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採用コストの相場と計算方法|新卒・中途・媒体別の採用単価を比較

部署:人事・採用担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
採用予算表と電卓を見ながら採用費の総額と1人あたりコストを確認する担当者の手元

採用予算を決めるときに難しいのは、「他社はいくら使っているか」だけでは自社の費用が高いか安いか判断できないことです。採用コストは、新卒・中途、採用人数、職種、利用する採用手法によって大きく変わります。まず確認すべきなのは、年間の採用費総額と、採用1人あたりにかかった採用単価です。この記事では、最新の国内調査と公的資料をもとに相場を整理し、費目の分け方、採用単価の計算式、主要チャネルの費用構造、予算を見直す順番まで解説します。自社の採用費を同じ基準で集計し、削減・維持・再配分する費用を判断できる状態を目指します。

採用コストの相場は「総額」と「1人あたり」を分けて見る

採用コストの相場を見るときは、年間の「採用費総額」と、採用1人あたりの「採用単価」を分けて確認することが重要です。総額が大きくても採用人数が多ければ、1人あたりでは高くない場合があります。反対に、総額が小さくても採用人数が少なければ、採用単価は高くなります。

年間の採用費総額と採用1人あたりの採用単価を分けて見る考え方を示した図解

採用コストは年間総額と1人あたりの採用単価を分けて見ると、自社の費用水準を判断しやすくなります。

現時点で確認できる国内調査を整理すると、次のようになります。新卒と中途では調査年や費用の定義が異なるため、金額をそのまま横並びで比較するのではなく、自社の条件に近い数字を参考値として使ってください。

区分 確認できる主な数値 対象・注意点
新卒採用 採用費総額 平均287.0万円 マイナビ「2024年卒企業新卒内定状況調査」。回答企業の平均
新卒採用 入社予定者1人あたり 平均56.8万円 同調査。1社ごとの採用費を入社予定人数で割った平均
新卒採用 採用費中の広告費 平均161.7万円 同調査。求人情報サイト・イベント等を含む広告費
中途採用 年間採用費の実績 平均609.9万円 マイナビ「中途採用状況調査2026年版」。2025年実績、企業全体の年間費用
中途採用 転職サイトの採用者1人あたり求人広告費 平均36.7万円 同調査。転職サイト利用者の2025年実績。採用費総額ではなく転職サイト広告費のみ

新卒採用の金額は2024年卒調査のため、現在の予算策定では「固定の相場」ではなく参考値として見る必要があります。就職みらい研究所の「就職白書2026」では、2026年卒採用を実施した企業のうち49.3%が、2025年卒と比べて採用活動に費やす総費用が「増えた」と回答しています。新卒採用では、過去の平均額だけでなく、自社の直近実績と現在の採用環境を合わせて予算を決める方が実務的です。

中途採用では、2025年の年間採用費実績が平均609.9万円でした。前年の650.6万円からは減少していますが、これは企業ごとの採用人数や利用サービスを含めた年間総額です。一方、転職サイト経由の採用者1人あたり求人広告費は平均36.7万円、中央値20.0万円でした。平均と中央値に差があるため、一部の高額利用企業によって平均が押し上げられている可能性も考慮する必要があります。

採用コストは外部費用と社内コストに分けて集計する

採用コストを正しく把握するには、請求書で見える費用だけではなく、採用活動に使った社内工数も分けて整理します。媒体費だけを集計すると、採用担当者や面接官の工数が大きい採用手法を実際より安く見積もってしまいます。

区分 主な費目
外部費用 求人広告費、人材紹介手数料、スカウトサービス利用料、合同説明会・イベント費、採用サイト制作費、採用パンフレット・動画等の制作費、適性検査・ATS等のツール費、採用代行費、候補者交通費など
社内コスト 採用担当者の工数、面接官の工数、求人票作成・スカウト送信・応募対応・日程調整・面接・内定フォロー等に使った人件費相当額

