「エンジニアを採りたいが、求人媒体、スカウト、人材紹介のどれから始めればよいのか分からない」。人事や採用担当者の方は、媒体の数の多さと、料金の仕組みの違いに戸惑うことが多いはずです。 結論から言うと、媒体は、採りたい人の経験層と、費用が発生するタイミングで選びます。掲載や月額で費用が決まる媒体は、複数名の採用や若手の採用に向くとされ、採用が決まったときに費用が発生する成果報酬型は、即戦力や専門性の高い採用に向くとされています。ただ、これは解説記事を書いた会社の見方で、統計で裏付けられたものではありません。 この記事では、エンジニア採用の媒体を比べている3本の解説記事と、厚生労働省の統計、採用元の選択を扱った学術論文1本をもとに、媒体の種類、料金方式の違い、職種・経験層ごとの向き不向き、応募の質の見方を整理します。解説記事は、あくまでそれを書いた会社の見方として紹介します。
エンジニア採用の媒体は5つの種類に分けられる

分類は、媒体を比べた解説記事の記載を筆者が5つにまとめたものです。
エンジニア採用に使える手法は、解説記事によって分け方が少しずつ違います。採用手法を解説するサイトのWantedly Hiringeekは、求人広告、ダイレクトリクルーティング(企業が候補者に直接働きかける手法)、人材紹介、リファラル、アウトソーシングの5種類に分けています。この記事の表では、この手法をダイレクトスカウトとして扱います。媒体を比べている解説サイトのキャククルは、採用ブランディング(候補者に自社の魅力を伝え、認知を高める取り組み)、転職エージェントとダイレクトスカウト、副業・フリーランス、求人広告・マッチングに分類しています。運用の手順は、ダイレクトリクルーティングの導入と運用で整理しています。
ここでは、読者が使い分けやすいよう、次の5つにまとめて説明します。
| 種類 | どんな手法か | 費用が発生するタイミング |
|---|---|---|
| 求人広告・マッチング | 求人を媒体に掲載し、応募を待つ | 掲載や月額で決まる(掲載課金・月額課金) |
| ダイレクトスカウト | 企業から候補者に直接メッセージを送る | 利用期間に応じて決まる例がある |
| 人材紹介(転職エージェント) | 紹介会社が候補者を紹介する | 採用が決まったとき(成果報酬) |
| リファラル | 社員などの紹介で候補者に出会う | 基本は費用がかからない |
| 副業・業務委託 | 副業やフリーランスの人と業務委託で始める | サービスにより異なる |
表の「費用が発生するタイミング」は、3本の解説記事の記載を整理したものです。ダイレクトスカウトの課金の細かい形や、副業・業務委託サービスの費用は、記事ごとに違い、一般化できないため、詳しくは示していません。
料金方式の違い:掲載課金と成果報酬で何が変わるか

費用の考え方は、採用人数や経験層によっても変わります。料金は媒体の公式サイトで確認してください。
媒体を選ぶとき、最初に確認したいのは、費用がいつ発生するかです。キャククルの比較記事によると、掲載課金型・月額課金型は、一定期間、求人を掲載する料金形態です。一方、成功報酬型・人材紹介型は、採用が決まったときに費用が発生する形態です。
掲載課金や月額課金の媒体は、採用が決まらなくても費用が発生します。反対に、成果報酬型では、成果報酬の部分は採用が決まったときに発生します。金額は、次の表の人材紹介の目安のように、採用した人の年収などに連動する場合があります。
料金の目安も、Wantedly Hiringeekと、媒体を一覧にしている解説サイトのStockSunから確認できます。ただし、すべて第三者の記事に載っている数字で、公式の料金表で確認したものではありません。
| 手法 | 料金の目安(解説記事の記載) | 出典 |
|---|---|---|
| 求人広告 | 約20万〜180万円(4週間)。複数名の採用でも掲載料は一定 | Wantedly Hiringeek |
| 人材紹介 | 採用した人の推定年収の20〜30% | Wantedly Hiringeek |
| ダイレクトリクルーティング | 6か月の利用で総額60万円の例 | Wantedly Hiringeek |
| リファラル | 基本的に費用はかからない | Wantedly Hiringeek |
| 個別の媒体の例 | Greenは成功報酬で60万円から、Wantedlyは月4.5万円から | StockSun |
これらの数字は、媒体の運営側や解説記事による目安です。プランや条件は変更されるため、実際に使う前に、各媒体の公式サイトで最新の料金を確認してください。
