ネット上の誹謗中傷、個人情報の晒し、口コミサイトの悪評——こうしたネガティブなコンテンツは、放置すればするほど閲覧者が増え、企業の売上や採用、個人の社会生活に深刻な影響を与え続けます。

ネット上の書き込みや記事は、内容と手続き次第で削除できる可能性があります。しかし、削除依頼の方法は掲載サイトによって異なり、手順を間違えると対応してもらえないケースも少なくありません。

この記事では、ネットの削除依頼について、自分で行う方法から弁護士への依頼、法的手段まで段階的に解説します。サイト別の具体的な手順、費用相場、削除できないケースの代替策まで網羅しています。

この記事でわかること

  • ネットの削除依頼の基本的な流れと判断基準
  • 削除できるケース・できないケースの違い
  • サイト別の削除依頼方法(Google・掲示板・SNS)
  • 自分で行う場合と弁護士に依頼する場合の使い分け
  • 法的手段(送信防止措置・仮処分)の流れと費用相場
  • 削除できない場合の代替策

ネットの削除依頼とは

ネットの削除依頼とは、インターネット上に掲載されている自分(または自社)に関するネガティブなコンテンツについて、サイトの管理者やプラットフォームの運営元に対し、その削除を求めることです。

削除依頼の対象となるコンテンツは、掲示板の書き込み、口コミサイトの投稿、SNSの投稿、ブログ記事、ニュース記事、画像・動画など多岐にわたります。

削除依頼できるケース・できないケース

ネット上のコンテンツがすべて削除できるわけではありません。削除が認められるかどうかは、そのコンテンツが法律上の権利侵害に該当するかどうかが基本的な判断基準です。

削除が認められやすいケース 削除が難しいケース
名誉毀損(事実を示して社会的評価を低下させる投稿) 公共性のある事実の摘示(公人の不正報道など)
プライバシー侵害(住所・電話番号・本名の無断公開) 真実であり公益目的がある投稿
肖像権侵害(無断で撮影・公開された顔写真) 単なる感想・意見の表明(「まずかった」「接客が悪い」など)
著作権侵害(コンテンツの無断転載・盗用) 口コミサイトの主観的な低評価
リベンジポルノ・性的画像の無断公開 投稿者の表現の自由が優先される意見論評
犯罪予告・脅迫に該当する投稿 すでに広く知られている公知の事実

ポイント:「不快だから」「売上に影響するから」という理由だけでは削除は認められません。削除が認められるには、名誉毀損・プライバシー侵害など、法律上保護される権利が侵害されていることが必要です。口コミサイトの低評価や主観的な感想は、それだけでは削除の対象にならないケースが多いことを理解しておきましょう。

ネットの削除依頼の流れ|3つの段階

ネットの削除依頼は、以下の3段階で進めるのが基本です。まずは自分で対応し、それでも削除されない場合に弁護士への依頼や法的手段に移行します。

段階①:自分でサイト管理者に削除依頼する

最も基本的な方法は、コンテンツが掲載されているサイトの管理者や運営元に直接削除を依頼することです。費用は無料で、最も手軽に実行できます。

具体的な手順:

  • サイトの「お問い合わせ」フォームや削除依頼フォームを探す
  • 削除を求めるコンテンツのURL・投稿番号を特定する
  • どの権利が侵害されているか(名誉毀損・プライバシー侵害など)を明記する
  • 削除依頼の理由を具体的に記載する
  • 本人確認書類が必要な場合は準備する
削除代行業者への依頼は要注意

弁護士資格を持たない業者が報酬を得て削除依頼を代行する行為は、「非弁行為」(弁護士法第72条違反)に該当する可能性があります。実際に裁判所が削除代行業者との契約を無効と判断した判例もあります。削除依頼を第三者に任せる場合は、必ず弁護士に依頼しましょう。

段階②:弁護士に削除依頼を依頼する

自分で削除依頼をしても応じてもらえない場合、弁護士に依頼することで削除の成功率が高まります。

弁護士が行うのは、基本的に本人と同じ削除依頼フォームからの申請です。しかし、弁護士名義での依頼はサイト管理者に対して大きなプレッシャーとなり、個人名義では応じてもらえなかった削除依頼にも対応してもらえるケースがあります。

弁護士に依頼するメリットは以下の通りです。

  • 法的根拠を適切に整理した削除依頼ができる
  • 弁護士名義の威力で管理者が迅速に対応する可能性が高まる
  • 削除に応じてもらえない場合、送信防止措置や仮処分にスムーズに移行できる
  • 発信者情報開示請求や損害賠償請求も併せて検討できる

段階③:法的手段で削除を求める

サイト管理者が削除依頼に応じない場合、法的手段によって削除を求めることができます。主な法的手段は以下の2つです。

送信防止措置依頼:情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)に基づき、サイト管理者やプロバイダに対して権利侵害情報の削除(送信防止措置)を正式に求める方法です。所定の書式に、侵害された権利と侵害の理由を記入して送付します。管理者は受領後、発信者に意見照会を行い、7日以内に反論がなければ削除することができます。