実務では、まず外部費用だけでも確実に集計し、その後に社内工数を加える方法が進めやすいでしょう。前年と今年で同じ費目の定義を使うことが、増減を正しく判断するための前提になります。

求人広告などの外部費用と採用担当者や面接官の社内工数を合わせて採用コストとして捉える図解

採用コストは、請求書で見える外部費用だけでなく、採用担当者や面接官が使った時間も分けて把握すると実態に近づきます。

採用単価は「採用コスト総額÷採用人数」で計算する

採用単価は、一定期間にかかった採用コストを、その期間に採用した人数で割って計算します。

採用単価 = 採用コスト総額 ÷ 採用人数

たとえば、1年間で外部費用500万円、社内コスト150万円がかかり、10人を採用した場合は次の通りです。

650万円 ÷ 10人 = 65万円

この場合、採用単価は1人あたり65万円です。

社内コストの把握が難しい場合は、「外部採用単価」と「総合採用単価」を分けて管理すると比較しやすくなります。

  • 外部採用単価=求人広告・紹介手数料・ツール等の外部費用÷採用人数
  • 総合採用単価=(外部費用+社内コスト)÷採用人数

前年との比較や求人媒体の予算管理では外部採用単価、自社全体の採用効率を見る場合は総合採用単価というように、目的に応じて使い分けます。

新卒採用と中途採用では費用の発生タイミングが異なる

新卒と中途では、同じ「採用コスト」でも費用構造が異なります。新卒採用は年度単位・採用シーズン単位で発生する固定費が多く、中途採用は職種やポジションごとに費用が発生しやすい点が大きな違いです。

新卒採用は母集団形成と採用広報の固定費が発生しやすい

新卒採用では、就職情報サイト、合同説明会、採用サイト、パンフレット、インターンシップ・仕事体験、会社説明会など、採用人数にかかわらず一定額が必要になる費用があります。

そのため、採用予定人数が少ない企業では、固定費を少人数で割ることで採用単価が高くなりやすくなります。一方、採用人数が増えても固定費が同じなら、1人あたりの負担は下がります。

マイナビの2024年卒調査では、採用費総額の平均は287.0万円でしたが、募集人数1~4人の企業では平均116.2万円、20人以上では平均949.2万円でした。総額だけを見れば大人数採用企業の方が高くなりますが、予算の妥当性を判断する際は、採用人数とセットで見る必要があります。

中途採用は職種・難易度・採用手法で費用差が大きくなる

中途採用は、営業、エンジニア、管理職など、募集する職種や経験要件によって使う採用手法が変わります。そのため、全社平均だけでなく職種単位でも採用単価を確認した方が、予算の無駄を見つけやすくなります。

マイナビの2025年実績では、転職サイトの採用者1人あたり求人広告費は全職種平均36.7万円でした。従業員規模別では3~50名が34.2万円、51~300名が33.3万円、301~1000名が27.1万円、1001名以上が46.1万円です。企業規模が大きければ必ず単価が下がるわけではありません。

職種別でも差があり、同調査ではAI技術者59.9万円、ITエンジニア57.1万円、営業40.4万円でした。採用市場の需給や求める経験水準によって、同じ媒体でも1人を採用するまでの費用は変わります。

主要な採用チャネルは料金体系まで分けて比較する

媒体やサービスを比較するときは、「掲載料が安いか」ではなく、どの時点で料金が発生するかを確認します。料金体系によって、採用できなかったときのリスクと、採用人数が増えたときの費用の増え方が異なるためです。

採用チャネル 主な料金の考え方 費用を見るときのポイント
求人広告・転職サイト 掲載課金、期間課金など 採用できなくても費用が発生する場合がある。採用人数が増えると1人あたり単価が下がることもある
人材紹介 採用決定時の成果報酬が中心 採用できるまでの掲載費リスクは小さい一方、1人採用するごとに費用が増えやすい
ダイレクトリクルーティング・スカウト 基本利用料、送信枠、成果報酬などサービスごとに異なる スカウト送信や候補者選定の社内工数も含めて判断する
リファラル採用 社員紹介のインセンティブ、制度運用費など 外部媒体費を抑えやすいが、紹介が継続的に発生する仕組みづくりが必要
ハローワーク 求人申込み・公開は無料 媒体費は抑えられるが、採用担当者の対応工数は発生する
自社採用サイト・採用SNS 制作・運用費 初期費用がかかっても、継続利用できれば複数募集で費用を分散できる

