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SNSマーケティングとは?戦略・運用・KPI・媒体の選び方を企業向けに解説

部署:マーケティング担当者部署:広報・PR担当者レベル:基礎知識
SNSマーケティングの目的・媒体・KPI・運用をデスク上で設計している様子

「SNSを始めたいが、Instagram・X・YouTubeなど、どの媒体を選べばよいか分からない」「フォロワー数以外に何を成果として見ればよいのか決められない」という企業は少なくありません。SNSマーケティングで重要なのは、投稿を始める前に、事業目的、届けたい相手、媒体、KPI、コンテンツ方針、運用体制を一続きで設計することです。この記事では、最新の公的データや各SNSの公式指標を踏まえ、自社に合う媒体とKPIを選び、継続運用を始めるまでの考え方を整理します。

SNSマーケティングとは、SNS上の接点を事業成果につなげる活動

SNSマーケティングとは、SNSを使って見込み客や顧客との接点をつくり、認知、理解、比較、サイト訪問、問い合わせ、購入、継続利用などの事業成果につなげるマーケティング活動です。

単に企業アカウントを開設して投稿を続けることだけではありません。SNSで何を達成するかを決め、届けたい相手に合わせて媒体を選び、コンテンツを企画し、成果を測定して改善するところまでを含みます。

SNSマーケティングを考える際は、まず「SNSそのものを伸ばすこと」と「SNSを使って事業を伸ばすこと」を分けて考える必要があります。フォロワー数や再生数が増えても、認知拡大、サイト訪問、問い合わせなど、自社が必要とする成果につながらなければ、運用の目的は達成できません。

総務省情報通信政策研究所が2026年6月に公表した調査では、13〜79歳の男女1,800人を対象に、主なソーシャルメディア系サービス・アプリ等の利用率を調べています。全年代ではLINEが92.9%、Instagramが54.8%、Xが44.7%、Facebookが27.0%でした。

サービス 全年代の利用率
LINE 92.9%
Instagram 54.8%
X 44.7%
Facebook 27.0%

※総務省情報通信政策研究所「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」。調査期間は2025年12月1日〜7日、対象は13〜79歳の男女1,800人。

ただし、利用率が高い媒体が、そのまま自社に最適な媒体とは限りません。SNSマーケティングでは、利用者の多さに加えて、ターゲットがどの場面で使うのか、自社の商品・サービスをどの形式で伝えやすいのか、社内で継続して制作できるのかまで確認する必要があります。

海外5か国のSNS利用者1,808人を対象にした研究では、SNSマーケティングとブランド認知、ブランドへの関与、購買意向との関連が分析されています。一方で国による違いも確認されているため、日本企業がその結果をそのまま当てはめるのではなく、自社の対象顧客と運用データを見ながら判断することが重要です。

最初に決めるのは「SNSで何を変えたいか」

媒体を選ぶ前に、SNSで変えたい事業上の状態を決めます。目的が曖昧なままでは、媒体もコンテンツもKPIも決まりません。

企業のSNSマーケティングでは、目的を次のように整理できます。

目的 SNSで担う役割 主な確認指標の例
認知を広げる 新しい接点を増やす リーチ、表示回数、動画再生、指名検索の変化
理解を深める 商品・サービスの特徴や考え方を伝える 保存、視聴時間、プロフィール閲覧、サイト遷移
比較・検討を進める 導入事例、FAQ、実績などを届ける リンククリック、商品ページ閲覧、資料閲覧
問い合わせ・購入につなげる サイトや申込ページへ送客する 問い合わせ、購入、予約、商談など
継続接点をつくる 既存顧客との関係を保つ 再訪、反応、継続利用につながる行動

大切なのは、複数の目的を並べるだけで終わらせず、「今の運用で最も優先する成果」を決めることです。認知を広げたい企業と、すでに認知はあるが問い合わせを増やしたい企業では、同じSNSでも見るべき指標が変わります。

また、直接のターゲットだけでなく、その人がどのような情報を見て比較・判断するかまで考えると、コンテンツ方針を決めやすくなります。企業側が伝えたい内容ではなく、見込み客が判断するために必要な情報から逆算することが重要です。

SNS媒体は「顧客行動・表現形式・運用体制」の3軸で選ぶ

媒体選定では、利用者数だけでなく、「顧客行動」「表現形式」「運用体制」の3軸を合わせて判断します。LINEを媒体として検討する場合の活用法やリード獲得の設計は、LINEマーケティングとはで整理しています。

