自社でもSEO(検索エンジン最適化。Googleなどの検索結果で自社サイトが見つかりやすくなるようにする取り組み)に力を入れたい。しかし、誰にやらせるのか、外部に頼むべきなのか、何から手をつければいいのか判断がつかない――。この記事は、そうした経営者・担当者に向けて書いています。
体制を決めた後は、SEOに影響する変更を日時・対象URL・変更前後・想定影響・確認結果・ロールバック方法とともに残すと、障害時の原因切り分けがしやすくなります。具体的な台帳設計は[SEO変更履歴台帳の作り方](https://rebranding.co.jp/media/seo-change-log/)で解説しています。
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本記事は、SEO導入にあたって企業が直面する「体制をどう組むか」という意思決定を、内製・外注・ハイブリッドの判断基準、必要な役割・スキルの全体像、体制構築の進め方の類型、予算・優先順位の考え方という4つの切り口から体系的に整理するものです。何人体制にすべきかという具体的な人数の試算には立ち入りません。まず「自社はどのパターンで進めるべきか」を判断するための地図を持つことを目的とした記事です。
SEOの体制づくりでつまずく企業が多い理由
SEOへの関心自体は、多くの企業にとって珍しいものではなくなっています。株式会社LiKGが2025年11月10日に全国の経営者・役員200名を対象に実施した「Webマーケティング投資実態調査2025」によると、取り組んでいるWebマーケティング施策として「SEOやコンテンツ制作」が27.5%で最多という結果でした。関心・投資の入り口としては、SEOが選ばれやすい施策になっていることがうかがえます。
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一方で、同じ調査では「十分に成果を感じている」と回答した企業はわずか10.0%にとどまり、「あまり成果を感じていない」「全く成果を感じていない」を合わせた「成果を感じていない」層が64.5%に達しました。課題としては、年間予算100万円未満という「低予算」が58.5%で最多、「社内にマーケティング知見がない」が31.0%、「コンテンツ制作のリソースが足りない」が18.5%という結果でした。取り組んでいる企業は多いものの、体制と予算が追いついていない実態が見えてきます。
この傾向は、すでにSEOに取り組んでいる企業でも変わりません。株式会社IDEATECHが2026年3月30〜31日に、オウンドメディアを運営しSEO記事の企画・運用・制作・効果測定のいずれかに携わる企業担当者111名を対象に行った調査では、課題のトップは「社内の工数やリソースが足りない」で56.8%。以下「記事の修正方法が分からない」41.4%、「効果測定の方法が分からない」35.1%が続きます。すでに走り出している企業でも、体制の薄さが課題の1位に挙がっているということです。
つまり、SEOは「始めやすいが、体制まで含めて回し切るのが難しい」施策だと言えます。SEOの体制を考えるときは、この「入り口の広さと体制の薄さのギャップ」を前提に、無理なく回せる形を設計する必要があります。
内製・外注・ハイブリッドをどう判断するか
SEO対策の内製・外注比較を扱った参考記事によると、内製と外注のどちらが正解かは一律に決まるものではなく、予算・スピード・専門性・体制のバランスで選ぶべきだとされています。この考え方をもとに、判断軸を整理すると次のようになります。
外注を選ぶ場合に具体的な候補を絞るには、費用・支援範囲・実績・契約条件を同じ軸で比べたSEO対策会社おすすめ10選を参照してください。
判断の起点となる3つの問い
- 月40時間以上の専任工数を確保できるか
SEOは一度整えて終わりではなく、記事の追加・更新、順位や流入の確認、改善を継続的に回す取り組みです。参考記事は、専任に近い工数を確保できるかどうかを内製検討の最初の関門として挙げています。既存業務の合間にわずかな時間しか割けない場合、内製だけで完結させるのは現実的ではありません。 - 継続的に学習・改善できる体制があるか
検索エンジンの評価基準やユーザーの検索行動は変化し続けます。社内に最新情報を追い続ける余力があるかどうかで、選ぶべき体制は変わります。 - 3年以上の長期運用を想定できるか
SEOは効果が出るまでに一定の期間がかかる施策です。短期的な成果を優先するなら外注中心、時間をかけてでも社内に知見を残したいなら内製またはハイブリッドが軸になります。

3つの体制パターンの特徴

| 観点 | 内製 | 外注 | ハイブリッド |
|---|---|---|---|
