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採用サイトのキャリアパスページの作り方|入社後の成長・異動・評価を具体化

部署:マーケティング担当者部署:人事・採用担当者レベル:実践
採用担当者が複数方向へ分岐するキャリアパス資料を確認している様子

採用サイトに「成長できる環境です」と書くだけでは、候補者は入社後の自分を具体的に想像できません。キャリアパスページで必要なのは、役職名を並べることではなく、入社後にどのような仕事を任され、何を身につけ、何を基準に次の役割へ進み、どのような選択肢があるのかを見える形にすることです。

キャリアパスは一本道にせず、職種別・年次別の役割変化、評価、異動、研修、複数のモデルケースを組み合わせます。この記事では、採用サイトの1ページとして何をどの順番で掲載すればよいか、実際の採用サイトも比較しながら整理します。

キャリアパスページは「役職一覧」ではなく入社後の選択肢を伝えるページ

キャリアパスページの役割は、「1年目→主任→係長→課長」と昇進順を示すことだけではありません。

候補者が知りたいのは、自分が入社した場合に、

  • 最初はどのような仕事を担当するのか
  • 数年後には何を任されるのか
  • 何を身につければ次へ進めるのか
  • 管理職以外の道はあるのか
  • 他部署や別職種へ移る機会はあるのか
  • 会社は成長をどのように支援するのか

といった具体的な将来像です。

パーソル総合研究所の「働く10,000人の就業・成長定点調査」では、2026年に「仕事を選ぶ上で重視すること」として「入社後のキャリアコースが明確に示されていること」を挙げた人は6.7%でした。すべての求職者がキャリアパスだけで会社を選ぶわけではありませんが、20代や正社員では比較的重視される傾向があります。

一方、マイナビの2026年卒大学生就職意識調査では、「安定している会社」が企業選択のポイントとして51.9%、「給料の良い会社」が25.2%でした。キャリアパスページだけですべての応募判断を担おうとせず、給与、勤務地、仕事内容、福利厚生など別ページの情報とつなぐことが重要です。

キャリアパスページには6つの情報をそろえる

キャリアパスを具体化するには、年次だけでなく「役割」「成長条件」「選択肢」をセットで示します。

掲載項目 伝える内容 候補者が確認できること
職種・入口 入社直後の配属、担当業務 最初に何をするのか
役割の変化 1年目、3年目、5年目などの役割 仕事がどう変わるのか
必要な経験・スキル 次の役割に必要な知識や経験 何を身につければよいか
評価・登用 評価項目、昇格・登用の考え方 何を基準に進むのか
異動・キャリア選択 部署異動、専門職、管理職など どのような道を選べるのか
成長支援 研修、資格支援、面談、OJT 会社からどんな支援を受けられるか

この6項目を一つのページで関連づけると、「3年目に主任になる」といった結果だけでなく、その過程が見えるようになります。

厚生労働省も、キャリアを長期にわたる職務経験と計画的な能力開発の連鎖として説明しています。また、企業内のキャリア形成支援では、人材育成や若手社員の定着支援などへの活用が示されています。

年次モデルでは年数より「任される仕事の変化」を具体化する

年次別のモデルを作るときは、「1年目」「3年目」「5年目」という数字だけを並べないことが重要です。

たとえば法人営業なら、次のように役割の変化まで書きます。

時期の例 役割 仕事の変化 成長の目安
入社〜1年目 基礎習得 先輩同行、既存顧客対応、商品知識の習得 基本業務を一人で進められる
2〜3年目 担当者 顧客を単独で担当、提案から受注まで対応 自分で案件を組み立てられる
4〜6年目 中核担当 大型案件、後輩支援、重要顧客を担当 難易度の高い案件を任せられる
その後 複数ルート 管理職、専門職、新規事業など 志向と実績に応じて選択

ここで注意したいのは、年次を「保証された昇格時期」のように見せないことです。

実際の昇格や異動が評価、本人の希望、組織状況などで変わる場合は、「モデルケース」「目安」「一例」と明示します。

リケンテクノスの採用サイトでは、同じ技術系でも研究開発、品質管理、営業などへ進む複数のケースを掲載しています。単一の昇進ルートではなく、実際に起こり得る異なる経路を並べる方法の一例です。

