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採用代行の契約更新判断|KPI・採用単価・対応内容・残る課題

部署:マーケティング担当者部署:人事・採用担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
採用実績と次期採用計画の資料を見ながら採用代行の契約更新を検討する人事担当者の手元

採用代行の契約満了が近づくと、「何人採用できたか」「月額費用に見合っていたか」だけで更新を判断しがちです。しかし、採用成果は職種の難易度、募集人数、選考速度、待遇、市場環境などにも左右されます。

契約更新では、前期の採用数だけではなく、職種別の応募・通過・内定・承諾、採用単価、採用代行会社が担当した業務、社内側に残った課題を分けて確認することが重要です。

そのうえで次期の採用人数・職種・難易度と照らし合わせれば、「そのまま継続」「条件を変更して継続」「一部内製化」「別会社へ乗り換え」のどれが適切か判断しやすくなります。

採用代行の契約更新を判断する前に、採用業務のどこを社内に残し、どこを外部へ任せるかは、採用改善の内製・外注・ハイブリッド体制で整理できます。

採用代行の契約更新は「過去の成果」と「次期採用計画」をセットで判断する

採用代行の契約を更新するか判断するときは、過去の実績だけを採点するのではなく、次の契約期間でも同じ支援が必要かまで確認します。

たとえば前期に営業職10名の採用を依頼し、8名を採用できたとしても、次期の採用計画がエンジニア3名へ変わるなら、過去の実績だけでは継続判断ができません。

反対に、目標10名に対して6名しか採用できなかった場合でも、応募数や面接通過率が改善し、残った課題が給与条件や社内の面接速度にあるなら、採用代行会社だけを変更しても解決しない可能性があります。

厚生労働省によると、2026年7月の有効求人倍率は1.18倍、新規求人倍率は2.10倍でした。有効求人倍率はハローワークの統計でありすべての採用市場を示すものではありませんが、採用環境そのものが変化するため、過去期間と次期を同条件として扱わないことが重要です。

契約更新では、次の3つをセットにします。

  • 前期に何を目標としていたか
  • 実際に何が改善し、何が残ったか
  • 次期は誰を何人、どの条件で採用するのか
前期の採用目標、実績と残課題、次期採用計画をつないで契約更新を判断する流れ

採用代行の更新判断では、過去の成果だけでなく、残った課題と次期の採用計画まで一続きで確認します。

まず職種別に応募から承諾までのKPIを並べる

採用代行の成果は、全職種を合算した「応募数」や「採用数」だけでは判断しにくいため、職種別に採用ファネルを分けることが基本です。

採用に関する2026年の研究でも、採用指標は単なる運用レポートではなく、戦略的な意思決定に使うために優先順位をつけて評価する必要性が指摘されています。研究では、Cost per Hire、Time to Fill、Offer Acceptance Rateなど複数の採用指標が検討されています。

採用段階 確認するKPI 主に確認できること
母集団形成 応募数、スカウト送信数、返信数 候補者との接点を作れているか
書類選考 書類通過数・通過率 ターゲットと応募者が合っているか
面接 面接設定数・通過率 候補者品質と選考設計に問題がないか
内定 内定数・内定率 採用基準と候補者層が合っているか
承諾 承諾数・承諾率 条件、魅力訴求、選考体験に課題がないか
最終成果 採用数、採用充足率 必要人数を確保できたか
費用 採用単価 1人の採用にどの程度の費用がかかったか
応募から書類通過、面接、内定、承諾、採用までを分けて確認する採用KPIの流れ

採用人数だけでは原因を特定できません。応募から承諾まで分解すると、改善すべき工程を見つけやすくなります。

重要なのは「数字が悪い場所」を特定することです。

応募が少ないなら母集団形成、応募は多いのに書類通過率が低いならターゲット設定、内定は出ているのに承諾されないなら待遇・魅力訴求・選考体験など、改善対象が変わります。

