[独自調査] Report ID: SBR-2026-022
公開日:2026年9月30日 著者:菊地 将
要旨
2021年と2026年の両方でWebページを取得できた同一企業20,978社について、CTAの変化を再分析しました。5年間で増えたのは主に「お問い合わせ」への導線で、資料請求・予約・相談・見積・デモ・セミナーなど、ユーザーが具体的な次のステップへ進むためのCTAを持つ企業の割合は、条件を近づけた比較ではほぼ変わっていません。2021年に「問い合わせのみ」だった企業の82%は、2026年になっても問い合わせのみでした。企業サイトは5年間で変わったように見えても、「ユーザーに次に何をしてもらうか」という出口設計は、意外なほど動いていないことが見えてきます。
企業サイトは、この5年間でユーザーに提示する「次の行動」を増やしてきたのでしょうか。
問い合わせフォームだけでなく、資料請求、予約、無料相談、見積、デモなど、ユーザーが問い合わせ前に一歩進める導線を用意する企業も増えているように見えます。
そこで今回、2021年と2026年の両方でWebページを取得できた同一企業20,978社について、CTAの変化を再分析しました。
結果は、想像していた「CTAの多様化」とは少し違いました。
5年間で増えたのは、主に「お問い合わせ」への導線でした。
一方、資料請求・予約・相談・見積・デモ・セミナーなど、ユーザーが具体的な次のステップへ進むためのCTAを持つ企業の割合は、条件を近づけた比較ではほぼ変わっていません。
さらに、2021年に「問い合わせのみ」だった企業の82%は、2026年になっても問い合わせのみでした。
企業サイトは5年間で変わったように見えても、「ユーザーに次に何をしてもらうか」という出口設計は、意外なほど動いていないことが見えてきます。
結論:資料請求や予約など「次の行動」を持つ企業は、5年間でほぼ増えていなかった
今回、CTAを大きく2つに分けて比較しました。
- 連絡系CTA:問い合わせ、電話、LINE、メール
- 行動系CTA:資料請求、予約、相談、見積、デモ・体験・トライアル、セミナー・ウェビナー
特に確認したかったのは、単に企業へ連絡する方法が増えたのか、それともユーザーが具体的な目的を持って次へ進めるようになったのか、という違いです。
2021年側で取得ページがトップページ1枚だけだった9,739社に絞った感度分析では、行動系CTAを1つ以上持つ企業は次の結果でした。
| 年 | 行動系CTAを持つ企業 |
|---|---|
| 2021年 | 10.45% |
| 2026年 | 10.48% |
| 差 | ほぼ0pt |

トップページ1枚のみ取得できた9,739社では、行動系CTAを持つ企業の割合は10.45%から10.48%でほぼ変わりませんでした。
つまり、約5年が経っても「資料請求・予約・相談・見積など、具体的な次の行動を用意している企業」は約1割のままでした。
20,978社全体で見ると13.63%から12.68%ですが、2021年は企業によって1〜5ページ取得されており、ページ数が多いほどCTAが見つかりやすいという条件差があります。そのため、本記事では条件差の影響が比較的小さい9,739社の結果を主に扱います。
ここから言えるのは「行動系CTAが減った」ではありません。
少なくとも今回比較できる範囲では、5年間でほとんど増えていないということです。
2021年に「問い合わせだけ」だった企業の82%は、5年後も問い合わせだけ
さらに変化が見えにくかったのが、「問い合わせのみ」の企業です。
2021年時点で、問い合わせ以外のCTAを確認できなかった企業は10,065社ありました。
その5年後を追うと、結果は次のようになりました。
| 2026年の状態 | 社数 | 割合 |
|---|---|---|
| 問い合わせのみのまま | 8,253社 | 82.0% |
| 行動系CTAを追加 | 616社 | 6.1% |
| 連絡系CTAのみ追加 | — | 約2.6% |
| 問い合わせ自体がなくなりCTAゼロ | 933社 | 9.3% |

2021年に問い合わせのみだった企業の82.0%は、2026年も問い合わせのみでした。資料請求や予約など行動系CTAを追加した企業は6.1%です。
