数で加算して比較します。

日本財団の公募でも、見積書について「総額・月額・内訳」に加えて、取材経費を除く記事1本あたりの制作費を記載するよう求めています。

比較できる価格にするには、総額だけでなく費用の構造を見る必要があります。

手順5|分析は「レポート作成」より改善までの流れを見る

オウンドメディア運営代行では、分析項目の差が大きくなりやすい部分です。

確認したいのは、レポートの有無だけではありません。

データ確認 → 課題抽出 → 原因の仮説 → 改善案 → 実行 → 再確認

までのどこを担当するかを見ます。

たとえば次の2社は、どちらも「月次分析あり」と表現できます。

A社

GA4やSearch Consoleの数値を月次資料へまとめる。

B社

数値を確認し、伸びている記事・伸びていない記事を分類し、翌月の新規企画やリライト候補を提案する。

継続的な集客改善を運営代行へ期待しているなら、B社の方が依頼目的に近い可能性があります。

日本財団の2026年度業務でも、単にKPIを提示するだけでなく、定量・定性指標をどのようにモニタリングし、改善につなげるかというプロセスまで提案項目に含めています。

手順6|CMS・GA4・Search Consoleは「作業」と「所有」を分けて評価する

運営代行会社がCMSやアクセス解析を扱う場合は、作業範囲だけでなく権限も比較します。

重要なのは、外注先が作業できることと、自社のWeb資産を管理することを分けることです。

CMS・GA4・Search Consoleを自社が所有管理し、運営代行会社には必要な作業権限だけを付与する考え方の図

運営代行会社が作業できる状態と、自社のWeb資産を所有・管理する状態は分けて設計します。

WordPressにはAdministrator、Editor、Authorなど複数の役割があり、それぞれ実行できる操作が異なります。

Google Analyticsもアカウントまたはプロパティ単位で権限を設定でき、Administrator、Editor、Marketer、Analyst、Viewerなどで操作範囲が異なります。

Search Consoleでは所有者が最も強い権限を持ち、ユーザーの追加・削除などを管理できます。

そのため提案比較では、次のように確認します。

対象 比較するポイント
WordPress 必要な役割、入稿・公開・設定変更の範囲
GA4 アカウントかプロパティか、必要なロール
Search Console 自社が所有者を保持できるか
ドメイン・サーバー 管理主体が自社になっているか
契約終了時 外注先ユーザーを削除できる状態か

「GA4対応」「Search Console対応」という記載だけでは、比較条件としては不十分です。

この記事が扱うのは、提案条件をそろえて発注先を選ぶところまでです。この段階で確認するのは、契約終了時に何を受け取れるかという比較条件です。乗り換え先を決めた後に、CMS・記事・画像・分析データ・権利を実際に移す手順は選定後の別工程へ切り分け、本記事は比較条件の確認までを扱います。

手順7|成果物・著作権・契約終了時の引き継ぎを確認する

記事を継続して蓄積するオウンドメディアでは、契約終了後も使えるものが何かを確認します。

対象は記事原稿だけではありません。

  • 原稿
  • 写真
  • 図解
  • デザイン元データ
  • 購入素材
  • 取材素材
  • キーワード一覧
  • 記事企画表
  • 分析レポート
  • 運用マニュアル
  • CMS内のデータ
  • アカウント一覧

著作権についても「納品されたから自由に使える」と判断せず、契約条件を確認する必要があります。

文化庁の著作権契約マニュアルでは、著作権の譲渡契約において著作権法第27条・第28条に関する権利を譲渡対象とする場合、明記が必要と説明されています。また、著作者人格権は譲渡できません。

