テレワークは一時的な感染症対策ではなく、企業の働き方の一つとして定着しています。
一方、自宅・コワーキングスペース・外出先など、オフィス外で業務を行うことで、端末管理、ネットワーク、画面の映り込み、資料の持ち出し、オンライン会議、SNS投稿など新しいリスクが生じます。
この記事では、テレワークで企業が確認すべきWeb・情報セキュリティ上のリスクと、事故を防ぐための実務対策を整理します。
テレワークのリスクは「場所が変わること」から生まれる
オフィスでは、社内ネットワーク、入退室管理、上司や同僚の目、設備の管理など、複数の安全策があります。
テレワークでは、その一部を自宅や個人の環境へ移すことになります。

そのため、次のリスクを分けて考えます。
- 端末の紛失・盗難
- マルウェア・フィッシング
- 不安全なWi-Fi
- 私物端末の利用
- クラウド設定ミス
- ファイル共有ミス
- オンライン会議の誤配信
- 紙資料の放置
- 家族・第三者による画面閲覧
- SNSへの業務情報の映り込み
テレワークの主なWebリスク
1. 機密情報の漏えい
自宅の机に顧客資料を置いたままにする、画面共有で別の顧客情報を映す、オンライン会議の背景に資料が映るなど、日常的な行動から漏えいする可能性があります。
2. 私物端末・私物クラウドの利用
会社が管理していないPC、USBメモリ、個人メール、個人クラウドへ業務情報を移すと、退職後もデータが残るなど管理不能になる場合があります。
3. フィッシング・アカウント乗っ取り
テレワークではメール、チャット、クラウドサービスへの依存度が高くなります。
認証情報を盗まれると、社内システムへ外部から侵入される可能性があります。
4. オンライン会議の誤操作
招待URLの誤送信、録画の共有範囲ミス、画面共有の誤操作、会議内容の無断録音などに注意します。
5. SNS投稿からの情報漏えい
「在宅勤務中」と投稿した写真の背景に、顧客名、社内チャット、開発中の製品、会議資料が映り込むことがあります。

企業側が整備すべきセキュリティ対策
総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」では、テレワークを安全に利用するための考え方と対策例が整理されています。
企業は自社の業務や端末構成に合わせて、少なくとも次を確認します。
端末管理
- OS・ソフトウェアを更新する
- セキュリティソフトを適切に運用する
- 端末を暗号化する
- 紛失時に利用停止できるようにする
- 管理外端末の利用条件を決める
アカウント管理
- 多要素認証を使う
- パスワードを使い回さない
- 権限を必要最小限にする
- 退職・異動時に権限を削除する
- 共有アカウントを減らす
ネットワーク
- 不明な公衆Wi-Fiを避ける
- 会社指定の接続方法を利用する
- 自宅ルーターの初期パスワードを変更する
- 必要に応じてVPN等を利用する
データ管理
- 個人クラウドへ保存しない
- 業務ファイルの保存場所を統一する
- 外部共有リンクの期限・権限を確認する
- USB等の利用ルールを決める

SNS・風評被害対策もテレワーク規程に含める
情報セキュリティ規程だけでは、私的SNSへの投稿までは十分にカバーできない場合があります。
テレワーク時には、次のルールも明確にします。
- 業務画面をSNSへ投稿しない
- オンライン会議の画面を無断で公開しない
- 顧客・取引先について書かない
- 会社の未公開情報を投稿しない
- 社内トラブルを感情的に発信しない
- 誤投稿に気づいたらすぐ報告する
「自宅だから自由」ではなく、業務情報を扱う場所としての責任を共有します。

事故が起きたときの初動
情報漏えい・誤送信・アカウント乗っ取り等が発生した場合は、隠さず早く報告することが重要です。
- 発生日時と状況を記録
- 関係する端末・アカウントを特定
- 必要に応じてアクセス停止・パスワード変更
- 漏えいした情報の範囲を確認
- 情報システム・法務・広報等へ共有
- 影響範囲に応じて関係者への連絡を検討
- 原因と再発防止策を整理
社員が自己判断でログや証拠を消さないよう、報告フローを事前に決めておきます。
テレワーク教育で扱うべき内容
- フィッシングメールの見分け方
- パスワード・多要素認証
- 画面共有の注意
- クラウド共有設定
- SNSへの映り込み
- 紙資料の処分
- 私物端末のルール
- 公衆Wi-Fiの注意
- インシデント報告
研修は一度で終わらせず、定期的に更新します。
よくある質問
自宅のWi-Fiなら安全ですか?
一律に安全とは言えません。ルーター設定やパスワード、端末の状態を確認し、会社が定めた接続ルールに従ってください。
個人PCを仕事に使ってもよいですか?
会社のルールによります。私物端末を許可する場合は、データ保存、ウイルス対策、暗号化、退職時のデータ削除など管理方法を決める必要があります。
テレワーク中のSNS投稿も会社のリスクになりますか?
業務画面や顧客情報、職場情報が映り込めば会社の情報漏えいにつながります。SNS教育もテレワーク対策の一部として扱います。
まとめ
テレワークのWebリスクは、情報セキュリティだけでなく、SNS、クラウド、オンライン会議、端末管理など複数の領域にまたがります。
企業は総務省のテレワークセキュリティガイドライン等も参照しながら、自社の働き方に合わせて端末・アカウント・データ・SNSのルールを整備し、事故を早期に報告できる体制を作ることが重要です。
参考:
– 総務省「テレワークセキュリティガイドライン」
– IPA「テレワークを行う際のセキュリティ上の注意事項」
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