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Webサイト改善を外注するときの契約前チェック|CMS・計測・ソース・権限・保守・引き継ぎ

部署:マーケティング担当者部署:広報・PR担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
Webサイト改善の外注契約書とパソコンを確認する手元に「7 署名前に確認」と表示したアイキャッチ

Webサイト改善の外注先が決まると、費用や施策内容を確認して契約へ進みたくなります。ただし、署名前に見るべきなのは「何を改善してもらえるか」だけではありません。

CMSを自社で操作できるか、GA4やSearch Consoleの管理権限が残るか、ソースコードやデザインを別会社でも改修できるか、契約終了後に必要なデータを受け取れるかまで確認しておく必要があります。

契約前は、サイト資産・管理権限・成果物・実装責任・保守・終了条件を分けて確認することが重要です。この記事では、発注先を決めた後、署名前に確認したい項目を実務用チェックリストとして整理します。

契約前に確認したい7つの項目

Webサイト改善の契約では、現在の作業内容だけでなく、改善後も自社がサイトを運用・改修できる状態を残せるか確認します。

まずは次の7項目を確認すると、契約書や別紙で不足している条件を見つけやすくなります。

確認項目 署名前に確認すること
ドメイン・サーバー 契約者・登録者・管理者は誰か。契約終了後も自社で管理や移管ができるか
CMS 自社に管理者権限があるか。外注先を変更しても更新を続けられるか
GA4・Search Console 自社側に必要な管理権限があり、外注先だけが管理者になっていないか
ソース・デザイン・文章・画像 何が成果物として渡され、どこまで改修・再利用できるか
実装・検収 誰が実装し、誰が確認し、どの状態で完了とするか
保守・障害対応 月額に含まれる作業、別料金の作業、対象外の作業は何か
契約終了・引き継ぎ 返却・移管するデータ、期限、費用、協力範囲が決まっているか

大切なのは、「サイトは自社のもの」という一言だけで判断しないことです。

サイトを使う権利、管理画面へ入る権限、データを受け取る条件、実際の作業責任は、それぞれ分けて確認した方が実務上の食い違いを減らせます。

「所有」「管理権限」「作業範囲」は分けて確認する

契約前に混同しやすいのが、「自社のサイトであること」と「自社で管理できること」です。

たとえば自社のWebサイトでも、GA4の管理者が外注先だけになっていたり、CMSの管理者アカウントを自社が持っていなかったりすれば、担当会社を変更したときに作業が止まる可能性があります。

Webサイトの契約確認を「所有・利用条件」「管理権限」「作業範囲」の3つに分けた概念図

Webサイトを利用する権利、管理サービスの権限、実際の作業担当は別々に確認します。

サイトや成果物を利用できるか

まず確認したいのは、納品されたページ、デザイン、文章、画像、プログラムなどを、契約終了後も利用できる条件です。

単に「納品する」と書かれているだけでは、編集可能な元データまで含まれるのか、別会社による改修が認められるのかまでは分かりません。

自社で必要になる行為を具体化し、

  • 継続して公開できる
  • 自社で内容を変更できる
  • 別会社へ改修を依頼できる
  • 必要なデータを受け取れる

という状態になっているか確認します。

自社が管理権限を持てるか

GA4やSearch Consoleでは、閲覧できることと、ユーザーや権限を管理できることは同じではありません。

Google Search Consoleでは「所有者」が他のユーザーの追加・削除や設定変更を行えます。Google Analytics 4でもAdministratorはユーザー追加・削除などのアクセス管理ができます。

そのため、「数字を見られるので問題ない」ではなく、自社側に必要な管理権限があるかまで確認します。

誰が何を実行するか

Webサイト改善では、分析会社、SEO会社、制作会社、システム会社など複数社が関わることがあります。

この場合、「改善案を出す人」と「本番サイトを変更する人」が異なるケースもあります。

分析、提案、承認、実装、動作確認、公開、効果測定について、誰が担当するかを整理しておくと責任範囲が明確になります。

IPAも情報システム取引について、ユーザー企業とITベンダーの取引構造を透明化し、各開発段階で担う責務を整理するためのモデル契約を公開しています。

ドメイン・サーバー・CMSは契約終了後も管理できる状態にする

ドメイン、サーバー、CMSは、Webサイトを継続して運営するための基盤です。

外注先に管理を任せること自体が問題なのではありません。確認したいのは、契約終了時に管理会社を変更できる条件になっているかです。

ドメインでは、次の項目を確認します。

  • 登録者・契約者は誰か
  • 管理サービスへ誰がログインできるか
  • 更新費用を誰が支払っているか
  • DNSを誰が変更できるか
  • 他社への移管に必要な手続きを進められるか

JPRSでは、対象となるドメイン名の管理指定事業者を変更する際、登録者が変更元の事業者から認証コード(AuthCode)を受け取り、変更先へ申し込む手順を案内しています。

