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採用サイト制作の見積もり比較|ページ・取材・撮影・CMS・保守

部署:マーケティング担当者部署:人事・採用担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
複数の採用サイト制作見積を、金額だけでなく制作条件まで確認しながら比較する人事担当者の手元

採用サイト制作会社から複数の見積が届いたものの、「A社は120万円、B社は180万円。安いA社でよいのか」と判断できずに困るケースがあります。

結論からいうと、採用サイトの見積は総額だけでは比較できません。ページ数が同じでも、社員取材、写真撮影、原稿制作、CMS、求人連携、アクセス計測、公開後の保守など、含まれる作業によって完成するサイトが変わるからです。

比較するときは、各社の見積を同じ項目へ分解し、「何を、どの状態まで完成させて納品するのか」をそろえます。

この記事では、人事・採用担当者が複数の採用サイト制作見積を同じ条件へ並べ替え、金額差の理由を確認し、発注先を決められる方法を解説します。

本記事は個別テーマに絞っているため、上位の全体設計を確認したい場合は、採用改善の内製・外注・ハイブリッドの判断基準も参照してください。

採用サイトの見積は「総額」ではなく8つの条件をそろえて比較する

採用サイト制作の見積を比較するときは、まず各社の見積を同じ比較表へ転記します。

最低限そろえたいのは、次の8項目です。

比較項目 確認する内容
ページ・構成 ページ数、職種ページ数、テンプレート数
企画・設計 ターゲット整理、サイト構成、応募導線、ワイヤーフレーム
取材・原稿 取材人数、取材時間、原稿本数、執筆・校正範囲
撮影 撮影日数、拠点数、人物数、写真選定・補正
CMS・求人管理 自社更新できる範囲、求人追加方法、権限設定
求人連携・計測 求人検索対応、応募フォーム、GA4などの計測設定
修正・納品 修正対象、追加変更の扱い、データ・権利の引き渡し
保守 サーバー、バックアップ、障害対応、更新作業、月額費用

書式の異なる3社の採用サイト見積を8つの共通条件へ整理して比較する流れ

制作会社ごとに項目名が違っていても、同じ完成条件へ置き換えることで価格差の理由を比較できます。

検索上位の記事でも、採用サイトの費用はページ数だけではなく、原稿・撮影、デザイン、応募導線、公開後の運用などによって変わると整理されています。

つまり「10ページで120万円」と「10ページで160万円」があっても、40万円の差だけを見てはいけません。

120万円の見積は写真・原稿を自社支給する条件で、160万円の見積には社員取材や撮影、CMS設定まで含まれている可能性があります。

最初に確認すべきなのは価格差ではなく、条件差です。

最初に「完成条件」を1枚にまとめる

相見積もりを依頼する前でも、すでに見積を受け取った後でも、まず自社側の完成条件を作ります。

ページ数や制作物の比較前に、候補者へ何を伝えるサイトにするか整理する場合は、採用サイトに載せるべき情報の全体像も参照してください。

例えば、次のように決めます。

  • 採用トップを含めて10ページ
  • 募集職種は3職種
  • 社員インタビューは4名
  • 撮影は本社で1日
  • インタビュー原稿は制作会社が作成
  • 求人情報は人事担当者がCMSから更新可能
  • 応募先は既存ATSまたは応募フォームへ接続
  • Google Analytics 4で主要行動を計測
  • 公開後の保守条件を提示
  • 写真・原稿・デザインデータの利用条件を明確化

この条件を基準に、各社の見積を確認します。

制作会社によって見積書の項目名は異なります。「ディレクション一式」「コンテンツ制作一式」「システム費」のような記載でも、内容を上記の比較軸へ置き換えれば横並びにできます。

