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口コミの評価分布を分析する方法|1〜5星・件数・新鮮さ・競合差から改善優先度を決める

部署:マーケティング担当者部署:広報・PR担当者部署:経営者・責任者レベル:実践口コミ分析口コミ対策、レピュテーション管理
平均4.0でも星1〜5の評価分布が異なることを、口コミデータを確認する担当者の手元と2種類の分布グラフで表した画像

口コミ分析で平均評価だけを見ていると、顧客評価の重要な変化を見落とすことがあります。同じ平均4.0でも、「星4を中心に安定している店舗」と「星5と星1に評価が割れている店舗」では、顧客体験も確認すべき課題も異なるためです。

口コミの状態を判断するときは、1〜5星の評価分布を起点に、口コミ件数、新しい口コミの構成、過去との差、他店舗・競合との差まで確認することが重要です。本記事では、平均値を分解して評価の偏りを捉え、どの評価帯の口コミを深掘りし、何から改善すべきかを決める方法を解説します。

口コミの評価分布は「平均評価の中身」を見るために使う

口コミの評価分布とは、星1〜星5の口コミがそれぞれ何件、何%あるかを分けて確認する方法です。

評価分布を含む口コミ分析全体の見方と改善へのつなげ方は、口コミ分析とは?で整理しています。

Google Business Profileの公式ヘルプでは、Google上の口コミスコアは、その場所・事業者について公開されている評価の平均と説明されています。つまり平均評価は便利な指標ですが、1〜5星の構成を一つの数字へ圧縮したものです。

たとえば、口コミが100件ある次の2店舗は、どちらも平均評価4.0です。

評価 店舗A 店舗B
星5 20件 70件
星4 60件 0件
星3 20件 10件
星2 0件 0件
星1 0件 20件
平均評価 4.0 4.0

平均評価4.0の店舗Aと店舗Bで、星1〜5の口コミ件数と評価分布が大きく異なることを比較した図

同じ平均4.0でも、店舗Aは星3〜5へ集中し、店舗Bは星5と星1へ評価が分かれています。平均値だけでは、この違いを判別できません。

店舗Aは星3〜5に集まり、星1・2はありません。一方、店舗Bは星5が多いものの、星1も20%あり、評価が大きく分かれています。

平均だけを見れば同じ4.0ですが、店舗Bでは「一部の顧客だけが強い不満を感じる条件があるのか」「特定の商品・時間帯・店舗運営で評価が割れていないか」といった確認が必要です。

実際、LeeらがAmazon.comのDVD516商品、10,198件のレビューを分析した研究では、評価のばらつきが小さい場合と大きい場合で、ユーザーが平均評価や個別レビューをどう利用するかが異なることが示されています。評価の分散が大きいときほど、平均値だけではなく個々のレビューへ注意が向きやすくなりました。

評価分布は5つの指標をセットで見る

店舗運営や本部で口コミを診断するときは、評価分布だけを単独で見るのではなく、次の5つをセットにすると判断しやすくなります。

指標 基本的な見方 分かること
1〜5星の構成比 各評価件数 ÷ 全口コミ件数 評価の偏り・ばらつき
口コミ件数 累計件数と期間内件数 分布を見る際の母数
新鮮さ 直近期間の件数・構成 最近の顧客体験
過去・店舗差 前期・他店舗との差 自店舗固有の変化
競合差 同条件の競合との比較 市場内での相対的位置

口コミの状態を1〜5星の構成、口コミ件数、新鮮さ、過去・店舗差、競合差の5指標で分析する概念図

口コミ評価は星の分布だけで判断せず、件数・新鮮さ・過去や店舗との差・競合差まで組み合わせて確認します。

1〜5星は件数と構成比の両方を確認する

最初に各評価の件数を集計し、構成比へ変換します。

星5構成比 = 星5件数 ÷ 全口コミ件数 × 100

同じ方法で星1〜星4も算出します。

店舗間比較では、件数だけではなく構成比が必要です。口コミ1,000件の店舗で星1が50件ある場合と、口コミ100件で星1が20件ある場合では、星1の絶対数だけを比べても状態を判断できません。

実務では、次のようにまとめておくと変化を捉えやすくなります。

  • 高評価比率:星4+星5
  • 中間評価比率:星3
  • 低評価比率:星1+星2
  • 星1単独の比率
  • 星5単独の比率

ただし、「低評価が○%なら危険」といった一律の基準を最初から置く必要はありません。業種・媒体・商圏によって分布が異なるため、自店舗の過去や同条件の競合と比較した変化を見る方が実務的です。

口コミ件数は「分布をどこまで信頼してよいか」を判断する材料にする

構成比を見るときは必ず口コミ件数も並べます。

たとえば口コミ10件で星1が2件なら低評価比率は20%ですが、新たに星5が1件増えるだけでも分布は大きく動きます。一方、口コミ1,000件の店舗では1件追加されても分布はほとんど変わりません。