契約時点で実際の移管作業まで行う必要はありません。ただし、将来移管が必要になったとき、誰が手続きを進め、必要な情報を受け取れるのかは確認しておきます。

CMSについても同様です。

自社に管理者権限があるか、バックアップを取得できるか、テーマやプラグインなどの利用条件はどうなっているかを確認します。

外注先独自のCMSやサービスを利用する場合は、契約終了後も同じ環境を使えるのか、別環境へ移す場合に何を受け取れるのかも確認対象です。

GA4・Search Consoleは自社側の管理権限を確認する

計測データは、Webサイト改善を続けるための重要な資産です。

契約前に、GA4やSearch Consoleが「設定されているか」だけでなく、「自社が管理できるか」を確認します。

対象 確認すること
GA4 自社側にAdministratorがいるか。外注先は自社プロパティへ招待する形か
Search Console 自社で所有権を確認できる状態か。外注先だけが所有者になっていないか
CMS 自社側に管理者権限があるか
その他の計測ツール 契約者、管理者、データの保存先、解約時の扱いが分かるか

Search Consoleでは確認済み所有者がプロパティの完全な管理権限を持ち、ユーザーの追加・削除も行います。

GA4でもAdministratorがアクセス管理を行えます。

したがって、改善会社へ必要な権限を付与することと、自社が管理権限を持つことは両立できます。

契約前には、外注先が管理しているアカウントをそのまま借りる形なのか、自社が管理する環境へ外注先を追加する形なのかを確認しておくと判断しやすくなります。

ソース・デザイン・文章・画像は「納品」と「利用条件」を確認する

Webサイト改善では、HTMLやCSS、プログラムだけでなく、デザインデータ、文章、画像、図版など複数の成果物が生まれます。

ここでは「著作権を譲渡するか」だけで判断せず、自社が将来必要とする利用方法まで確認します。

著作権法では、著作権の全部または一部を譲渡できます。一方、第27条・第28条の権利は、譲渡契約で明記されていなければ譲渡した側に留保されたものと推定されます。

文化庁も、二次利用に関する権利を含めて譲渡する場合は、その旨を契約で明示する必要があると案内しています。また、著作者人格権は譲渡できません。

実務では、次の点を確認します。

  • ソースコードは受け取れるか
  • Git等のリポジトリがある場合、誰が管理するか
  • デザインの編集可能な元データを受け取れるか
  • 自社で文章・画像・デザインを変更できるか
  • 他社へ改修を依頼できるか
  • 写真、フォント、テーマ、プラグインなど第三者素材の扱いはどうなるか
  • 納品対象外となるものは何か

必ずしも、すべての著作権を自社へ移す契約だけが選択肢ではありません。

重要なのは、自社が予定する更新、改修、運用、外注先変更を妨げない条件になっているかを確認することです。

具体的な契約条項の法的判断が必要な場合は、弁護士などの専門家へ確認してください。

実装・検収は「誰が、何を、どこまで確認するか」を決める

Webサイト改善では、改善提案を出しただけでは成果物が完成したとは限りません。

本番サイトへ反映し、正しく動作し、必要な計測が行える状態まで担当するのかを確認します。

Webサイト改善の分析から効果測定まで7工程の担当範囲を示したフロー図

改善提案だけでなく、実装・確認・公開後の効果測定まで、工程ごとに担当者を決めておくことが重要です。

たとえば、次のように作業を分けます。

工程 確認する責任範囲
分析 誰が現状データを確認するか
改善案 誰が変更案を作るか
承認 誰が公開可否を決めるか
実装 誰がCMS・ソースを変更するか
確認 表示、フォーム、計測などを誰が確認するか
公開 誰が本番反映するか
効果測定 何を、いつ、誰が確認するか

特に複数社が関わる場合、「改善会社は提案まで」「制作会社は実装だけ」という分担になりやすいため、工程の間に抜けがないか確認します。

あわせて、仕様変更や追加改修が発生した場合に、どの時点から追加費用になるかも確認しておきます。

保守は「含まれる・別料金・対象外」の3区分で確認する

「保守対応あり」という表現だけでは、実際に何を依頼できるか判断できません。

保守内容は、少なくとも次の3区分に分けて確認すると分かりやすくなります。

区分 例
契約内 定期バックアップ、CMS更新、軽微な文言変更など
別料金 ページ追加、大幅なデザイン変更、新機能追加など
対象外 外部サービス側の障害、契約外システムの改修など

実際の対象範囲は会社や契約によって異なるため、具体例を使って確認します。

さらに、障害発生時については、

  • 受付時間
  • 連絡方法
  • 初動対応の範囲
  • バックアップからの復旧範囲
  • 原因調査をどこまで行うか
  • 外部サービス障害時の対応

などを確認しておくと、公開後の認識差を減らせます。

契約終了時の返却・移管条件は契約前に決める

引き継ぎ条件は、実際に会社を乗り換える段階になってから決めるのではなく、契約前に確認しておくことが重要です。

署名前に決めておきたいのは、「どう移管するか」という詳細な作業手順ではなく、「何を返却・移管してもらえるか」です。

Webサイト契約終了時に返却・移管してもらうドメイン、CMS権限、計測権限、ソースなどを整理した図

実際の移管手順ではなく、終了時に何を受け取れるか、期限・形式・費用まで契約前に確認します。

確認対象には、たとえば次があります。

  • ドメイン・サーバーの管理情報
  • CMSの管理権限
  • GA4・Search Consoleなどのアクセス権限
  • ソースコードやリポジトリ
  • デザインの元データ
  • 原稿・画像などの納品物
  • バックアップデータ
  • 仕様書や設定情報
  • 改修履歴
  • 外部サービスの一覧