ページ数は「何ページか」だけで比較しない

ページ数は見積比較で分かりやすい項目ですが、同じ10ページでも制作工数は同じではありません。

確認したいのは「ページ数」と「ページの作り方」の両方です。

デザインテンプレートが何種類あるか確認する

例えば、社員インタビュー5ページがすべて同じレイアウトなら、1種類のテンプレートを作り、内容を差し替える設計ができます。

一方、各社員ページを別々の構成・デザインで制作するなら、制作工数は増えます。

そのため、見積では次を分けて確認します。

確認項目 例
総ページ数 10ページ
固有デザイン 5種類
共通テンプレート 3種類
インタビュー 4ページを同一テンプレートで制作
求人詳細 CMSテンプレートから追加可能

単純なページ単価だけで判断すると、設計方法の違いを見落とします。

同じ10ページでも共通テンプレート中心と固有デザイン中心では制作工数が異なることを示した比較図

総ページ数が同じでも、共通テンプレートを使う範囲と個別デザインの数によって制作工数は変わります。

求人が増えたときの追加方法まで確認する

採用サイトは公開後に募集職種が増減します。

そのため、「営業職」「エンジニア職」「管理部門」の3ページを納品して終わるのか、CMSから人事担当者自身が4職種目、5職種目を追加できるのかでも価値が変わります。

現在のページ数だけでなく、公開後の更新方法まで見積条件に含めてください。

取材・撮影・原稿は「含む・含まない」だけでは足りない

採用サイトで見積差が出やすいのが、社員取材、撮影、原稿制作です。

「取材込み」と書かれていても、条件は会社ごとに異なります。

具体的には、次まで確認します。

項目 確認内容
社員取材 何名までか
取材時間 1名何分程度か
事前設計 質問設計を制作会社が行うか
原稿 文字起こしのみか、記事として執筆するか
校正 本人確認後の修正を含むか
撮影 何日・何拠点までか
写真 人物だけか、オフィス・仕事風景も含むか
補正 色調整やレタッチまで含むか

採用サイトでは、取材や写真を単なる「装飾費」として扱わないことも重要です。

2026年に公開された435人を対象とする海外研究では、企業サイトの見え方が組織への魅力度を介して応募意向に関係することが報告されています。

また、581人を対象とした研究では、採用サイトのコンテンツとデザインがサイトや企業への態度、組織への魅力に関係する結果が示されています。

対象国や研究条件が日本のすべての採用活動へそのまま当てはまるわけではありません。ただし、求職者が見る情報の内容や見せ方を、単なる制作コストとして削ってよいとは限らないことを考える材料になります。

見積比較では、「撮影があるから高い」と判断するのではなく、そのコンテンツが自社の採用で必要かを確認してください。

CMSは「WordPressあり」ではなく、自社で何を更新できるか確認する

CMSとは、専門知識がなくてもWebページの内容を更新しやすくする仕組みです。

「WordPress導入」と書いてあるだけでは、完成条件は分かりません。

WordPressでは、Administrator、Editor、Authorなど、利用者ごとに異なる権限を設定できます。公式ドキュメントでも、ユーザーの役割によって投稿・ページ・プラグインなどを操作できる範囲が異なることが示されています。

採用サイトでは、少なくとも次を確認します。

  • 募集職種を追加できるか
  • 募集終了した求人を非公開にできるか
  • 給与や勤務地を変更できるか
  • 社員インタビューを追加できるか
  • 画像を変更できるか
  • SEO用タイトルなどを変更できるか
  • 誰にどの管理権限を渡すか
  • 更新マニュアルが含まれるか

採用サイトのCMSで人事担当者が求人追加や募集終了などをどこまで自社更新できるかを示した図

CMSの製品名だけでなく、公開後に人事担当者が自社で変更できる範囲まで完成条件として確認します。

「CMS構築50万円」といった金額だけでなく、公開後に人事担当者が何を自分で変更できる状態になるのかを完成条件にします。

求人連携とアクセス計測も見積条件に入れる

採用サイトを公開するだけでなく、「求人を見つけてもらえる状態」と「公開後に改善できる状態」まで必要なら、その実装範囲も比較します。

Googleの求人検索へ対応するか確認する

Googleは求人詳細ページへJobPosting構造化データを追加することで、求人検索機能へ掲載される対象になり得ると案内しています。求人内容と構造化データの内容を一致させることも求めています。

