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風評被害対策会社と契約前に確認|削除可否・法務連携・成果条件

部署:広報・PR担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
風評被害対策会社との契約書を確認する手元と、成果・法務・引き継ぎの確認を促すアイキャッチ

ネット上で風評被害が発生し、対策会社から提案や見積もりを受けた後は、「どの会社にするか」だけでなく、契約書で何を約束するのかを確認する必要があります。

特に注意したいのが、削除できる範囲、弁護士へ切り替える境界、監視対象、成果の判定方法、報告内容、解約条件、契約終了後のデータや対応履歴です。

「削除」「監視」「検索対策」「法的対応」は同じ業務ではありません。契約前に役割と成果条件を分けておくことで、契約後の「依頼したつもりだった」「成果の判定方法が違った」「解約後に履歴を受け取れない」といった認識のずれを防ぎやすくなります。

本記事では、すでに風評被害対策会社への発注を具体的に検討している企業担当者向けに、署名前に確認したい項目を整理します。

契約前は「削除できるか」より業務範囲と成果条件を先に確認する

風評被害対策の契約では、最初に「何をしてもらう契約なのか」を明確にすることが重要です。

ネット上の風評被害対策には、投稿や検索結果の監視、状況分析、検索結果への対策、プラットフォームへの報告、証拠の整理、弁護士による削除請求など、性質の異なる業務があります。

このうち、権利侵害を主張して相手方へ法的な対応を求める行為は、一般的なWeb上の監視や検索対策とは分けて考える必要があります。弁護士法72条では、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬目的で法律事件に関する法律事務を業として扱うことなどを制限しています。

そのため、契約書では「削除対応」と一言でまとめず、実際に誰が、どの方法で、どこまで対応するのかを確認しましょう。

確認項目 契約前に確認する内容
対象 検索結果、口コミ、SNS、掲示板、記事など何を対象にするか
対応方法 監視、分析、検索対策、プラットフォームへの報告支援など何を行うか
法務との境界 どの段階から弁護士等の専門家へ切り替えるか
成果条件 何をもって成果と判定するか
判定時期 いつ、何回確認して成果を判断するか
報告 どの情報を、どの頻度、どの形式で受け取れるか
契約期間 最低契約期間、自動更新、中途解約の条件
終了時 証拠、履歴、データ、アカウント権限などをどう扱うか

契約直前では、サービス名よりも、この表の各項目が契約書や発注書に具体化されているかを見ることが重要です。

「削除」「違反報告」「法的な削除請求」は分けて確認する

ネット上の情報を見えなくする方法は一つではありません。特に契約時は、「削除」という表現が何を指しているのか確認してください。

問題の投稿や検索結果への対応を、違反報告、監視・検索対策、法的な削除請求の3つに分けた図

「削除」という言葉だけで契約内容を判断せず、実際にどの対応を誰が行うのかを分けて確認することが重要です。

プラットフォームへの違反報告

Googleマップでは、他人が投稿した口コミを事業者自身が直接削除することはできません。一方、Googleのポリシーに違反していると考えられる口コミは、Googleへ報告し、削除をリクエストできます。

最終的に削除されるかどうかは、Google側の審査によります。したがって、「報告を行うこと」と「必ず削除されること」は分けて考える必要があります。

契約書では、プラットフォームへの報告が業務に含まれる場合でも、対象媒体、実施主体、報告回数、報告後の確認まで含むかを確認しましょう。

権利侵害を理由とした法的な削除対応

名誉毀損、プライバシー侵害などを理由に、相手方へ法的な削除請求を行う場面は扱いが異なります。

2017年2月20日の東京地方裁判所判決では、インターネット上の記事削除を非弁護士の事業者が代行した契約について、弁護士法72条との関係が問題となり、契約が無効と判断された事例があります。

個別の行為が法律事務に該当するかは具体的な事案によって判断が必要です。契約書では少なくとも、

  • 法的判断を誰が行うのか
  • 弁護士への相談が必要になった場合の連携方法
  • 弁護士費用が現在の契約料金に含まれるのか
  • 弁護士とは企業が直接契約するのか
  • 対策会社から弁護士へどの情報を引き継ぐのか

を確認しておくと、役割を整理しやすくなります。

監視・分析・検索対策

投稿の監視、検索結果の確認、状況分析などは、法的な削除請求とは性質が異なります。

対策会社の記事でも、削除申請の代行、逆SEOなどの検索対策、風評監視・レポートは異なる業務として整理されています。

そのため、「風評被害対策一式」とだけ書かれた契約ではなく、業務を分けて確認することが重要です。

「削除保証」ではなく成果の定義と判定方法を確認する

契約前に最も確認したいのが、成果条件です。

「削除」「改善」「対策完了」などの言葉だけでは、契約後に双方の認識がずれる可能性があります。

風評被害対策契約の成果条件を対象、状態、判定の3要素に分けた図

「改善した」「対策が完了した」だけでは成果条件は曖昧です。対象、目指す状態、判定時期をセットで決めます。

たとえば検索結果への対策なら、少なくとも次の条件を明確にします。

項目 確認例
対象キーワード 企業名、商品名、代表者名など
対象URL・投稿 どの記事・投稿を対象とするか
対象媒体 Google検索、Googleマップ、SNSなど
成果 非表示、順位変化、削除、監視完了など何を指すか
判定日 契約開始から何日後・何か月後に判定するか
確認方法 どの条件・端末・頻度で確認するか
再表示 一度改善した後に再表示した場合の扱い
追加対応 新しい投稿やURLが発生した場合の扱い