あわせて、返却期限、データ形式、引き継ぎ支援の範囲、追加費用の有無を確認します。

ここで決めるのは「終了時に受け取れるものと協力範囲」です。実際のサーバー移転やCMS移行など、乗り換え時の詳細作業とは分けて考えます。

複数社が関わる場合は責任の空白をなくす

SEO会社、広告会社、制作会社、システム会社などが同じサイトへ関わる場合は、それぞれの契約内容だけを見ると責任の空白が生まれることがあります。

たとえば、SEO会社が改善案を出し、制作会社が実装する場合でも、

「実装後に計測設定が正しいかを誰が確認するのか」

まで決まっていなければ、問題が起きたときに対応先が分かりません。

契約前には、少なくとも次の5つを整理します。

  1. 誰が提案するか
  2. 誰が承認するか
  3. 誰が実装するか
  4. 誰が公開後を確認するか
  5. 不具合が出た場合に誰が一次対応するか

役割を会社名だけで決めるのではなく、実際の工程ごとに確認するのがポイントです。

Webサイト改善の外注契約前チェックリスト

契約書、仕様書、見積書、別紙を確認しながら、次の項目をチェックしてください。

  • ドメインの登録・管理主体を確認した
  • サーバーの契約・管理主体を確認した
  • 自社にCMSの必要な管理権限がある
  • 自社にGA4の必要な管理権限がある
  • Search Consoleの所有権を自社で管理できる
  • ソースコードの納品・利用条件を確認した
  • デザイン・文章・画像の利用条件を確認した
  • 第三者素材や外部サービスの扱いを確認した
  • 分析・提案・実装の担当を確認した
  • 検収・公開完了の条件を確認した
  • 追加改修になる条件を確認した
  • 保守に含まれる作業を確認した
  • 障害時の対応範囲を確認した
  • 契約終了時に返却されるデータを確認した
  • 引き継ぎ支援の範囲・期限・費用を確認した

すべてを自社管理へ変える必要はありません。

外注した方が効率的な業務は外部へ任せながら、「契約先を変更しても自社のWebサイト、データ、運用が止まらないか」という視点で確認することが重要です。

Webサイト改善の外注契約について、アクセス・更新改修・データ返却の3点から契約先変更後も運用を続けられるか確認する判断フロー

契約前の最終判断では、外注先を変更してもサイトへのアクセス、更新・改修、データの受け取りを継続できるか確認します。

まとめ

Webサイト改善を外注するときは、施策内容や費用だけでなく、契約後に残るサイト資産と管理権限まで確認してから署名します。

特に確認したいのは、ドメイン・サーバー・CMS、GA4・Search Console、ソースやデザイン等の成果物、実装・検収責任、保守範囲、契約終了時の返却・移管条件です。

判断の基準は、「今の外注先に任せられるか」だけではありません。

契約終了後も、自社が必要なデータへアクセスでき、サイトを更新し、必要なら別の会社へ改修を依頼できる状態になっているかまで確認してください。

複数社が関わっていて責任範囲や権限を自社だけで整理しにくい場合は、契約前に現状のサイト・計測・運用体制を棚卸ししたうえで、必要な支援範囲を無料相談で確認する方法もあります。

契約前チェックだけでなく、そもそも内製にすべきか外注にすべきかから見直したい場合は、オウンドメディア運営の内製・外注の判断基準を確認してください。

契約前チェックのさらに前段階として、依頼内容そのものを整理しておきたい場合は、Webサイト制作を依頼する前に決めておくことを確認してください。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

  • Google Search Console ヘルプ「所有者、ユーザー、権限の管理」:Search Consoleにおける所有者・ユーザーの権限確認に使用。 Google Search Console公式資料
  • Google Analytics ヘルプ「Access and data-restriction management」:GA4のAdministrator等の権限確認に使用。 Google Analytics公式資料
  • JPRS「ドメイン名の管理指定事業者の変更」:ドメイン管理事業者変更とAuthCodeの手続き確認に使用。 JPRS公式資料
  • e-Gov法令検索「著作権法」:著作権の譲渡および第27条・第28条に関する確認に使用。 e-Gov法令検索
  • 文化庁「著作権契約書作成支援システム・契約マニュアル」等:著作権譲渡と著作者人格権の確認に使用。 文化庁 著作権契約マニュアル
  • IPA「情報システム・モデル取引・契約書」:発注者と外部事業者の責務を工程単位で整理する考え方の確認に使用。 IPA公式資料

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