そのため、多店舗比較では「低評価率ランキング」だけを作るのではなく、母数を併記してください。

オンラインレビューに関する2024年のメタ分析では、156研究、214の効果量、69,006観測を統合し、レビューの評価方向だけでなくレビュー量も購買意向との関連が研究されてきたことが整理されています。ただし、商品・サービス・研究条件によって効果は異なるため、「件数が多ければ必ず成果が上がる」と因果関係を決めつけるべきではありません。

新鮮さは「最近の分布」を別に切り出して見る

累計評価が高くても、最近の口コミだけを見ると低評価が増えている場合があります。

そこで、累計分布とは別に、たとえば次の期間を切り出します。

  • 直近30日
  • 直近90日
  • 直近180日
  • 前年同期

店舗数や口コミ件数が少ない場合は、十分な件数が得られるまで期間を広げます。

たとえば社内管理用に、

直近90日構成比 = 直近90日の対象評価件数 ÷ 直近90日の全口コミ件数 × 100

と定義すれば、累計評価に埋もれている最近の変化を把握できます。

ここでいう「新鮮さ」は、口コミ分析のために設定する運用上の比較軸です。「新しい口コミほどGoogleの検索順位で有利になる」という意味ではありません。

なお、オンラインフードデリバリーを対象に311人で行われた実験では、ネガティブレビューについて、最近のレビューかどうかがレビューの有用性や注文意向と関係する結果が示されています。Googleマップの店舗口コミへそのまま一般化はできませんが、直近の低評価を別枠で確認する意義を考える参考になります。

口コミ評価分布は6ステップで分析する

評価分布を改善判断へつなげるには、「グラフを作って終わり」にせず、比較から原因候補の特定まで同じ手順で繰り返すことが重要です。

比較条件の設定から口コミ本文の原因分析まで、口コミ評価分布を分析する6ステップを示したフロー図

評価分布分析では、条件と母数をそろえ、最近の変化や他店舗・競合との差を確認してから、変化した評価帯の口コミ本文を深掘りします。

STEP1|比較条件をそろえる

最初に、比較するデータの条件を固定します。

最低限そろえたいのは次の項目です。

  • 口コミ媒体
  • 店舗・拠点
  • 対象期間
  • 星1〜5の件数
  • 口コミ総数
  • 投稿日
  • 比較対象となる競合
  • 業種・サービスカテゴリー
  • 商圏

Googleと別の口コミ媒体を一つの分布へ混ぜると、評価方法や利用者層の違いまで店舗差として扱ってしまいます。

競合比較でも、全国チェーンと地域の単店舗をそのまま比較するのではなく、商圏、業態、価格帯などが近い店舗を優先します。

STEP2|1〜5星の件数と構成比を並べる

まず累計の分布を作ります。

棒グラフなら横軸を星1〜5、縦軸を構成比に統一すると店舗比較が容易です。

平均評価の横に、

「星5 58%/星4 25%/星3 9%/星2 3%/星1 5%」

のような構成を置くだけでも、平均値だけを見る状態から大きく情報量が増えます。

STEP3|口コミ件数を重ねる

次に、構成比へ母数を加えます。

たとえば低評価比率が同じ10%でも、

  • 店舗A:口コミ20件、低評価2件
  • 店舗B:口コミ1,000件、低評価100件

では判断の確度が異なります。

件数が少ない店舗は短期間の変化だけで良し悪しを断定せず、観測期間を広げます。

STEP4|直近期間だけの分布を作る

累計分布と直近90日などの分布を並べます。

たとえば、

  • 累計:低評価8%
  • 直近90日:低評価18%

であれば、平均評価がまだ大きく下がっていなくても、最近の顧客体験に変化が生じている可能性があります。

反対に、累計では低評価が多くても、直近では減少しているなら、改善施策が機能している可能性を検証する材料になります。

Googleは、新しい口コミが投稿された後、表示される口コミスコアの更新に最大2週間かかる場合があると案内しています。短期間で変化を追う場合は、表示平均だけで判断せず、元の口コミ件数や投稿日も保存しておくと安全です。

STEP5|過去・他店舗・競合との差を出す

評価分布は絶対値より「差分」にすると改善対象を見つけやすくなります。

比較する順番は、

  1. 自店舗の前期
  2. 同一企業の他店舗
  3. 同商圏・同業態の競合

がおすすめです。

たとえば、

指標 自店 前期 他店舗中央値 競合中央値
星5比率 54% 58% 57% 60%
星4比率 27% 28% 27% 25%
星3比率 9% 8% 8% 7%
星1・2比率 10% 6% 8% 8%
直近90日件数 42件 38件 35件 46件