SNS媒体を顧客行動・表現形式・運用体制の3軸から選ぶ考え方

利用者数だけではなく、顧客の使い方、伝えたい内容、社内で継続できる体制を合わせて主軸媒体を判断します。

1. ターゲットがその媒体で何をしているか

まず確認するのは、届けたい相手がその媒体を利用しているかだけではなく、何を目的に使っているかです。情報収集、動画視聴、知人との連絡、仕事上の情報収集など、利用場面が異なれば、同じ利用率でも企業との接点の作り方は変わります。

公的統計は候補媒体を絞るための入口として使い、その後は自社の既存顧客へのヒアリング、サイト流入元、営業現場の声、各SNSでの検索結果などを確認すると判断しやすくなります。

2. 商品・サービスをどの形式で伝えると理解されやすいか

写真で魅力が伝わる商材、短い動画で使い方を見せやすい商材、文章や長尺動画で詳しく説明する必要があるサービスでは、相性のよい媒体が異なります。

媒体 活用しやすい表現 向いている使い方の例
Instagram 写真、短尺動画、カルーセル 商品・店舗・事例などを視覚的に伝える
X 短文、画像、速報性のある情報 最新情報、知見、話題への継続接点をつくる
YouTube 長尺・短尺動画 解説、比較、実演、インタビューを深く伝える
TikTok 短尺動画 短時間で興味を引き、接点を広げる
Facebook 文章、画像、イベント情報 企業・団体の活動や既存コミュニティへ情報を届ける
LinkedIn 文章、資料、動画 法人向けの知見、採用、企業情報を届ける
LINE メッセージ配信 既存顧客や見込み客との継続接点を保つ

この表は媒体の優劣を示すものではありません。自社のターゲットと伝えたい内容が合う媒体を候補にするための整理です。

3. 社内で継続できる制作・承認体制があるか

SNSは、媒体ごとに必要な素材や制作工程が異なります。動画中心の媒体では撮影・編集の工数が必要です。文章中心でも、企画、確認、投稿、分析を継続する担当が必要です。

「ターゲットが多いから」という理由だけで媒体を決めると、制作が続かず運用が止まることがあります。開始前に、企画、素材準備、制作、確認、投稿、分析を誰が担当するか確認してください。

最初から複数媒体を同じ強度で運用する必要はありません。まず主軸媒体を決め、運用が回ることを確認してから、必要に応じて他媒体へ展開する方が判断しやすくなります。

KPIは事業成果から逆算して段階ごとに設計する

KPIは「SNS内で取れる数字」から選ぶのではなく、事業成果から逆算して設計します。

例えば、最終的な目的が問い合わせの増加であれば、問い合わせ件数だけを見るのではなく、その前段階も確認します。

事業成果 → サイト行動 → SNS上の関心 → SNS上の接触

SNSの接触から事業成果までを4段階に分け、事業成果からKPIを逆算するフロー

ユーザー行動は「接触→関心→行動→成果」と進みます。KPIは逆に、最終的な事業成果から必要な中間指標を決めます。

この順番で考えると、どこに課題があるか切り分けやすくなります。

段階 確認すること 指標の例
接触 情報が届いているか リーチ、表示回数、動画再生数
関心・理解 内容に反応しているか 保存、コメント、視聴時間、プロフィール閲覧
行動 次の情報へ進んだか リンククリック、サイト訪問、資料ページ閲覧
事業成果 目的につながったか 問い合わせ、購入、予約、商談、応募など

媒体によって確認できる指標は異なります。YouTube Analyticsではインプレッション、クリック率、平均視聴時間、総再生時間などを確認できます。LinkedIn Pageではコンテンツ、フォロワー、訪問者、検索表示、競合などの分析機能が提供されています。

そのため、媒体内のKPIと、サイトや営業側の成果を分けて管理すると分かりやすくなります。SNS内では「届いたか」「関心を持たれたか」を確認し、Web解析やCRMでは「その後に何が起きたか」を確認します。

フォロワー数も状況把握には使えますが、それだけで成果を判断すると、事業目的とのつながりが見えません。目的に対応する主要KPIを決め、その数字が動いた理由を確認する補助指標を組み合わせてください。フォロワー・リーチ・反応・CVの追い方は、SNS運用のKPI・効果測定で整理しています。

コンテンツ方針は「誰の、どの判断を助けるか」で決める

投稿内容は、毎回の思いつきではなく、ターゲットが商品・サービスを知り、理解し、比較し、行動するまでに必要な情報から設計します。

企業が使いやすいコンテンツの分類例は次の通りです。

  • 課題発見:顧客が自分の課題に気づく情報
  • 理解支援:仕組み、使い方、選び方を説明する情報
  • 比較支援:違い、判断基準、導入前の注意点を整理する情報
  • 信頼形成:事例、実績、担当者、現場の考え方を伝える情報
  • 行動支援:詳しい記事、商品ページ、資料、問い合わせ先へつなぐ情報