2021年に問い合わせだけだった企業のうち、8割以上が5年後も同じ状態でした。
反対に、資料請求、予約、相談、見積、デモ、セミナーなどの行動系CTAを新たに加えた企業は6.1%にとどまります。
「問い合わせフォームはある。しかし、その前後に選べる行動はない」。
この状態は、5年間で大きく変わっていませんでした。
なお、2021年と2026年の両方で「問い合わせのみ」だった企業は8,253社で、今回の分析対象全体の39.3%にあたります。
5年間でCTA構成がまったく変わらなかった企業は68%
さらに企業ごとに10種類のCTAの有無を比べると、別の特徴も見えてきます。
2021年と2026年でCTAの構成が完全に同じだった企業は68.1%、14,290社でした。
内訳には、
- CTAが両年ともゼロだった企業
- 問い合わせのみを維持した企業
- 複数のCTAを同じ構成で維持した企業
などが含まれます。
企業サイトはデザインを刷新したり、ページ数を増やしたり、コンテンツを追加したりします。
しかしCTAだけを見ると、約7割の企業では5年前と構成が変わっていませんでした。
今回の調査では、「CTAが多様化した」というよりも、CTA設計そのものを大きく変えていない企業の多さのほうが目立つ結果となりました。
増えていたのは「次の行動」よりも、まず問い合わせできる状態
では、何も変わっていなかったのでしょうか。
そうではありません。
問い合わせ、電話、LINE、メールをまとめた「連絡系CTA」は、20,978社全体で63.5%から70.4%へ増えています。
ただし、その増加の中心は「お問い合わせ」でした。
| CTA | 2021年 | 2026年 | 差 |
|---|---|---|---|
| 問い合わせ | 63.4% | 70.2% | +6.8pt |
| 電話 | 1.34% | 2.15% | +0.8pt |
| LINE | 0.46% | 1.05% | +0.6pt |
| メール | 3.78% | 4.23% | +0.4pt |

連絡系CTAは増加しましたが、その中心は問い合わせリンクでした。一方、資料請求や予約など行動系CTAの保有率はほぼ横ばいです。
LINEは97社から221社へ2倍以上になっていますが、全体に占める割合はまだ約1%です。
電話も増えていますが、今回の再分析では、以前の記事で考えていたような「電話とLINEがCTA増加の中心」という結果にはなりませんでした。
増加の中心は、問い合わせリンクそのものです。
また、2021年にCTAがまったく確認できなかった企業から、2026年に初めてCTAが確認できるようになった企業も12.7%ありました。
つまり、この5年間の変化は、
「問い合わせの選択肢が多様になった」というより、「まず問い合わせできる入口を持つサイトが増えた」
と見るほうが今回のデータには合っています。
「連絡方法が増えた企業」の85%では、行動系CTAは増えていなかった
もう一つ特徴的だったのが、連絡系CTAと行動系CTAの関係です。
2021年から2026年にかけて、問い合わせ・電話・LINE・メールなどの連絡系CTAが増えた企業は3,231社ありました。
そのうち、行動系CTAが増えていなかった企業は2,751社。
連絡系CTAが増えた企業の85.1%では、資料請求や予約などの行動系CTAは増えていませんでした。
ただし、この結果も「電話やLINEだけ増えた」という意味ではありません。
増加の大部分は問い合わせリンクです。
電話・LINE・メールを新たに追加し、なおかつ行動系CTAが増えていなかった企業に絞ると606社、全体の2.9%でした。
したがって今回の結果は、
「企業サイトが連絡チャネルを大幅に多様化した」
というより、
「お問い合わせという入口は広がったが、その後の具体的な選択肢は広がっていない」
と捉えるのが妥当です。
行動系CTAは横ばいだが、中身は入れ替わっている
「行動系CTAが約1割のまま」と聞くと、5年間まったく企業の入れ替わりがなかったように見えるかもしれません。
実際にはそうではありません。
20,978社全体では、2021年に行動系CTAを持っていた企業のうち1,280社で、2026年には行動系CTAが確認できなくなりました。