特に「100%削除」「必ず消える」などの表現がある場合は、何を根拠に、誰が削除を決定するのかまで確認する必要があります。

Googleマップの口コミの場合も、事業者が削除をリクエストできても、ポリシー違反の審査と削除判断はGoogle側が行います。

成果を約束する契約であっても、「成果」の対象、判定日、再表示時の扱いが不明確なら、契約前に書面で確認しておきましょう。

監視契約では対象媒体・頻度・緊急通知の条件を決める

風評監視を含む契約では、「監視しています」だけでは十分ではありません。

契約前に、どこまで見てもらえるのかを具体化します。

監視対象を一覧にする

企業によって確認すべき場所は異なります。

たとえば、

  • 企業名や商品名の検索結果
  • 検索候補
  • Googleマップなどの口コミ
  • SNS
  • 掲示板
  • 転職口コミサイト
  • ニュースやブログ
  • 指定した人物名やブランド名

などがあります。

契約書や仕様書には、対象媒体と監視キーワードを一覧化しておくと確認しやすくなります。

検知後の連絡条件を決める

毎月のレポートだけでは、緊急性の高い投稿への対応が遅れる場合があります。

「新しいネガティブ情報が見つかったら通知する」のであれば、

  • 何をネガティブ情報と判定するか
  • どの重要度から緊急通知するか
  • 誰へ連絡するか
  • 営業時間外の扱い
  • 通知後に誰が対応方針を決めるか

まで決めておくと、実際に問題が起きたときに動きやすくなります。

レポートには結果だけでなく証拠と対応履歴を残す

風評被害対策では、最終結果だけでなく「いつ、どの情報を確認し、何をしたか」を残すことが重要です。

最低限、次の内容を受け取れるか確認しましょう。

  • 問題となったURL
  • 投稿や記事を確認した日時
  • 必要に応じたスクリーンショット
  • 対象キーワード
  • 実施した対応
  • 対応した日時
  • プラットフォームから届いた回答
  • 現在の表示状態
  • 次に取る予定の対応
風評被害の検知から証拠保存、対応、回答記録、現在の状態確認までを示した対応履歴のフロー図

結果だけでなく、発見日時・証拠・実施した対応・相手からの回答まで残すことで、社内や専門家への引き継ぎがしやすくなります。

これは単なる月次報告のためだけではありません。

後に弁護士への相談が必要になった場合や、別の担当者・会社へ引き継ぐ場合にも、過去の状況を説明する材料になります。

また、情報流通プラットフォーム対処法では、大規模なプラットフォーム事業者について、権利侵害情報に関する申出方法の整備や調査、一定期間内の結果通知などが定められています。現在の削除対応では、企業側も「いつ、何を申し出て、どのような回答があったか」を管理しておく意味が大きくなっています。

「弁護士と連携」だけでなく実際の役割分担を確認する

提案書に「弁護士連携」「法律事務所と連携」と書かれていても、それだけでは契約時の役割は分かりません。

契約前には、

確認事項 確認したい内容
法的判断 誰が行うのか
弁護士への相談 どの状態になったら切り替えるか
契約 自社と弁護士が直接契約するのか
費用 対策会社の料金と別料金か
情報共有 証拠や対応履歴をどう引き継ぐか
窓口 自社・対策会社・弁護士の誰が進行管理するか

を確認します。

対策会社の強みと弁護士の強みは異なります。監視や検索結果の分析と、権利侵害を根拠にした法的手続を無理に一つの役割へまとめるより、誰がどこを担当するかを事前に決めておく方が安全です。

個別の投稿について「法律上削除できるか」「どの権利が侵害されているか」といった判断が必要な場合は、契約先の説明だけで確定せず、必要に応じて弁護士へ確認してください。

契約期間・自動更新・中途解約の条件を確認する

風評被害対策は、月額契約や一定期間の継続契約になる場合があります。

契約前には料金だけでなく、

  • 最低契約期間
  • 契約の開始日
  • 自動更新の有無
  • 更新を停止する場合の通知期限
  • 中途解約の可否
  • 中途解約時の残額
  • 成果が出なかった場合の扱い
  • 追加対象が発生した場合の追加費用