| 初期の立ち上がり | 遅い(採用・育成が必要) | 速い(即戦力を活用できる) | 速い(外部の知見を借りて開始) |
| 費用の性質 | 人件費が主。記事単価は下がりやすいが固定費が重い | 月額費用・記事単価が継続的に発生する | 段階的に外注費が逓減していく |
| ノウハウの蓄積 | 社内に残りやすい | 残りにくい | 移管を前提にすれば残る |
| 主なリスク | 担当者への属人化、採用・離職のリスク | 外部への依存、費用が積み上がり続けること | 移管の設計を誤ると中途半端になること |
参考記事は、事業形態別の目安として、記事数が多い大規模メディアでは内製、開業直後の士業・中小企業では外注、EC・カタログサイトでは外注、B2B企業では戦略を外注し実行を内製するハイブリッドが向いているという整理を示しています。どの体制が正しいというより、自社の事業規模と更新量に応じて選ぶべき組み合わせが変わるということです。
費用比較で見落としやすい点
内製の方が外注費がかからない分コストを抑えられる、という考え方は一部だけが正しいものです。参考記事は、SEO人材(実務経験5年クラスで年収450万〜800万円程度、中央値544万円という調査値)を採用・雇用する場合、ツール代・教育費なども含めた総額を、外注時の月額費用(企業向けで月30万〜100万円程度、発注データの平均は73.7万円・中央値42.5万円という調査値)と同じ土俵で比較する必要があると指摘しています。外注費という見えやすいコストだけを比較すると内製の方が安く見えますが、採用コストや離職リスクまで含めると、必ずしも内製の方が低コストとは限りません。これらの金額は業界メディアが独自に集計した参考値であり、自社の採用条件やエリアによって大きく変動する点には注意が必要です。
必要な役割・スキルの全体像
SEOを回すために必要な役割は、大きく3つに整理できます。SEO・Webマーケティング業界の職種を解説した参考記事をもとに、内製・外注どちらを選ぶ場合にも当てはまる役割として整理し直すと、次のようになります。
- 戦略・ディレクション役
キーワード分析・競合調査をもとにSEO戦略を企画し、コンテンツテーマを立案し、進行を管理する役割です。効果測定と改善提案までを担うことが多く、分析力・論理的思考・チームコミュニケーション能力が求められます。この役割が不在のまま制作だけを進めると、記事は増えても方向性が定まらず成果につながりにくくなります。 - コンテンツ制作役
検索ユーザーの疑問を解決する記事を制作する役割です。単なる執筆力だけでなく、検索意図に沿った構成力・リサーチ力・読者心理の理解が求められます。自社の商品・サービス・実績に関する一次情報は社外の人間には書けないため、外注する場合でも情報提供者としての社内の関与は欠かせません。 - 分析・戦略立案役
検索順位や流入データを分析し、次の施策の優先順位を決める役割です。データ分析力・課題発見力・提案力が求められ、成果が数字で見えるため、社内で最も投資対効果を説明しやすいポジションでもあります。
これに加えて、サイトの表示速度改善や構造化データの実装など、技術的な知識を要する対応が必要になる場面もあります。エンジニアとの協働が必要になるため、専任者を置けない企業では、この技術面だけを外部に依頼するケースも少なくありません。
なお、実際に何人でこの役割を分担すべきかという具体的な人数の目安や、現役担当者を対象にしたアンケート調査に基づく体制規模の実態を詳しく知りたい場合は、体制の人数論を扱った別記事もあわせて参照してください。

体制構築の進め方・3つの類型
前述の判断軸をもとに、実務でよく見られる進め方を3つの類型に整理します。どれが正解ということではなく、自社の状況(専任を割けるか、長期投資として腰を据えられるか)に応じて選ぶものです。

類型1:小さく内製から始める
専任ではなくても、既存のWeb担当者やマーケティング担当者が本業と兼任しながら、既存記事の見直しやキーワード整理といった着手しやすい工程から始める進め方です。前述のLiKG調査で低予算(年間100万円未満)の企業が58.5%を占めていたように、多くの企業にとって現実的な出発点になります。ただし、専門知識が必要な工程(技術面の対応や効果測定の指標設計など)を最初から自社だけで完結させようとすると、前述のIDEATECH調査が示す「効果測定の方法が分からない」(35.1%)という壁にぶつかりやすくなります。必要に応じて外部のスポット支援を組み合わせる方が、途中で行き詰まりにくくなります。
類型2:外注で立ち上げてから内製へ移行する