という状態なら、単に「平均評価が低い」と考えるのではなく、「最近、低評価側への移動が自店だけで起きている」という仮説を立てられます。

STEP6|変化した評価帯の口コミ本文を読む

最後に、分布で異常や差を見つけた評価帯だけを深掘りします。

星1・2が増えたのであれば、最近の星1・2を中心に、

  • 接客
  • 待ち時間
  • 商品・サービス品質
  • 価格
  • 説明
  • 施設・環境

などへ分類します。

評価分布の役割は「どの口コミを優先して読むか」を決めることです。

口コミ本文の分類は、「なぜその評価が生じたのか」を探るために使います。

この2つを分けることで、数百・数千件の口コミを最初からすべて細かく分類しなくても、変化が大きい領域へ分析工数を集中できます。

評価分布では4つのパターンを区別する

分布を見るときは、単純な「高い・低い」ではなく形を見ることが重要です。

分布パターン 状態 次に確認すること
高評価集中型 星4・5が中心 強みの維持、最近の低評価増加の有無
中央厚型 星3・4が多い 期待を超えられていない要因
二極型 星5と星1・2の両方が多い 条件別に体験差が生じる原因
低評価増加型 最近の星1・2が増加 直近の運用・商品・人員変更

口コミの星1〜5評価分布を、高評価集中型、中央厚型、二極型、低評価増加型の4パターンに分類した図

評価分布は平均点の高低だけでなく、星1〜5がどのような形で分布しているかを見ると、次に確認すべき課題を絞りやすくなります。

特に注意したいのが二極化です。

Schoenmueller、Netzer、Stahlは、25の主要オンラインプラットフォームから2億8,000万件超のレビューを分析し、多くのプラットフォームで評価が両端へ偏る「polarity」が見られると報告しました。また、極端な評価を持つ人ほどレビュー投稿へ参加しやすい自己選択が、その要因の一つであるとしています。

したがって、星1や星5が多いからといって、来店客全体が同じ割合で満足・不満を感じていると解釈することはできません。

評価分布は、顧客全体を無作為抽出した満足度調査ではなく、「実際に投稿された口コミの構成」として扱う必要があります。

改善優先度は「低評価率」だけで決めない

実務では、分布の大きさ、最近の変化、母数、他店舗との差を組み合わせて優先順位を決めます。

状態 判断 推奨対応
低評価比率が上昇し、直近期間でも増えている 優先度が高い 最近の星1・2をテーマ分類する
低評価比率が高いが件数が少ない 判断保留 期間を広げて再確認
星5から星4への移動が目立つ 潜在課題の可能性 星4の不満・要望を確認
自店だけ低評価側へ移動 店舗固有課題の可能性 他店舗との差を確認
全店舗・競合も同時に変化 外部要因の可能性 季節・価格・市場変化を確認
分布が改善し直近でも維持 改善継続候補 施策を維持して再測定

ここで重要なのは、評価分布から原因を断定しないことです。

「星1が増えた」という数字だけでは、接客が原因なのか、値上げなのか、待ち時間なのかは分かりません。

分布は異常を検知する指標、口コミ本文は原因候補を探る情報として役割を分けます。

店舗・競合比較では平均値ではなく「分布差」を見る

多店舗企業では、全店平均だけでは改善対象が埋もれます。

本部では店舗ごとに、

  • 星1〜5構成比
  • 口コミ総数
  • 期間内口コミ件数
  • 直近90日の構成比
  • 前期との差
  • 全店舗中央値との差
  • 競合中央値との差