削除仮処分命令の申立て:裁判所に対して、投稿の削除を命じる仮処分を申し立てる方法です。送信防止措置依頼でも応じてもらえない場合の最終手段となります。裁判所の命令には法的強制力があるため、管理者が削除に応じる可能性が高くなります。

削除依頼の費用相場

削除依頼にかかる費用は、誰に依頼するか・どの手段を取るかによって大きく異なります。

方法 費用の目安 対応期間の目安
自分で削除依頼(フォーム申請) 無料 数日〜数週間
弁護士に削除依頼を依頼 着手金5万〜10万円+成功報酬5万〜10万円 数日〜1ヶ月
送信防止措置依頼(弁護士経由) 着手金10万〜20万円+成功報酬10万〜20万円 2週間〜1ヶ月
削除仮処分の申立て(弁護士経由) 着手金20万〜40万円+成功報酬15万〜30万円+裁判費用 1〜3ヶ月

上記はあくまで目安であり、弁護士(法律事務所)によって料金設定は異なります。事前に見積もりを取り、費用対効果を検討しましょう。

ポイント:総務省の支援事業である「違法・有害情報相談センター」では、削除依頼の方法に関する相談を無料で受け付けています。自分で削除依頼する方法がわからない場合は、まずこちらに相談するのも有効です。

サイト別の削除依頼方法

削除依頼の手順はサイトごとに異なります。主要なサイト・プラットフォームの削除依頼方法を整理します。

Googleの削除依頼

Googleへの削除依頼には2つの意味があります。「Google検索結果からの削除」と「Googleサービス上のコンテンツ(口コミなど)の削除」です。

Google検索結果からの削除:Googleはコンテンツの所有者ではないため、検索結果から削除しても元のサイトにコンテンツは残り続けます。根本的な解決には、コンテンツが掲載されているサイト側への削除依頼が必要です。ただし、以下に該当する場合はGoogleに直接削除を申請できます。

Googleが削除に応じる個人情報の例
同意のない露骨な個人画像・ディープフェイク
金融情報(口座番号・クレジットカード番号など)
医療記録
国民ID・マイナンバーなどの公的身分証情報
「晒し行為」に該当するコンテンツ
未成年の画像

申請はGoogleの「コンテンツの削除リクエスト」ページから行えます。対応には数日〜数ヶ月かかる場合があります。

Google口コミの削除:Googleビジネスプロフィールに投稿された口コミは、Googleのポリシーに違反している場合に削除申請が可能です。口コミの横にある旗アイコン(報告ボタン)から通報するか、Googleビジネスプロフィールの管理画面から申請します。

掲示板の削除依頼

匿名掲示板は誹謗中傷の温床になりやすく、削除依頼の需要が高いサイトです。主要な掲示板の削除方法を整理します。

掲示板 削除依頼の方法 必要事項 対応期間
5ちゃんねる メール(meiyokison@5ch.net)で削除要請 件名「削除申し立て」、URL、レス番号、削除理由、本人確認資料 数日〜数週間
爆サイ スレッド下部の「削除依頼」ボタンからフォーム送信 レス番号、通報区分、名前(フルネーム推奨)、メールアドレス、削除理由 数日〜2週間
雑談たぬき 問い合わせ窓口のメールアドレスから送信 スレッド名、URL、レス番号、削除理由 3日〜14日

削除されやすくするポイント

  • 削除理由は「どの利用規約・禁止事項に違反しているか」を具体的に記載する
  • 「名誉毀損」「プライバシー侵害」など、権利侵害の種類を明記する
  • 削除したい投稿が複数ある場合も、1件ずつ個別に申請する
  • 名前や連絡先は正確に記載する(匿名での依頼は対応されにくい)
  • 感情的な文面ではなく、事実と根拠に基づいて簡潔に記載する

SNSの削除依頼

SNSの投稿は拡散力が高く、早期の対応が重要です。主要なSNSの削除依頼方法を整理します。

SNS 削除依頼の方法 対象
X(旧Twitter) 投稿の「…」メニュー→「ポストを報告」から通報。ヘルプセンターから個人情報報告フォームも利用可能 誹謗中傷、個人情報の晒し、なりすまし、著作権侵害
Instagram 投稿右上の「…」→「報告する」から理由を選択して通報 ヌード・わいせつ、ヘイトスピーチ、暴力、嫌がらせ、なりすまし、知的財産侵害
Facebook 投稿の「…」→「投稿を報告」。コミュニティ規定違反の場合に削除対象 暴力・過激描写、ヘイト、プライバシー侵害、なりすまし
YouTube 動画下部の「報告」ボタンから通報。著作権侵害はYouTube Studio経由で削除リクエスト プライバシー侵害(個人特定可能な映像・音声)、コミュニティガイドライン違反、著作権侵害
TikTok 動画の「共有」→「報告する」から理由を選択。プライバシーに関するフォームも利用可能 ハラスメント、プライバシー侵害、なりすまし、有害コンテンツ

転職口コミサイトの削除依頼

転職口コミサイト(OpenWork、転職会議、エン・ジャパンのライトハウスなど)のネガティブな投稿は、採用活動に直接影響します。

口コミサイトの削除は、サイトのガイドラインに明確に違反している場合(事実と異なる記載、個人名の記載、機密情報の漏洩など)に限られます。「退職者の主観的な不満」や「待遇に対する低評価」は、表現の自由の範囲として削除が認められないケースが多い点に注意が必要です。

削除依頼は各サイトの「お問い合わせ」フォームから、ガイドライン違反の具体的な箇所を指摘して申請します。

ネット上のネガティブ情報を一元管理しませんか?