職種をまとめて評価しない

営業職は採用できている一方、エンジニアだけ採用できていない場合、「採用代行全体が成功」「採用代行全体が失敗」のどちらとも言い切れません。

最低でも次の単位で比較します。

  • 職種
  • 勤務地域
  • 経験者・未経験者
  • 採用チャネル
  • 採用期間

契約更新の目的は採用代行会社に点数をつけることではなく、次期の採用計画を達成できる体制を選ぶことです。

採用単価は「外注費だけ」で比較しない

採用単価を確認するときは、採用代行会社へ支払った費用だけを見るのではなく、採用に使った費用全体を同じ条件で比較します。

一例として、次のように整理できます。

採用単価 = 対象期間の採用関連費用 ÷ 採用人数

採用関連費用へ何を含めるかは企業ごとに統一してください。

費用項目 確認例
採用代行費 月額費用、成果報酬、追加作業費
求人媒体費 掲載料、オプション費
スカウト費 媒体利用料、送信枠
人材紹介費 成功報酬
採用ツール費 ATS、適性検査等
社内工数 人事・面接官の工数を管理する場合

前期と今期で計算対象が変わると正しく比較できません。

また、採用単価が下がっていても必要人数を採用できていなければ十分とはいえません。逆に採用単価が上がっていても、採用難易度の高い重要職種を採用できたのであれば、経営上は合理的な場合があります。

採用単価は単独で合否判定に使わず、採用数・職種・難易度と一緒に確認することが重要です。

成果が出なかった原因を「採用代行側」と「自社側」に分ける

採用KPIが未達だった場合、契約更新前に原因を分解します。

主な問題 採用代行側で確認する項目 自社側で確認する項目
応募不足 媒体選定、求人改善、スカウト対象 給与、勤務地、採用要件
通過率が低い ターゲティング精度 採用基準の厳しさ
面接辞退 候補者対応、日程調整 面接設定までの日数
内定辞退 フォロー、情報提供 条件、仕事内容、面接体験
採用が遅い 候補者探索・連絡速度 社内承認、面接官の日程
採用が進まない原因を採用代行側と自社側の両方から切り分ける原因マップ

同じ「採用未達」でも、外注先の運用と自社の採用条件では対策が異なります。更新前に原因を分けて確認します。

採用数だけを見てしまうと、社内の承認に1週間かかっていたにもかかわらず、採用代行会社の「採用スピードが遅い」と評価するようなズレが起こります。

逆に、社内の回答は早いのに候補者への連絡が数日止まっているなら、採用代行側の運用品質を見直す必要があります。

契約更新前には、未達KPIごとにどちらが改善可能な要因だったかを整理してください。

候補者から見た対応品質も契約更新の評価対象にする

採用代行では、企業担当者が受けた報告だけでなく、求職者がどのような採用体験をしていたかも確認します。

2004年のメタ分析では86の独立サンプル、計48,750人を分析し、選考手続きに対する肯定的な認識は、企業への好意的評価や内定受諾意向などと関連していました。これは海外研究であり、日本企業の採用代行へそのまま因果関係として当てはめることはできませんが、候補者側の体験を無視できないことを示す材料になります。

さらにRPOそのものを扱った研究でも、採用プロセスの外部委託方法が応募者の反応や受諾意向に影響し得ることが報告されています。

契約更新前には、次の点を確認します。

  • 応募後の初回連絡までに時間がかかっていないか
  • 面接日時の調整が何往復も発生していないか
  • 求人内容と候補者への説明が一致しているか
  • 不合格者を含め、連絡が途中で止まっていないか
  • 採用代行会社が自社の仕事内容や魅力を理解しているか

採用代行は人事の作業負担を減らすだけでなく、候補者と企業の接点を担います。そのため、社内工数だけ削減できていても、候補者体験が悪化している場合は契約内容の見直しが必要です。

残っている課題と次期採用計画を照らし合わせる

前期の振り返りが終わったら、次期の採用計画を並べます。

確認するのは次の5項目です。

  1. 次期に採用する職種
  2. 職種ごとの採用人数
  3. 採用期限
  4. 前期から変わる採用条件
  5. 前期から残っている課題

たとえば、前期の課題が「エンジニアへのスカウト返信率」であり、次期もエンジニア採用を拡大するのであれば、その課題に対する具体策が次期提案に入っているかが重要です。

一方、前期は大量採用だったものの、次期は年間数名だけになるなら、同じ月額型の採用代行を継続するより、一部業務を内製化する方が合理的な可能性があります。

「継続・条件変更・内製化・乗り換え」の4択で判断する

契約更新は「更新する・しない」の二択ではありません。

判断 適している状態
そのまま継続 成果・運用品質ともに良く、次期も同じ採用課題が続く
条件変更して継続 一部職種・業務だけ課題があり、改善内容が明確
一部内製化 社内にノウハウが蓄積し、一部業務を自社で回せる
乗り換え 主要課題が改善されず、次期提案にも改善策がない
採用代行を継続、条件変更、一部内製化、乗り換えの4つから選ぶ契約更新の判断フロー