そのため、見積では単に「SEO対応」と書かれているかではなく、

  • 求人詳細ページの構造化データ
  • 募集終了時の処理
  • 求人更新時の更新方法
  • 求人ごとの個別URL
  • ATSなど外部サービスとの接続

まで確認します。

計測は「GA4設置」と「応募まで測れる状態」を分ける

Google Analytics 4は、WebサイトへGoogleタグを設定してデータ収集を行います。

また、拡張計測ではページビュー、スクロール、外部サイトへのクリックなどを計測できます。

しかし、「GA4を設置する」ことと「採用改善に使える計測を設計する」ことは同じではありません。

例えば、次のどこまで見積に入るか確認します。

  • GA4の基本設置
  • Google Tag Managerの設定
  • 応募ボタンクリック
  • 外部ATSへの遷移
  • 職種別ページ閲覧
  • 社員インタビュー閲覧
  • 応募完了
  • 公開後のレポート

計測方法が異なれば、公開後に確認できる数字も変わります。

修正回数は「3回まで」だけで比較しない

制作見積には、「デザイン修正2回」「原稿修正3回まで」といった条件が記載されることがあります。

ただし、本当に確認すべきなのは回数だけではありません。

重要なのは、何を「修正」とし、何を「追加変更」とするかです。

例えば、

「募集要項の給与表記が依頼内容と違う」

場合は、当初条件への不適合です。

一方、

「完成後に新しい職種ページを追加したい」

場合は、当初の発注条件に含まれていなければ追加変更です。

同じ「1回の修正」として扱うと、発注後の認識がずれます。

IPAの「情報システム・モデル取引・契約書」も、受託開発や保守運用における契約条件を整理する参考資料として公開されています。

採用サイトでも、見積段階から少なくとも次を分けておくと比較しやすくなります。

  • 当初仕様との不一致
  • 原稿やデザインの通常修正
  • 発注後の仕様変更
  • ページ追加
  • 機能追加
  • 公開後の変更

採用サイト制作で当初条件との不一致による修正と発注後の追加変更を分ける判断フロー

修正回数だけではなく、当初仕様との不一致と発注後の追加変更を分けておくと、追加費用の認識差を減らせます。

写真・原稿・デザインデータの権利と納品物も確認する

採用サイトでは、社員写真、インタビュー原稿、イラスト、動画など多くのコンテンツを制作します。

制作費を支払ったからといって、すべての素材を無条件で別媒体へ自由に利用できるとは限りません。

文化庁の著作権契約に関する資料でも、写真などの著作物について、どのような利用を許諾するかを契約で定める考え方が示されています。

例えば採用サイト用に撮影した社員写真を、

  • 求人媒体
  • 会社案内
  • SNS
  • 採用イベント
  • 広告
  • 他のWebサイト

にも利用したい場合、利用条件を発注前に確認します。

あわせて、納品されるものも確認します。

  • 公開済みWebサイトだけ
  • 写真データ
  • 原稿データ
  • デザイン元データ
  • CMS管理者アカウント
  • サーバー・ドメイン情報
  • ソースコード
  • 更新マニュアル
  • GA4などの管理権限

「サイト一式納品」という表現だけで終わらせないことが重要です。

保守費は月額だけでなく「何が起きたら対応するか」で比較する

公開後の費用も制作見積の一部として比較します。

例えば月額3万円と月額5万円の保守契約があっても、対応内容が違えば単純比較できません。

保守項目 確認する内容
サーバー管理 契約・更新・障害時の対応
CMS更新 WordPressなどのアップデート
バックアップ 対象、頻度、保存期間
復旧 障害時の復元対応
求人更新 募集要項変更を含むか
軽微修正 月何時間までか
問い合わせ 受付時間、対応期限
改修 保守内か別途見積か