評価制度は「何を見て次の役割を任せるか」までつなげる

評価制度とキャリアパスを別々に説明すると、候補者には両者の関係が見えません。

キャリアパスページでは、詳細な人事評価制度をすべて公開する必要はありませんが、少なくとも次の関係を示します。

現在の役割 → 求められる行動・能力 → 評価 → 次に任される役割

現在の役割から必要な能力、評価、次の役割へつながるキャリア形成の流れ

評価制度は単独で説明するのではなく、現在の役割から次の役割へ進む過程の中に位置づけると関係が伝わりやすくなります。

たとえば営業職なら、

  • 売上だけでなく顧客対応やチーム貢献も見る
  • 一定の経験を積むと後輩育成を担当する
  • マネジメント志向の場合はリーダー登用の対象になる
  • 専門性を深める場合は大口顧客や専門領域を担当する

といったつながりです。

クリエイトエス・ディーの採用サイトでは、「キャリアステップ」と「評価制度」を同じページ内で扱い、役割の変化と評価の関係を確認できるようにしています。

評価制度を細かく公開できない場合でも、「どのような行動や能力を重視するか」「昇格判断は何をもとに行うか」という考え方を示すと、候補者が成長条件を理解しやすくなります。

異動・キャリアチェンジは「できる」だけでなく実例を示す

「ジョブローテーションがあります」「希望に応じて異動できます」だけでは、候補者は実際にどの程度起こることなのか判断できません。

公開できる範囲で、

  • 営業から人事へ
  • 技術職から営業へ
  • 現場部門から企画部門へ
  • プレイヤーから管理職へ
  • 管理職ではなく専門職へ

といった実際の経路を示します。

英進館の採用サイトでは、教師職から運営責任者へ進んだケースや、別事業への異動、産休・育休を挟んだキャリアなどを年次とともに掲載しています。キャリアチェンジを制度名ではなく実例で確認できる構成です。

異動事例が少ない企業では、無理に多様なルートがあるように見せる必要はありません。

実際に存在する選択肢だけを示し、「異動は本人の希望だけでは決まらない」「募集状況や適性も考慮する」など、必要な条件を併記した方が実態に近い情報になります。

管理職だけでなく複数のキャリアルートを用意する

キャリアパスページで起きやすい問題の一つが、すべての社員が管理職を目指すような図になってしまうことです。

実態として複数の道があるなら、最初から分岐を見せます。

入社から中核担当まで進んだ後に管理職や専門職など4方向へ分岐するキャリアパス図

キャリアパスは管理職への一本道にせず、実際に存在する選択肢を同じ階層で示すと将来像を比較しやすくなります。

たとえば、

入社 → 基礎業務 → 中核担当

までを共通とし、その後を、

  • チームを率いる「マネジメント」
  • 特定分野を深める「スペシャリスト」
  • 複数部署を経験する「ゼネラリスト」
  • 新しい職種へ移る「キャリアチェンジ」

のように分けます。

アテックの採用サイトでは、キャリア支援策とともにゼネラリスト、スペシャリストのキャリア例を示しています。また、キャリア面談や研修なども同じ文脈で紹介しています。

「選択肢の数」を多く見せることが目的ではありません。自社に実際にあるキャリアの広がりを、候補者が比較できる状態にすることが目的です。

研修は一覧ではなくキャリアの各段階と結びつける

研修制度をキャリアパスページへ載せる場合、「研修が充実しています」と一覧を並べるだけでは不十分です。

どの段階で、何のために使う研修なのかをつなげます。

たとえば、

  • 入社直後:業務基礎研修
  • 独り立ち前:実務OJT
  • 中堅社員:専門研修
  • リーダー候補:マネジメント研修
  • キャリア転換時:職種別研修