人材紹介の「推定年収の20〜30%」は、たとえば推定年収が600万円の人を採用した場合、120万円から180万円が目安になる計算です。この計算は、記載された割合を使った筆者の算術で、実際の金額は契約条件によって変わります。社員の紹介で採用する場合の進め方は、リファラル採用の制度設計で整理しています。
職種・経験層ごとの向き不向き

キャククルとStockSunの記載を筆者が並べたものです。統計で確かめた結果ではなく、それぞれのサイトの見方です。
エンジニアといっても、採りたい人の経験や専門性によって、向く媒体は変わります。解説記事の記載を整理すると、次のようになります。
| 採りたい人 | 向くとされる手法 | 記載した記事 |
|---|---|---|
| 複数名、若手、Web系、要件が明確なポジション | 求人サイトへの掲載型 | キャククル |
| 即戦力、専門性の高い人 | 人材紹介、成功報酬型 | キャククル |
| 20代から30代の若手 | WantedlyやGreenなどの媒体 | StockSun |
| 管理職や専門職 | BizReachなどの媒体 | StockSun |
表は、各記事の記載を筆者が並べたものです。
向き不向きを考えるときは、媒体の利用者層だけでなく、自社の採用ポジションの条件も合わせて見てください。要件が明確で、複数名を採りたいなら、掲載型は費用が一定のため、1名あたりの負担を下げやすい、と解説記事は述べています。要件が固まっていない場合は、媒体を選ぶ前に、採りたい人の条件を社内で整理してください。
応募の質をどう見るか

段階の区切り方は筆者の提案です。採用単価、採用の質、採用までの期間は、論文が取り上げる指標に対応します。
媒体を使い始めたあとは、応募の「数」だけでなく「質」を見ます。採用元の選択が成果に与える影響を扱った研究に、IOP Conference Seriesに掲載された2018年の論文「Enhancing recruitment effectiveness in IT industry」があります。この論文は、採用元(recruitment source)の選択が、採用単価(採用者1人あたりにかかる費用)、採用の質、採用までの期間にどう影響するかを検討しています。今回確認できたのは要旨の範囲で、全文の結論までは確認できていません。
この論文は、媒体の良し悪しを「応募数」だけで決めない、という考え方の参考になります。論文の個別の結論や数字は、要旨だけでは確認できないため、ここでは使いません。
応募の質を見るために、媒体ごとに次の段階を記録しておくと、比較しやすくなります。
- 応募数。媒体ごとに何件の応募があったか。
- 書類の通過数。募集の条件に合った応募がどれだけあったか。
- 面接に進んだ数。
- 内定を出した数と、承諾された数。
- 入社後の状況。採用単価、採用までにかかった期間、入社後の定着や活躍。
どの段階で数が大きく減るかを見ると、原因を探る手がかりになります。ただし、減った理由の特定には、応募者への聞き取りなどの確認も必要です。採用単価は、媒体費、紹介料、社内の工数など、何を含めるかを媒体間でそろえて比べてください。媒体どうしを比べるときは、募集する職種、求める要件、集計する期間もそろえてください。
ここで、1つ注意があります。応募数が多い媒体が、質も高いとは限りません。応募が多くても、書類通過の割合が低ければ、書類の確認にかかる負担が増える場合があります。要件に合う応募者の数や、採用に至った数も合わせて見てください。数字の良し悪しの基準は、今回の調査では確認できていないため、自社の過去の採用の実績と比べて判断してください。
採用市場の状況をどう見るか
媒体を選ぶ前に、採用市場の状況も押さえておきます。厚生労働省の「一般職業紹介状況」の令和8年8月分によると、有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で、前月と同水準でした。新規求人倍率(季節調整値)は2.06倍で、前月を0.04ポイント下回りました。
有効求人倍率は、求人と求職の状況を示す指標です。厚生労働省は、この統計を、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめたものと説明しています。ハローワークの数字にもとづく指標である点に注意してください。エンジニアなどの職種別の倍率は、今回確認した統計のページでは確認できませんでした。そのため、エンジニア採用の難しさそのものを、この数字から言い切ることはできません。
媒体を選ぶ手順
ここまでの内容をもとに、媒体を選ぶ順番を整理します。予算をどう配分するかは、採用チャネルの予算配分の設計で整理しています。
- 採りたい人数と経験層を決める。複数名の若手なのか、専門性の高い1名なのかを、先に言葉にします。
- 費用が発生するタイミングを、自社の事情に合わせて決める。採用が決まらなくても費用が発生してよいか、採用が決まったときに支払う形にしたいかを考えます。