一方、2021年には持っていなかったものの、2026年に新たに行動系CTAを持つようになった企業も1,080社あります。
企業単位では入れ替わっていますが、全体では差し引き約200社で、大きな増加にはなっていません。
種類別では、相談や資料請求は増加していました。
一方、見積、デモ、セミナーなどは減少しています。
ただし、この減少については注意が必要です。
2021年と2026年ではページ取得条件が完全には揃っておらず、ニュース記事などの文言をCTAとして拾っている可能性もあります。そのため、「見積やデモを設置する企業が実際に減った」と断定することはできません。
今回の結果から自社サイトで確認したい3つのこと
今回の調査は、「CTAが多いサイトほど成果が高い」ことを示すものではありません。
クリック率、問い合わせ数、CV数、売上は調査していないためです。
そのうえで、自社サイトの出口設計を見直すきっかけとしては、次の3点を確認できます。

CTAの数を増やすこと自体が目的ではありません。ユーザーが問い合わせ前に必要な情報や行動を選べるかを確認します。CTAを単体ではなく、記事閲覧から資料請求・問い合わせまでの流れで見直す場合は、オウンドメディアの集客導線の全体像もあわせて確認してください。
1. 「お問い合わせ」だけで終わっていないか
ユーザー全員が、いきなり企業へ問い合わせたいわけではありません。
商品やサービスによっては、
- まず資料を見る
- 費用感を知る
- 予約する
- デモを見る
- 自社に合うか相談する
- 見積条件を確認する
といった段階があります。
自社サイトのCTAが「お問い合わせ」だけの場合、問い合わせするほど検討が進んでいないユーザーの次の行動が用意されているか確認する余地があります。
2. ユーザーが問い合わせ前に進める導線があるか
今回、条件を近づけた比較では、行動系CTAを持つ企業は2026年でも約10.5%でした。
市場で少ないから設置すべき、という意味ではありません。
重要なのは、自社の商品・サービスでは「問い合わせの一歩手前」に何が必要なのかです。
資料、料金、事例、予約、診断、見積、デモなど、ユーザーが意思決定を一段進めるための情報や機能を確認します。資料やチェックリストなどを問い合わせ前の受け皿として用意する場合は、リードマグネットの作り方で、企画から記事内配置、フォーム、計測までの進め方を確認できます。
3. 5年前からCTA設計を見直しているか
今回、CTA構成が5年間まったく変わらなかった企業は68.1%でした。
サイトをリニューアルしていても、CTAは以前のままというケースも考えられます。
現在のユーザー行動、提供サービス、営業フローに対して、サイトの出口が今も適切なのかを定期的に確認する必要があります。
この記事を読んだあとに、まずやること
今回の調査結果を見て終わりにせず、まず自社サイトのトップページを開き、現在置いているCTAをすべて書き出してください。
そのうえで、次の順番で確認します。
- 「お問い合わせ」以外のCTAが何個あるか数える
- 電話、LINE、メールだけでなく、資料請求、料金確認、事例、予約、相談、見積、デモなども含めて確認します。
- 問い合わせ前のユーザーが取れる行動を分ける
- 「まだ問い合わせるほどではないユーザー」が次に何をできるかを見ます。
- 足りない行動を1つ決める
- たとえば、料金を知りたい人が多いなら料金ページ、比較検討したい人が多いなら事例や資料、具体的に話したい人が多いなら相談や予約です。
- 追加するCTAを1つだけ決めて、設置後の反応を見る
- CTAを一度に増やすのではなく、まず1つ追加し、クリックや問い合わせへのつながり方を確認します。配置・訴求・オファー・遷移先まで切り分けて検証する場合は、記事CTAのA/Bテストを設計する方法で検証手順を確認できます。
特に、トップページを見て「お問い合わせ」しか次の行動がない場合は、そのままにしないことが重要です。
今回の調査では、2021年に問い合わせのみだった企業の82%が、5年後も問い合わせのみでした。市場全体で動きが小さいからこそ、自社サイトでは「問い合わせ前のユーザーをどこへ進ませるか」を明確にする余地があります。
まずは今日、自社サイトのCTAを棚卸しし、問い合わせ前に必要な行動を1つ追加できないかを確認してください。