を一覧化すると、優先的に確認すべき店舗を絞れます。

たとえば平均評価が3.9の店舗が3店あっても、

  • A店:長期間安定して3.9
  • B店:4.2から3.9へ低下
  • C店:3.6から3.9へ改善

では意味がまったく異なります。

「現在値」と「変化」を分けることが重要です。

競合比較でも同様です。自店4.1、競合4.3という0.2ポイント差だけではなく、星1〜5のどこで差が生まれているのかを確認します。

競合では星5が多いのか、自店では星3が厚いのか、自店だけ星1が多いのかによって、次に調べる内容が変わります。

評価分布から原因テーマを深掘りする

評価分布分析と口コミ本文のテーマ分析は、どちらか一方ではなく順番に使うと効率的です。

まず評価分布で「どこが変わったか」を確認し、その評価帯の本文から「なぜ変わったか」を探ります。

たとえば星1・2が直近3か月で増加しているなら、直近の低評価口コミを読み、頻出する評価要因を分類します。

星5が減り星4が増えているなら、「致命的な不満」ではなく、

  • 待ち時間が少し長い
  • 説明が不足している
  • 以前より価格が上がった
  • 品質は良いが期待ほどではない

といった、小さな不満や期待との差が増えていないかを確認します。

分布で対象を絞ってからテーマ分析を行うことで、分析結果を「接客改善」「待ち時間短縮」「説明の見直し」など具体的な施策へつなげやすくなります。

月次では1枚の評価分布シートにまとめる

店舗運営で毎月使う場合は、複雑な分析資料を作る必要はありません。

次の項目を1行1店舗で持つだけでも、変化を追跡できます。

項目 記録内容
店舗名 対象店舗
集計日 データ取得日
累計口コミ数 総件数
星5〜星1 各件数・構成比
高評価比率 星4+5
低評価比率 星1+2
直近90日件数 最近の母数
直近90日低評価比率 最近の状態
前期差 増減ポイント
全店中央値差 社内比較
競合差 市場比較
要確認評価帯 深掘り対象
主な原因候補 本文分析後に記入
改善施策 担当・期限
次回確認日 再測定時期

このシートを月ごとに保存すれば、「平均評価が何点になったか」だけではなく、「どの評価帯が、いつ、どの店舗で動いたか」を確認できます。

評価分布を見るときの注意点

評価分布は便利ですが、数字だけで店舗の状態を断定しないことが重要です。

評価分布を顧客全体の声として解釈する前に、店舗・時期・依頼チャネルなどの偏りがないかは、口コミデータのサンプル偏りを監査する方法で確認しておくと安全です。

第一に、オンライン口コミには投稿者の自己選択があります。実際の顧客全体を無作為に調査した満足度分布とは異なります。2億8,000万件超を扱った研究でも、極端な評価を持つ利用者の投稿行動が分布へ影響することが示されています。

第二に、媒体が違えばユーザー層や評価の付け方も異なります。競合比較では同じ媒体を使い、可能な限り同じ業態・商圏・期間で条件をそろえてください。

第三に、「分布が変わったこと」と「施策が原因で変わったこと」は別です。施策前後で星1が減ったとしても、季節、客層、価格、商品構成など別の条件が影響している可能性があります。

評価分布で変化を検知し、口コミ本文、問い合わせ、解約・再来店、待ち時間、売上などの社内データと照合することで、改善判断の精度を高められます。

まとめ

口コミ分析では、平均評価をゴールにせず、1〜5星の評価分布へ分解して見ることが重要です。

実務では、

  1. 星1〜5の件数と構成比を見る
  2. 口コミ件数で母数を確認する
  3. 直近30日・90日など最近の分布を切り出す
  4. 過去・他店舗・競合との差を見る
  5. 変化した評価帯の口コミ本文を深掘りする
  6. 改善後に同じ条件で再測定する

という順番で進めると、平均値だけでは見えない変化を改善テーマへつなげられます。

重要なのは「平均4.0だから問題ない」と判断することではありません。どの星が増減し、その変化がいつから起き、他店舗や競合と比べてどこが違うのかを見ることです。

評価分布を入口にすれば、大量の口コミから優先して確認すべき部分を絞り込み、店舗・本部の改善判断に使えるデータへ変えられます。

参考文献・データ元

  • Google Business Profile Help「Understand review scores for local places & businesses」:Google上の口コミスコアの算出方法、1〜5星評価、口コミ総数、スコア更新に関する説明。 参考元URL: https://support.google.com/business/answer/4801187?hl=en
  • Schoenmueller, V., Netzer, O., Stahl, F.(2020)“The Polarity of Online Reviews: Prevalence, Drivers and Implications”, Journal of Marketing Research, 57(5). DOI: 10.1177/0022243720941832。オンラインレビュー分布の極端化と自己選択に関する研究。 参考元URL: https://doi.org/10.1177/0022243720941832
  • Lee, S., Lee, S., Baek, H.(2021)“Does the dispersion of online review ratings affect review helpfulness?”, Computers in Human Behavior, 117, 106670. DOI: 10.1016/j.chb.2020.106670。評価分散とレビュー利用行動に関する研究。 参考元URL: https://doi.org/10.1016/j.chb.2020.106670
  • Kim, M., Kim, E. J., Busser, J. A.(2022)“Food delivery now or later: The match-up effect of purchase timeframe and review recency”, International Journal of Hospitality Management, 102, 103143. DOI: 10.1016/j.ijhm.2022.103143。レビューの新しさとネガティブ評価の受け止め方に関する実験研究。 参考元URL: https://doi.org/10.1016/j.ijhm.2022.103143
  • “How online reviews affect purchase intention: A meta-analysis across contextual and cultural factors”(2024), Data and Information Management, 8(2), 100058. DOI: 10.1016/j.dim.2023.100058。156研究を統合したオンラインレビューと購買意向のメタ分析。 参考元URL: https://doi.org/10.1016/j.dim.2023.100058
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