例えば、法人向けサービスであれば、サービス紹介だけを繰り返すより、「どのような課題が起きるのか」「何を比較して選ぶのか」「導入前に何を確認すべきか」といった判断材料を発信した方が、見込み客の情報収集に沿った接点を作りやすくなります。

自社サイトに記事、事例、FAQ、動画、セミナー資料などがある場合は、それらをSNS用に再編集すると、制作負担を抑えながら情報の一貫性も保ちやすくなります。

継続運用には役割分担と振り返りの仕組みが必要

SNSマーケティングは、担当者一人の投稿作業にすると属人化しやすくなります。開始前に、最低限の役割と判断フローを決めておくことが重要です。

役割 主な業務
責任者 目的、優先順位、最終判断を行う
企画担当 ターゲット、テーマ、投稿企画を整理する
制作担当 文章、画像、動画などを制作する
確認担当 内容、表現、事実関係を確認する
分析担当 KPIを集計し、改善点を整理する

小規模なチームでは一人が複数の役割を兼ねても構いません。重要なのは、「誰が何を決めるか」が曖昧にならないことです。

あわせて、投稿本数だけではなく、一定期間ごとに「どのテーマが届いたか」「どの投稿から次の行動が生まれたか」「制作負担に対して続けられるか」を振り返ります。

運用ルールには、企画の提出時期、素材の準備方法、確認期限、公開担当、数値の確認方法などを含めると、担当者が変わっても継続しやすくなります。外部の支援を検討する場合の支援範囲や費用相場、会社の選び方は、SNSコンサル・運用代行とはで整理しています。

最初の90日でSNS運用を立ち上げる6ステップ

初めてSNSマーケティングを設計する場合は、最初から完成形を目指すより、90日程度を一つの立ち上げ期間として、仮説を置いて運用し、実績から改善する方法が現実的です。90日は弊社が実務上の進行例として整理した目安であり、媒体や制作体制によって調整してください。

SNSマーケティングを最初の90日で立ち上げる6ステップ

目的設定から始め、主軸媒体・KPI・コンテンツ・体制を決めた後、実績をもとに継続・変更・展開を判断します。

STEP1:事業目的とSNSの役割を決める

認知、理解、サイト送客、問い合わせなど、最優先の目的を決めます。「SNSで何を増やせば、事業にとって前進なのか」を一文で説明できる状態にします。

STEP2:ターゲットの情報行動を整理する

誰に届けるか、その人がSNSで何を調べ、何を比較し、どの情報があれば次の行動へ進みやすいかを整理します。

STEP3:主軸媒体を決める

顧客行動、表現形式、運用体制の3軸で候補を比較し、最初に注力する媒体を決めます。

STEP4:KPIと測定方法を決める

SNS内の主要KPIと、サイト・問い合わせ側で確認する事業指標を分けて設定します。計測方法も開始前に決めます。

STEP5:コンテンツの型と役割分担を決める

毎回ゼロから企画しないよう、課題発見、理解支援、比較支援、信頼形成など、自社で継続できるテーマの型を用意します。あわせて企画、制作、確認、公開、分析の担当を決めます。

STEP6:実績を基準に続ける・変える・広げるを判断する

一定期間運用したら、投稿数ではなく、目的に対応したKPIで振り返ります。届いていないのか、反応されていないのか、サイトへ移動していないのか、サイト到達後に成果が出ていないのかを分けて確認します。

主軸媒体で運用の型ができた後、別媒体へ広げる必要があるか判断します。横展開するときも、同じ投稿をそのまま複製するのではなく、それぞれの媒体で見られやすい表現へ調整します。

SNSはSEO・オウンドメディア・メール・営業と役割を分けて連携する

SNSだけですべての情報を伝えようとすると、投稿が長くなったり、問い合わせまでの導線が分かりにくくなったりします。SNSは他のマーケティング施策と役割を分けると活用しやすくなります。

SNS・SEO・オウンドメディア・メールCRM・営業の役割分担を示した図

SNSは単独で完結させず、検索、詳しい情報提供、継続接点、営業まで各施策の役割を分けて連携します。

  • SNS:新しい接点をつくり、興味を持ってもらう
  • オウンドメディア・サービスサイト:詳しい説明、比較、事例を届ける
  • SEO:検索して情報を探している人との接点をつくる
  • メール・CRM:接点を持った見込み客へ継続的に情報を届ける
  • 営業:個別の課題を聞き、提案や商談につなげる