WordPress公式資料でも、一般的なWordPressサイトの復元にはファイルとデータベースの両方が必要とされています。

「バックアップあり」と書かれている場合も、何を保存し、誰が復旧するのかまで確認します。

3社の見積はこのように横並びにする

次は架空の3社を使った比較例です。

金額自体ではなく、比較方法を確認してください。

比較条件 A社 B社 C社
ページ 10ページ 10ページ 10ページ
社員取材 なし 4名 4名
原稿制作 自社支給 取材から制作 取材から制作
撮影 なし 1日 半日
求人CMS なし あり あり
求人追加 制作会社へ依頼 自社対応 自社対応
JobPosting対応 別途 含む 含む
GA4 既存タグ設置 基本設定+応募計測 基本設定のみ
更新マニュアル なし あり あり
公開後保守 別契約 3か月含む 月額契約
素材利用条件 要確認 二次利用可 Web利用のみ

この表を見ると、A社が最も安かったとしても、B社・C社と同じものを作る見積ではない可能性があります。

逆に、自社にライターやカメラマンがおり、CMS更新も不要なら、A社の条件で十分な場合もあります。

大切なのは「高い会社ほどよい」「安い会社は危険」と決めることではありません。

自社が必要とする完成条件を満たすための総額で比較します。

発注前に確認する採用サイト見積チェックリスト

最終候補を決める前に、次を確認します。

  • 総ページ数だけでなくテンプレート数を確認した
  • 取材人数と原稿本数を確認した
  • 撮影日数・場所・対象を確認した
  • 原稿を誰が作るか確認した
  • 求人情報を自社で更新できるか確認した
  • CMSの管理権限を確認した
  • 求人検索・ATS連携の範囲を確認した
  • GA4などの計測範囲を確認した
  • 修正と追加変更の境界を確認した
  • 公開後の保守範囲を確認した
  • バックアップと復旧条件を確認した
  • 写真・原稿・デザインの利用条件を確認した
  • 納品データとアカウントを確認した
  • 追加費用が発生する条件を確認した

複数社について同じ質問へ回答してもらえば、見積書の書式が違っていても比較できます。

見積を比較しても決められないときは、制作会社選びより先に要件を整理する

3社から見積を取ったのに比較できない場合、制作会社の説明不足だけが原因とは限りません。

自社側で「何を作りたいか」が決まっていない可能性もあります。

例えば、

  • 社員インタビューは必要なのか
  • 何職種を掲載するのか
  • 更新は自社で行うのか
  • ATSへ直接つなぐのか
  • 応募数だけでなく何を測定するのか
  • 公開後も採用コンテンツを増やすのか

が未確定なら、各制作会社が異なる前提で見積を作るため、比較できないのは自然です。

その場合は、見積金額を詰める前に、採用課題、求職者へ伝える情報、必要なページ、更新体制、計測方法を整理します。

採用サイト制作会社を選ぶ目的は、最も安い見積を選ぶことではありません。

自社の採用で必要な情報を、必要な状態まで作り、公開後も運用できる発注先を選ぶことです。

自社だけでは必要範囲を整理しにくい場合は、採用サイトの要件整理や見積比較について外部へ相談する方法もあります。

まとめ

採用サイト制作会社の見積は、総額やページ数だけで比較しないことが重要です。

ページ数、企画、取材、撮影、原稿、CMS、求人連携、アクセス計測、修正、保守、権利、納品物まで同じ条件へそろえると、「なぜ金額が違うのか」が見えるようになります。

特に確認したいのは、「何を作るか」だけではなく「どの状態まで完成させるか」です。

まず自社の完成条件を1枚にまとめ、その条件へ各社の見積を転記してください。

価格差ではなく条件差を確認できれば、自社に必要な制作範囲を満たす発注先を選びやすくなります。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

‹ 親記事: 採用改善の体制構築、何から着手すべきか?内製・外注・ハイブリッドの判断基準と進め方

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