という形です。

厚生労働省のセルフ・キャリアドックも、キャリア面談とキャリア研修などを組み合わせ、従業員の主体的なキャリア形成を支援する取組みとして説明されています。

研修制度の詳細そのものは別ページに置き、キャリアパスページでは「どの成長段階とつながる制度か」に絞ると、情報を整理しやすくなります。

社員紹介はキャリアパスを裏付ける補助情報として使う

キャリアパスページと社員紹介は役割が異なります。

キャリアパスページは、会社として用意している全体の選択肢や成長条件を整理するページです。

一方、社員紹介は「実際に一人の社員がどう歩んだか」を見せるページです。

そのため、

キャリアパス全体図 → モデルケース → 実際の社員紹介

という順にすると分かりやすくなります。

キャリアパス全体からモデルケースを経て実際の社員紹介へつなぐ情報構造

キャリアパスは会社全体の選択肢、モデルケースは代表例、社員紹介は一人の実体験として役割を分けます。

たとえば、キャリアパス上に、

  • 3年目で法人営業の主担当になった社員
  • 技術職から営業へ異動した社員
  • 専門職として技術を深めた社員

へのリンクを配置します。

社員の実例を会社全体の標準ルートとして見せないよう、「一例」であることも明記します。

実際の採用サイトでは5つの見せ方が使われている

公開されている採用サイトを見ると、キャリアパスの見せ方にはいくつかの型があります。

企業 主な見せ方 参考になる点
HOZEN 年次別の役割と研修 「いつ・何を任されるか」が分かる
リケンテクノス 複数の職種・異動ケース 一本道ではないキャリアを示せる
アテック キャリアルート+支援制度 成長機会と会社の支援をつなげている
クリエイトエス・ディー キャリアステップ+評価 役割変化と評価を同じページで確認できる
英進館 実在社員の時系列事例 異動やライフイベントを含む実例が分かる

自社ページですべてを採用する必要はありません。

職種数が少ない会社なら1〜2本の具体的なモデルケースを深く見せ、職種や部署が多い会社なら職種ごとに切り替えられる構造にするなど、自社の組織に合わせて選びます。

キャリアパスページは8つのセクションで構成できる

ページを新しく作る場合は、次の順番を基本にすると整理しやすくなります。

1.キャリアについての基本方針

会社がキャリア形成をどのように考えているかを短く示します。

2.職種ごとの入口

新卒、中途、経験者、未経験など、どこからスタートするのかを示します。

3.役割の変化

1年目、3年目、5年目などを目安に、担当業務や責任範囲の変化を示します。

4.成長に必要な経験・能力

次の段階に進むために必要な知識、スキル、経験を示します。

5.評価・登用の考え方

どのような行動や成果を評価し、役割変更や昇格につなげるのかを示します。

6.複数のキャリアルート

管理職、専門職、異動、キャリアチェンジなど、実際に存在する選択肢を示します。

7.研修・キャリア支援

各成長段階で利用できる研修、資格支援、面談などを紹介します。

8.モデルケースと社員事例

2〜3パターンのモデルケースを示し、必要に応じて社員紹介へリンクします。

この構成なら、「会社の考え方」から「自分の場合」まで順番に理解できます。

キャリアパスページは5ステップで作成する

実際の社員キャリアの棚卸しから人事と現場の確認までを示した5ステップの制作フロー

制度資料だけからページを作らず、実際の社員キャリアを起点に整理し、最後に人事と現場の両方で確認します。

STEP1.実在するキャリアを棚卸しする

人事制度の資料だけでなく、実際の社員がどのような異動や役割変化を経験しているか確認します。

STEP2.職種ごとの共通点と分岐点を整理する

入社直後から共通する部分と、管理職・専門職・異動などに分かれる部分を整理します。

STEP3.評価・研修・異動制度を対応づける

「制度がある」だけでなく、キャリアのどこで関係するのかを確認します。

STEP4.モデルケースを2〜3パターン作る

一つの理想像だけを作らず、実態に合う複数のケースを用意します。

STEP5.現場社員と人事で内容を確認する

制度上は可能でも実例がほとんどないことや、反対に制度資料には表れない実際のキャリアが存在することがあります。公開前に人事と現場の両方で確認します。

良い面だけでなく「条件」も書く

キャリアパスページでは、魅力的に見せることより、候補者が正しく判断できることを優先します。

採用研究では、仕事の良い面だけではなく実態に近い情報を伝える「Realistic Job Preview(現実的な職務情報の提示)」が長く研究されています。

Phillipsによる40研究のメタ分析では、現実的な職務情報の提示と、入社時の期待、離職、パフォーマンスなどとの関連が検討されています。また、Earnestらが52研究、約1万7,000人を対象に行ったメタ分析では、組織に対する「誠実さ」の認識が重要な仕組みとして示されました。