調査方法
調査の概要は次のとおりです。
- 調査主体:リブランディング株式会社(独自調査)
- 調査対象:2021年と2026年の両方でWebページを取得でき、比較可能だった同一企業20,978社(集計単位は企業単位)
- 比較時点:2021年・2026年
- 調査時期:2021年側は2021年8月29日を基準日にインターネットアーカイブ(Wayback Machine)へ保存されたページを取得しました(実際の保存時点は企業ごとに異なります)。2026年側は2026年8月28日〜29日(UTC)に現在のページを取得しました
2021年と2026年の企業サイトデータを、company_master_idで同一企業として突合しました。
2026年のWeb取得まで成功し、両年で比較可能だった企業は20,978社です。
既存記事では21,002社としていましたが、今回の再分析では24社少ない20,978社となりました。差の理由は特定できていません。無理に既存記事の母数へ合わせる調整は行っていません。
CTA判定には、2021年と2026年の両方に共通して保存されていた、
- CTAテキスト一覧
- CTAリンクURL一覧
を使用しました。
以前の記事で使用していた「トップページの内部リンク先頭30件」という条件は、2026年側の内部リンク一覧が保存されていないため、今回の再分析では再現していません。
また、2021年は企業によって1〜5ページ取得されている一方、2026年の取得ページ数は記録から確認できません。
そのため、2021年側がトップページ1枚だけだった9,739社を使った感度分析も行い、本記事では行動系CTAの経年比較についてはこちらを重視しています。
この調査から言えること・言えないこと
今回の調査から言えるのは、次の点です。
- 行動系CTAを持つ企業割合は、条件を近づけると5年間でほぼ横ばい
- 問い合わせなど連絡系CTAは増えている
- 増加の中心は問い合わせリンク
- 2021年に問い合わせのみだった企業の82%は、2026年も問い合わせのみ
- CTA構成が5年間変わらなかった企業は68.1%
一方、次のことは今回のデータだけでは分かりません。
- CTAのクリック率
- コンバージョン率
- 問い合わせ件数
- 売上への影響
- CTA追加・削除の理由
- CTAの位置やデザイン
- CTAを増やせば成果が上がるかどうか
また、対象企業は2021年のWayback等でページを取得できた企業に限られます。日本企業全体を代表する結果ではありません。
CTAの判定もキーワードとURLによるルールベースであり、正解ラベルを使った精度検証は実施していません。
まとめ
企業サイトのCTAは、この5年間で大きく多様化したのでしょうか。
今回、同一企業約2万社を2021年と2026年で比較したところ、資料請求、予約、相談、見積、デモ、セミナーなど、具体的な「次の行動」を持つ企業の割合はほぼ増えていませんでした。
条件を近づけた9,739社では、行動系CTAを持つ企業は10.45%から10.48%でほぼ横ばいです。
そして、2021年に問い合わせしかなかった企業の82%は、5年後も問い合わせのみでした。
さらに、CTA構成自体が5年間まったく変わらなかった企業は68.1%です。
この5年間で増えたのは、主に「お問い合わせ」という入口でした。
一方で、その先にある資料請求、予約、相談、見積、デモなどの選択肢は、全体としては大きく増えていません。
サイトを見直すときは、「問い合わせボタンがあるか」だけではなく、
ユーザーが問い合わせる前に、次に何をできるようにしているか
まで確認する必要があります。
この記事を読んだあとに、まず自社サイトのトップページを開き、CTAをすべて書き出してください。
もし「お問い合わせ」以外の選択肢がほとんどないのであれば、資料、料金、事例、予約、相談、見積、デモなどの中から、問い合わせ前のユーザーが次に取りたい行動を1つ決めて追加するところから始めます。
5年前と同じCTA構成のままなら、見た目のリニューアルではなく、サイトの出口設計そのものを見直すタイミングです。
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