「デジタルリスクCLOUD」は、検索結果・サジェスト・口コミサイト・SNSに掲載されている自社関連のネガティブ情報を常時監視し、削除依頼の要否判断や対応優先度の整理を支援するクラウドサービスです。

デジタルリスクCLOUDの詳細はこちら →

削除依頼が通らない場合の対処法

削除依頼を行っても、すべてのコンテンツが削除されるわけではありません。サイト管理者の判断で削除に応じてもらえない場合や、法的にも削除が認められないケースがあります。

その場合でも、ネガティブ情報の影響を最小化する方法はあります。

対処法①:逆SEO対策でネガティブ情報の検索順位を下げる

ネガティブな記事やページを直接削除できなくても、自社サイトやポジティブなコンテンツの検索順位を上げることで、相対的にネガティブ情報の順位を下げることができます。企業名で検索した際の1ページ目からネガティブ情報を押し出すことが目標です。

対処法②:サジェスト対策でネガティブキーワードの表示を抑制する

「〇〇株式会社 ブラック」「〇〇 詐欺」などのネガティブなサジェスト(検索候補)が表示されている場合、サジェスト対策によって表示を抑制できる場合があります。

対処法③:ポジティブコンテンツの発信強化

自社のオウンドメディア、プレスリリース、SNS公式アカウントなどを通じて、企業の実績・取り組み・社会貢献などのポジティブな情報を積極的に発信し、検索結果全体のバランスを改善します。

対処法④:モニタリング体制の構築

ネガティブ情報は一度対処しても、新たに投稿されることがあります。自社名やサービス名に関する投稿を継続的にモニタリングし、問題のある投稿を早期に発見・対処する体制を構築しましょう。

ネットの削除依頼に関する注意点

削除依頼を行う際に知っておくべき注意点をまとめます。

注意点①:削除依頼自体がリスクになる場合がある

5ちゃんねるのように、削除依頼の内容がスレッド上で公開される掲示板もあります。削除依頼をしたこと自体が新たな話題となり、「ストライサンド効果」(削除しようとしたことで逆に注目を集めてしまう現象)を招く可能性があります。削除依頼を出す前に、リスクとメリットを冷静に比較しましょう。

注意点②:Googleの検索結果削除は根本的な解決にならない

Googleの検索結果からコンテンツを削除しても、元のサイトにコンテンツは残り続けます。他の検索エンジン(Yahoo!、Bingなど)やSNS経由でアクセスされる可能性があるため、コンテンツが掲載されているサイト側への削除依頼が根本的な解決策です。

注意点③:証拠を保全してから削除依頼する

将来的に損害賠償請求や発信者情報開示請求を検討する可能性がある場合、削除される前にスクリーンショットやURLを証拠として保全しておきましょう。削除された後では証拠が残らず、法的手続きが困難になります。

注意点④:削除代行業者は非弁行為のリスクがある

弁護士資格を持たない業者が報酬を得て削除の交渉・代行を行うことは、弁護士法違反(非弁行為)に該当する可能性があります。裁判で契約が無効と判断された事例もあるため、削除依頼を第三者に任せる場合は弁護士に依頼しましょう。

まとめ:削除依頼の手順と、削除できない場合の備え

ネット上のネガティブなコンテンツは、内容と手続き次第で削除できる可能性があります。まずは自分でサイト管理者に削除を依頼し、応じてもらえない場合は弁護士への相談、法的手段と段階的に対応しましょう。

段階 方法 費用目安
段階① 自分でサイト管理者に削除依頼(フォーム・メール) 無料
段階② 弁護士に削除依頼を依頼 5万〜20万円
段階③ 法的手段(送信防止措置・仮処分) 20万〜70万円
代替策 逆SEO・サジェスト対策・ポジティブコンテンツ発信 内容により異なる

ただし、すべてのネガティブ情報が削除できるわけではありません。口コミサイトの主観的な評価や、公共性のある事実の報道など、法的にも削除が認められないケースは多くあります。

そのような場合は、「削除」だけにこだわるのではなく、逆SEO対策やサジェスト対策、ポジティブコンテンツの発信強化など、削除以外の方法で検索結果全体のバランスを改善するアプローチも検討しましょう。

ネガティブ情報の「発見」から「対策」までワンストップで

「デジタルリスクCLOUD」は、検索結果・サジェスト・口コミサイト・SNSの常時監視から、削除依頼の要否判断、逆SEO・サジェスト対策、レピュテーション回復までをワンストップで支援するクラウドサービスです。まずは自社のデジタルリスクの現状を把握しましょう。

デジタルリスクCLOUDで無料相談する →