例えばSNSで短く課題を提示し、詳しい判断基準はオウンドメディアの記事へ誘導する方法があります。逆に、検索流入が多い記事の内容をSNS向けに分解し、新しい層へ届けることもできます。

施策ごとの役割を明確にすると、「SNSだけで問い合わせを完結させるべきか」「サイトへ送客するのか」といった判断もしやすくなります。

SEO・広告・SNS・CROを含めて施策全体の役割を整理する場合は、Webマーケティング全体の役割分担もあわせて確認してください。

SNSマーケティングで起こりやすい5つの設計ミス

SNS運用が続かない、成果を説明できない場合は、投稿内容より前の設計に問題があることがあります。

  1. 媒体から決めている
    流行している媒体ではなく、目的、ターゲット、伝え方、体制から選びます。

  2. フォロワー数だけを成果にしている
    フォロワー数の増減だけでなく、目的に応じてサイト訪問や問い合わせなども確認します。

  3. ターゲットが広すぎる
    「20〜50代の男女」だけではなく、どのような課題を抱え、何を知りたい人なのかまで整理します。

  4. 投稿企画と事業情報が分かれている
    SNS担当だけで企画せず、営業、カスタマーサポート、商品担当などが持つ顧客の質問を活用します。

  5. 運用体制を後から考えている
    投稿開始前に、素材、制作、確認、分析まで担当を決めます。

なお、SNS上の監視、炎上兆候の検知、危険度判定、初動対応、従業員SNS監視などは、成長施策としてのSNSマーケティングとは別のリスク管理領域です。運用設計とあわせて必要性は確認しつつ、具体的な監視・炎上対策は別途設計してください。

開始前に確認したいSNSマーケティングのチェックリスト

運用を始める前に、次の項目を確認してください。

  • SNSで変えたい事業上の状態を一文で説明できる
  • 最優先で届けたいターゲットが決まっている
  • ターゲットがSNSで確認・比較する内容を整理している
  • 媒体を顧客行動・表現形式・運用体制で比較した
  • SNS内のKPIと事業側のKPIを分けて設定した
  • 継続して作れるコンテンツの型がある
  • 企画・制作・確認・公開・分析の担当が決まっている
  • サイトやオウンドメディアなど次の接点への導線がある
  • 一定期間後に続ける・変える・広げる基準がある

すべてを複雑に設計する必要はありません。最初に目的、ターゲット、主軸媒体、主要KPI、運用担当の5点が決まれば、投稿だけを先に始める状態は避けやすくなります。

まとめ

SNSマーケティングは、SNSへ投稿することではなく、SNS上の接点を事業成果へつなげるための設計と運用です。

まずSNSで何を変えたいかを決め、ターゲットの情報行動を整理します。その上で、顧客行動・表現形式・運用体制の3軸から主軸媒体を選び、事業成果から逆算してKPIを設定してください。

運用開始後は、媒体内の数字だけを見るのではなく、サイト訪問、問い合わせ、購入など次の行動までつなげて確認します。目的、媒体、KPI、コンテンツ、体制が一つの流れで決まっていれば、担当者は「何を投稿するか」だけに追われず、改善判断を続けられるようになります。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

  • 「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表|総務省 情報通信政策研究所|2026年6月26日|調査期間:2025年12月1日〜7日|参照ページ|SNS利用率、調査対象・期間の確認に使用。
  • 「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」|総務省 情報通信政策研究所|2026年6月26日掲載|参照ページ|令和7年度調査の報告書・関連資料の確認に使用。
  • 「Understand your YouTube content performance」|YouTube Help|2026年8月時点|参照ページ|インプレッション、クリック率、平均視聴時間、総再生時間などYouTube Analyticsの指標確認に使用。
  • 「LinkedIn Page analytics」|LinkedIn Help|2026年9月確認|参照ページ|コンテンツ、フォロワー、訪問者、検索表示、競合などPage Analyticsの確認に使用。
  • 「The impact of social media marketing on brand awareness, brand engagement and purchase intention in emerging economies」|Jusuf Zeqiri, Paul Sergius Koku, Costinel Dobre, Anca-Maria Milovan, Vjollca Visoka Hasani, Tetiana Paientko|Marketing Intelligence & Planning, 43(1), 28-49|2024年7月10日公開、2025年巻号|対象:5か国のSNS利用者1,808人|DOI: 10.1108/MIP-06-2023-0248|参照ページ|SNSマーケティングとブランド認知・関与・購買意向の関係、国による差の確認に使用。

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