実際の契約では、自社が将来どの範囲まで記事や画像を修正・再利用する必要があるのかを踏まえ、提案書と契約書の条件を確認します。

手順8|不明点を質問してから再見積もりし、最終条件をそろえる

比較表を作ると、多くの場合「不明」が残ります。

この段階で候補会社へ同じ形式で確認します。

  • 月4本は初稿納品ですか、公開完了ですか
  • SEO設計にはキーワード調査まで含まれますか
  • 取材の日程調整はどちらが行いますか
  • CMS入稿には画像・リンク設定まで含まれますか
  • 月次レポートには改善提案が含まれますか
  • リライト実施は月額内ですか
  • GA4で必要な権限は何ですか
  • 契約終了時に渡されるデータは何ですか
  • 追加費用が発生する条件は何ですか

回答によって費用が変わる場合は、口頭回答だけで終わらせず、修正版の見積書や提案条件へ反映してもらいます。

最終選定時点で初めて、各社の価格が同じ条件になります。

オウンドメディア運営代行の提案受領から条件整理、不明点確認、再見積もり、採点、発注先決定までの6段階フロー

提案書は受領直後に採点せず、条件をそろえ、不明点を解消してから最終評価へ進みます。

手順9|価格だけでなく100点の評価表にして発注先を選ぶ

条件がそろったら、最後に採点します。

配点は会社ごとの目的に合わせて変えて構いません。

たとえば、運営全体を任せたい企業なら次のように設定できます。

評価項目 配点例
制作範囲・完成条件 30
分析・改善 20
制作体制・品質管理 15
権限・成果物・引き継ぎ 15
費用 15
提案の明確さ・柔軟性 5
合計 100

オウンドメディア運営代行を制作範囲、分析、品質、権限、費用、提案内容の6項目で総合評価する図

価格は評価項目の一つです。必要な制作範囲や改善体制、権限・引き継ぎまで含めて発注先を評価します。

重要なのは、採点してから配点を調整しないことです。

価格重視なのか、社内工数削減を重視するのか、公開後の改善を重視するのかを決めてから採点します。

外注先選定を複数の評価基準で行う考え方は、他分野の研究でも用いられています。

ChangらのIT/ISアウトソーシング研究では、中小企業の外注先選定について複数基準による評価モデルを検討しています。ただし、IT/IS外注を対象とした研究であり、オウンドメディア運営の具体的な配点を示すものではありません。

実務でも価格単独ではなく総合評価が使われています。

日本財団の前述の業務では5社が参加し、総合評価点は70.4点から87.4点の範囲となり、87.4点の事業者が選定されています。公開結果表では総合点は確認できますが、個別項目の点数内訳までは示されていません。

発注前に確認したい10項目

  • 各社の制作工程を同じ項目で比較した
  • 「月○本」の完成条件を確認した
  • オプションと追加料金を確認した
  • 自社側に残る作業を確認した
  • 分析後の改善範囲を確認した
  • 品質確認とファクトチェックの担当を確認した
  • CMS・GA4・Search Consoleの必要権限を確認した
  • 原稿・画像などの成果物を確認した
  • 契約終了時の引き継ぎ内容を確認した
  • 不明項目を質問し、必要なものは見積条件へ反映した

この10項目が埋まっていれば、「料金は安いが自社作業が多い会社」と「料金は高いが公開・分析・改善まで任せられる会社」を同じ土俵で比較できます。

まとめ

オウンドメディア運営代行の提案書は、金額や月間記事本数だけで比較するのではなく、制作工程と完成条件を同じ状態へそろえてから評価することが重要です。

まず、企画・SEO・取材・編集・CMS・分析・会議・権限・引き継ぎを工程別に整理します。そのうえで「含む・オプション・含まない・不明」に分類し、不明点を候補会社へ確認します。

次に、固定費・従量費・オプション・実費を含めて費用をそろえ、分析・改善、品質管理、権限、成果物まで含めて総合評価します。

これにより、「安く見える提案」ではなく、自社が必要としている運営範囲を満たす提案を選びやすくなります。

複数社の提案内容を整理しても、どこまでを外注範囲とすべきか、追加費用を含めた見積条件が妥当か判断しにくい場合は、第三者へ相談しながら比較条件を整理する方法もあります。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

‹ 親記事: オウンドメディア運営は内製か外注か?企業の体制構築、判断基準と進め方

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