戦略設計・コンテンツ制作を一括して外部に依頼し、立ち上げのスピードを優先する進め方です。参考記事が推奨する「外注で立ち上げる→徐々に内製へ移行する」というハイブリッド戦略はこの類型に近く、並走期間中に進行の型をドキュメント化し、社内担当者が実務に関わりながら徐々に移管を進めることで、最終的に内製で自走できる状態を目指します。移管を前提とせずに外注し続けると、費用が積み上がり続ける、あるいは外部への依存が固定化するリスクがあるため、依頼当初から「どの時点で何を移管するか」を外部パートナーと合意しておくことが重要です。
類型3:社内に専任チーム・専門部署を置く
大規模なコンテンツ量産が必要な事業や、Web集客を事業の中核と位置づける企業に見られる進め方です。戦略・コンテンツ制作・分析それぞれに担当者を置き、外部パートナーは専門性が特に高い部分(応用的な技術対応や、大量制作の一部工程など)に限定して活用します。参考記事は、記事数が多い大規模メディアではこの類型が長期的なROIを向上させやすいとしています。ただし、専任チームを最初から新設するのではなく、既存のマーケティング・広報体制を土台に役割を拡張する形の方が、無理なく移行しやすくなります。
予算と優先順位の考え方
体制と並んで判断が必要になるのが、予算の水準と、限られたリソースをどこから使うかという優先順位です。
内製時のツール費を具体化する場合は、順位計測・キーワード調査・競合分析・被リンク・技術監査で比べるSEOツールおすすめ10選を参照してください。
予算の目安
前述のLiKG調査によると、Webマーケティング全体の年間予算が「100万円未満」という企業が58.5%を占めています。一方、外注時の費用相場は、参考記事によれば企業向けで月30万〜100万円程度、コンサルティングであれば月10万〜50万円、記事制作であれば1本1万〜10万円程度が目安とされています。これらは業界メディアが独自に集計した参考値であり、自社の予算を保証するものではありません。低予算での取り組みが多い実態を踏まえると、いきなり大きな予算を確保しようとするより、まずは小規模な投資(一部業務のスポット外注など)から始め、効果を確認しながら増減させる姿勢が現実的です。
優先順位のつけ方
限られたリソースで着手する際は、次の順番で検討するのが実務的です。
- 利用できるリソースを確認する:予算、人員、時間のうち、今すぐ使えるものを棚卸しします。
- 成果につながりやすい施策から着手する:既存ページの品質改善など、自社にとって影響が大きく比較的着手しやすい施策から始めます。
- 効果を確認してから広げる:一つの施策で成果や課題が見えてから、次の施策・次の役割へリソースを広げます。
Google公式のSEOスターターガイドも、検索結果への反映には数週間から数ヶ月かかることを前提としたうえで、確実な順位保証はなく、文章が読みやすく整理され、独自性があり、有用で信頼性の高いコンテンツを継続的に提供することが重要だと説明しています。短期間で結果を求めすぎず、着手した施策を評価してから次に広げるサイクルを、体制づくりと同時に組み立てることが実務上の現実的な進め方です。
自社で確認すべきこと
体制づくりに着手する前に、次の点を社内で確認してください。
- 前述の3つの問い(月40時間以上の専任工数を確保できるか、継続的に学習・改善できる体制があるか、3年以上の長期運用を想定できるか)に、自社としてどう答えるか
- 戦略・コンテンツ制作・分析・技術対応のうち、すでに社内で対応できているのはどれか、まったく手がついていないのはどれか
- 外部パートナーに依頼する場合、成果指標や進行の型をドキュメント化してもらい、将来的な移管を前提とした契約にできているか
- 今すぐ使える予算・人員・時間はどの程度で、最初にどの施策から着手するか
まとめ
SEO導入の体制構築に唯一の正解はありません。内製・外注・ハイブリッドのいずれを選ぶかは、専任工数を確保できるか、継続的に学習・改善できる体制があるか、長期運用を想定できるかという3つの問いへの答えで決まります。多くの企業にとって現実的なのは、戦略・コンテンツ制作・分析・技術対応という役割を洗い出したうえで、対応できる役割は内製し、専門性が必要な役割は外部と併用しながら、段階的に体制を育てていく進め方です。まずは自社がどの類型に近いかを見極め、小さく始められる工程を1つ選ぶところから着手してください。体制の具体的な人数の目安についてさらに詳しく知りたい場合は、専門記事もあわせて参照することをおすすめします。外注する方針が固まった場合は、SEO支援会社へのRFPの作り方で、対象範囲・KPI・権限・成果物・引き継ぎ条件をそろえ、複数社へ同じ条件で提案依頼できる状態を作れます。
‹ 親記事: SEO対策完全ガイド|SEOとは?仕組み・やり方・優先順位からAIO時代のSEOまで解説【2026年版】