これらは採用サイトのキャリアパスページだけを対象にした研究ではありません。

ただし、「理想的な未来だけを見せるより、条件や実態を含めて伝える」という考え方は、キャリア情報を作る際にも参考になります。

たとえば、

  • 昇格時期は個人によって異なる
  • 異動には募集状況や適性も関係する
  • 希望した部署へ必ず異動できるわけではない
  • モデルケースは実際のキャリアをもとにした一例である

といった条件も併記します。

公開前に確認したいキャリアパスページのチェックリスト

以下の質問に答えられない箇所があれば、候補者にも伝わっていない可能性があります。

  • 入社直後に何をするか分かるか
  • 3〜5年後の役割変化が分かるか
  • 年次だけでなく仕事内容の変化を書いているか
  • 次の役割に進む条件が分かるか
  • 評価とキャリアの関係が分かるか
  • 管理職以外の選択肢を確認できるか
  • 部署異動や職種変更の実態が分かるか
  • 研修や資格支援がどの段階で役立つか分かるか
  • モデルケースが一つの成功例だけに偏っていないか
  • 実際の社員事例へ移動できるか
  • 「モデル」「一例」「目安」の区別が明確か
  • 現在の人事制度と内容が一致しているか

採用サイト全体を一度に見直す必要はありません。まずは主要職種のキャリアパス1ページをこの項目で棚卸しすると、不足している情報を特定しやすくなります。

採用サイトの掲載内容や不足情報を整理するときに使える無料資料は、無料ダウンロードから確認できます。

まとめ

採用サイトのキャリアパスページでは、「何年目にどの役職になるか」だけではなく、役割の変化、成長に必要な経験、評価、異動、研修、複数のキャリアルートを一つの流れとして見せることが重要です。

特に確認したいのは次の4点です。

  • 年次ではなく仕事と責任の変化を示す
  • 評価・研修・異動をキャリアとつなげる
  • 管理職だけでなく実在する複数ルートを示す
  • モデルケースと実例を区別する

候補者が「入社したら自分はどうなるのか」を具体的に考えられる状態を作れれば、キャリアパスページは単なる制度紹介ではなく、応募や入社判断に使える情報になります。

キャリアパスページ単体だけでなく、採用サイト全体で載せるべき情報を見直したい場合は、採用サイトに載せるべき情報の基礎知識を確認してください。

キャリアパスと合わせて求人一覧側の作り方も見直したい場合は、採用サイトの求人一覧ページの作り方を確認してください。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

  • パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査」
    「入社後のキャリアコースが明確に示されていること」に関する2026年データを参照。
    パーソル総合研究所の調査を見る

  • 株式会社マイナビ「2026年卒大学生就職意識調査」
    企業選択時に重視する項目の比較に使用。
    マイナビの調査を見る

  • 厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」
    キャリアの定義、企業内キャリア形成に関する説明に使用。
    厚生労働省の情報を見る

  • 厚生労働省委託事業「セルフ・キャリアドックとは」
    キャリア面談、研修などを組み合わせたキャリア形成支援の説明に使用。
    セルフ・キャリアドックの情報を見る

  • Phillips, J. M. (1998), “Effects of Realistic Job Previews on Multiple Organizational Outcomes: A Meta-Analysis”, Academy of Management Journal, 41(6), 673–690.
    DOI: 10.2307/256964
    論文情報を見る

  • Earnest, D. R., Allen, D. G., & Landis, R. S. (2011), “Mechanisms Linking Realistic Job Previews With Turnover: A Meta-Analytic Path Analysis”, Personnel Psychology, 64(4), 865–897.
    DOI: 10.1111/j.1744-6570.2011.01230.x
    論文情報を見る

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