採用代行の契約更新は二択ではありません。次期の支援ニーズ、成果、改善可能性、社内運用力から4つの選択肢を検討します。

特に確認したいのは、「未達だったか」だけでなく、未達に対して次の打ち手が出ているかです。

成果が十分でなくても、原因分析ができており、次期の改善策・担当者・KPIが具体化されているなら、条件変更による継続は選択肢になります。

反対に、毎回同じKPIが未達で、その理由と次の改善策が説明されない場合は、体制そのものを見直した方がよいでしょう。

契約内容・候補者データ・権限も更新前に確認する

成果だけでなく、契約とデータ管理も確認します。

個人情報保護委員会のガイドラインでは、個人データの取扱いを外部へ委託する場合、委託元には委託先への必要かつ適切な監督が求められています。委託先の選定、委託契約、個人データの取扱状況の把握などが示されています。

そのため契約更新時には、少なくとも次を確認してください。

  • 委託する業務範囲
  • 使用する採用媒体・ATSのアカウント名義
  • 候補者データへのアクセス権
  • 再委託の有無
  • 個人情報の管理方法
  • 契約終了時のデータ返却・削除
  • 自動更新の有無
  • 更新停止・中途解約の通知期限
  • 契約終了時の引き継ぎ方法

また、採用代行の実際の業務内容によっては、職業安定法上の委託募集などに関する確認が必要です。2026年7月時点の職業安定法第36条には、有償で被用者以外の者へ労働者募集を委託する場合の許可について規定があります。実際に必要な許可・届出は業務内容によって異なるため、個別の契約では都道府県労働局や専門家へ確認してください。

契約更新の打ち合わせで確認したい10項目

更新面談では、採用代行会社から次の内容を出してもらうと判断しやすくなります。

  • 職種別の応募・通過・内定・承諾実績
  • 職種別の採用単価
  • 前期目標と実績の差
  • KPI未達の原因
  • 契約期間中に実施した改善
  • 改善しても残った課題
  • 自社側に改善が必要な項目
  • 次期の採用計画に対する提案
  • 次期KPIと担当範囲
  • 継続しなかった場合の引き継ぎ内容

特に「前期に何をやったか」だけではなく、次期の採用計画に対して何を変えるのかまで説明できるかを確認してください。

まとめ

採用代行の契約更新は、採用数や月額料金だけで決めるものではありません。

まず職種別に応募・通過・内定・承諾・採用単価を整理し、どの段階に課題が残っているかを確認します。そのうえで、採用代行側の問題と自社側の問題を分け、次期の採用人数・職種・難易度と照らし合わせます。

判断は「更新する・しない」だけではなく、そのまま継続、条件変更、一部内製化、乗り換えの4つに分けると整理しやすくなります。

採用代行会社の評価が目的ではありません。次の採用計画を達成するために、どの体制が最も適しているかを決めることが契約更新の目的です。

自社だけでは、採用KPIの原因が採用代行側にあるのか、自社の採用要件・選考・情報発信にあるのか切り分けにくい場合があります。その場合は、現状の採用データと次期採用計画を整理したうえで、外部の専門家へ相談する方法もあります。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

  • 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」:2026年8月28日公表。2026年7月の有効求人倍率・新規求人倍率の確認に使用。 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」
  • 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」:個人データを外部委託する際の委託先監督の確認に使用。 個人情報保護委員会 ガイドライン(通則編)
  • e-Gov法令検索「職業安定法」:2026年7月14日時点。委託募集に関する第36条の確認に使用。 e-Gov「職業安定法」
  • Priyadarsini, P., Sreejith, S.S. “Identifying the most effective recruitment metrics using analytical hierarchy process.” Future Business Journal, 2026. 採用指標を戦略的に評価する考え方の確認に使用。 Springer Nature掲載論文
  • Hausknecht, J.P., Day, D.V., Thomas, S.C. “Applicant Reactions to Selection Procedures: An Updated Model and Meta-Analysis.” Personnel Psychology, 2004. 候補者の選考体験と企業評価・受諾意向との関連確認に使用。 Wiley掲載論文
  • Wehner, M.C., Giardini, A., Kabst, R. “Recruitment Process Outsourcing and Applicant Reactions: When Does Image Make a Difference?” Human Resource Management, 2015. RPOと応募者反応に関する補助的考察に使用。 Wiley掲載論文

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