を確認します。

特に、契約期間と成果判定期間は別々に確認してください。

「3か月契約」であっても、3か月後に何を確認するのかが決まっていなければ、継続すべきか判断できません。

契約更新時に初めて成果を振り返るのではなく、契約開始時に「いつ、何を見て継続・終了を決めるか」まで合意しておくことがポイントです。

解約時はデータ・証拠・アカウント権限の引き継ぎを確認する

見落としやすいのが、契約終了時の扱いです。

風評被害対策会社の解約時に、証拠、対応履歴、レポート、アカウント権限を自社へ引き継ぐ流れを示した図

契約終了後に過去の経緯を追えなくならないよう、証拠・履歴・レポート・権限の返却条件を契約前から確認します。

契約中に蓄積された情報が対策会社側だけに残ると、社内運用へ戻したり、別の専門家へ相談したりするときに、過去の経緯を追えなくなる可能性があります。

契約終了時には、次の項目を確認しましょう。

引き継ぎ対象 確認ポイント
監視キーワード 一覧を受け取れるか
対象URL 過去分を含めて取得できるか
スクリーンショット 元データを受け取れるか
対応履歴 日時・対応内容・結果が残るか
レポート 過去分を一括取得できるか
アカウント 自社名義か、権限移管が必要か
制作物 原稿・画像等の利用条件はどうなっているか
保有データ 契約後も事業者側に残るか、消去されるか
納品形式 PDFだけか、編集可能なデータもあるか
納品期限 解約後いつまでに受け取れるか

経済産業省のデータ契約に関する資料でも、一般的な契約管理の考え方として、契約終了時のデータ廃棄・消去義務を事前に規定し、必要に応じて消去したことを示す書面を求める方法が示されています。これは風評被害対策専用のルールではありませんが、契約終了時の情報管理を考える参考になります。

また、対策会社へ渡す資料や監視情報に個人データが含まれる場合、委託元には委託先を必要かつ適切に監督することが求められます。個人情報保護委員会のガイドラインも、個人データの取扱いを委託する場合の委託先監督を定めています。

署名前に確認したい10の質問

契約書と提案書を手元に置き、次の10項目を確認すると抜け漏れを見つけやすくなります。

  1. 今回の契約で対象になる媒体・キーワード・URLは何か
  2. 対策会社が実際に行う業務は何か
  3. 「削除」と書かれている場合、誰がどの方法で行うのか
  4. 法的判断が必要になった場合、どの段階で弁護士へ切り替えるのか
  5. 何をもって「成果」とするのか
  6. いつ、どの方法で成果を判定するのか
  7. 監視結果や対応履歴をどこまで受け取れるのか
  8. 最低契約期間、自動更新、中途解約はどうなっているか
  9. 契約終了時に証拠・履歴・データ・権限を受け取れるのか
  10. 契約終了後、対策会社側に残る情報はどう処理されるのか

この10項目のうち、契約書・仕様書・提案書のどこにも答えがない項目があれば、署名前に確認することをおすすめします。

口頭説明だけでなく、成果条件や業務範囲など重要な条件は、後から双方が確認できる形にしておくことが重要です。

自社だけで契約条件を判断しにくい場合の相談先

風評被害がすでに発生している企業では、契約確認と実際の対応を同時に進めなければならないことがあります。

検索結果や口コミ、SNSなどの現状把握、監視、検索対策の検討は風評被害対策会社へ相談できます。一方、権利侵害の判断、削除請求、発信者情報開示請求など個別の法的判断が必要な部分は、弁護士へ確認する必要があります。

「どこまでを対策会社へ依頼し、どこから法律の専門家へ相談すべきか分からない」という段階では、まず現在発生している問題と希望する成果を整理してください。

そのうえで無料相談などを利用し、対応可能範囲、法務との境界、成果条件、契約終了時の引き継ぎまで契約前に確認すると、必要な支援範囲を判断しやすくなります。

まとめ

ネット上の風評被害対策会社との契約では、会社を選んだ後の「契約条件の確認」が重要です。

特に確認したいのは、次の7点です。

  • 削除・監視・検索対策などの業務範囲
  • 弁護士による法的対応との境界
  • 成果の定義と判定方法
  • 監視対象・頻度・緊急通知
  • レポート・証拠・対応履歴
  • 契約期間・更新・中途解約
  • 契約終了後のデータ・権限・履歴の引き継ぎ

「削除できますか」だけではなく、「誰が何を行い、何を成果とし、契約が終わったときに何が残るか」まで確認することがポイントです。

風評被害発生後は対応を急ぎたくなりますが、契約後の認識違いを避けるためにも、署名前に業務範囲と責任分担を明確にしておきましょう。

契約前チェックだけでなく、内製・外注・ハイブリッドの選び方や予算感から見直したい場合は、口コミ・風評対策の体制構築の判断基準を確認してください。

契約前チェックのさらに前段階として、複数社の提案書を同じ基準で比較したい場合は、風評被害対策会社の提案書を比較する方法を確認してください。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

‹ 親記事: 口コミ・風評対策の体制構築、何から始める?内製・外注・ハイブリッドの判断基準と予算の考え方

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