- 候補の種類を2つほどに絞る。たとえば、求人広告と人材紹介のように、料金方式の違う2つです。
- 各媒体の公式サイトで、最新の料金と条件を確認する。解説記事の数字は目安です。
- 応募の流れを記録する。応募数から入社後の状況まで、媒体ごとに比べられる形で残します。
- 一定期間のあとで、使い続ける媒体を見直す。
| 迷ったときの観点 | 掲載課金・月額課金の媒体 | 成果報酬型・人材紹介 |
|---|---|---|
| 費用が発生する時期 | 採用が決まる前から | 採用が決まったとき |
| 向くとされる場面 | 複数名、若手、要件が明確 | 即戦力、専門性が高い |
| 確認したいこと | 掲載期間と料金、応募の質 | 手数料の割合、返金の条件 |
表は、解説記事の記載を整理した筆者のまとめです。「返金の条件」は、確認すべき観点として筆者が加えたもので、解説記事の記載ではありません。
媒体を決める前の確認リスト
- 採りたい人数と経験層を言葉にした。
- 費用が発生するタイミングの違いを理解した。
- 解説記事の料金は目安であると理解し、公式サイトで最新の料金を確認する予定である。
- 応募数、書類通過数、面接数、内定の承諾数を、媒体ごとに記録する準備をした。
- 応募数だけで媒体を評価しないと決めた。
- 見直しの時期を決めた。
この記事の調べ方と、読むときの注意
ここまでの内容は、媒体を比べた3本の解説記事、厚生労働省の統計1件、学術論文の要旨を読んで整理したものです。解説記事はどれも民間の企業や媒体が書いたもので、その会社の見方が入っています。料金の数字は、運営側の目安や第三者が書いた数字で、公式の料金表では確かめていません。
調べても分からなかったことも残っています。個別の媒体の公式の料金とプラン、エンジニア職種別の有効求人倍率、媒体ごとの応募の質を比べた統計、学術論文の全文の結論です。応募の質の良し悪しの基準や、媒体ごとの成果の差を示す数字は、この記事には載せていません。
まとめ
エンジニア採用の媒体は、大きく5つ(求人広告・マッチング、ダイレクトスカウト、人材紹介、リファラル、副業・業務委託)に分けられます。選ぶときの軸は、費用が発生するタイミングと、採りたい人の経験層です。
掲載や月額で費用が決まる媒体は、複数名や若手の採用に向くとされ、採用が決まったときに費用が発生する成果報酬型は、即戦力や専門性の高い人の採用に向くとされています。ただ、これは解説記事の見方です。実際の料金は媒体や契約によって違うので、各媒体の公式サイトや契約内容で確かめてください。
媒体を決めたあとは、応募数、書類の通過数、面接に進んだ数、内定と承諾の数、入社後の状況を、段階ごとに記録しておくと役に立ちます。どの段階で数が減っているかが見えて、次の手を考えやすくなります。
まず、採りたい人数と経験層を決めるところから始めてください。
参考文献・データ元
この記事で参照した情報を確認できます。
- キャククル「エンジニア採用媒体の比較」(確認日 2026年11月4日) https://www.shopowner-support.net/hr/personnel-recruitment/engineer/recruitingmedia-engineer/
- StockSun「エンジニア採用媒体一覧」(確認日 2026年11月4日) https://stock-sun.com/column/hiring-engineers/
- Wantedly Hiringeek「エンジニア採用の手法と媒体」(確認日 2026年11月4日) https://www.wantedly.com/hiringeek/?p=1628
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」(確認日 2026年11月4日) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76397.html
- Priyaadharshini, R. G. (2018). Enhancing recruitment effectiveness in IT industry. IOP Conference Series: Materials Science and Engineering, 390(1), 012031. DOI: 10.1088/1757-899X/390/1/012031 https://www.amrita.edu/publication/enhancing-recruitment-effectiveness-in-it-industry/
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