厚生労働省が2022年に公表した調査では、正社員1件あたりの平均採用コストは、民間職業紹介事業者が85.1万円、インターネットの求人情報サイトが28.5万円でした。調査時期が現在とは異なるため金額そのものは参考値ですが、採用手法によって費用構造が大きく異なることは確認できます。

また、ハローワークは求人の申込みと全国への公開を無料で利用できます。媒体費を抑えたい場合の選択肢になりますが、「無料だから最優先」とは限りません。自社が採用したい人材がどこで求人を探しているか、必要な応募数を確保できるかまで含めて判断する必要があります。

採用予算は「採用人数×許容採用単価」から逆算する

予算を前年踏襲で決めるのではなく、目標採用人数から逆算すると、費用の妥当性を説明しやすくなります。

採用予算 = 目標採用人数 × 許容採用単価

たとえば、10人採用したい企業が採用単価を60万円以内に抑えるなら、採用予算の上限は600万円です。

目標採用人数と許容採用単価から採用予算を逆算し固定費・人数連動費・追加投資枠へ分けるフロー図

採用予算は目標人数と許容採用単価から上限を出し、その後に固定費・人数連動費・追加投資枠へ分けると管理しやすくなります。

そのうえで、予算を次の3つに分けます。

  1. 固定費:採用サイト、採用管理システム、年間契約サービスなど
  2. 人数連動費:人材紹介の成果報酬、採用インセンティブなど
  3. 追加投資枠:応募不足の職種や、採用難度が高い職種へ追加する費用

この分け方なら、予算超過が起きたときに「固定費が増えたのか」「1人採用するごとの費用が増えたのか」「特定職種への追加投資が増えたのか」を切り分けられます。

採用コストを下げる前に「どの費用が高いか」を特定する

採用コストを改善するときは、すべての費用を一律に削るのではなく、採用単価を押し上げている費目を先に特定します。単価の高いチャネルでも、採用したい人材を安定して獲得できているなら、削減するより維持した方が合理的な場合があります。

1.採用できていないチャネルの固定費を確認する

一定期間利用しているのに採用実績がない媒体やサービスは、最初に見直す候補です。ただし、応募数だけで切らず、採用したい職種・経験層から応募が来ているかも確認します。

2.媒体費だけでなく社内工数も比較する

安価なスカウトサービスでも、候補者検索や文面作成に多くの時間がかかれば、総合採用単価は高くなる可能性があります。反対に、人材紹介は外部費用が高くても、候補者探索や一次選別の工数を減らせる場合があります。

3.職種ごとに許容採用単価を分ける

全職種を同じ採用単価目標にすると、採用難度が高い職種で必要な投資まで削ってしまいます。営業、エンジニア、管理職など、採用市場が異なる職種は別々に管理します。

4.無料・低コストチャネルを組み合わせる

ハローワーク、自社採用サイト、社員紹介など、外部媒体費を抑えられる手法を組み合わせることで、有料チャネルだけに依存する状態を避けられます。ただし、ターゲット人材が集まらないチャネルへ工数を投入し続けると、社内コストが増えます。

5.採用単価だけで判断しない

採用単価が低くても、採用した人が早期に離職すれば再募集が必要になります。この記事では採用ファネル全体の効果測定までは扱いませんが、少なくとも「採用人数」と「採用単価」だけで最終判断せず、入社後の定着状況も別指標として確認しておくことが重要です。

採用実績や採用難度、社内工数を基準に採用費を削減・維持・追加投資へ分ける判断フロー

採用コストは一律に削るのではなく、採用実績・必要人材との一致・採用難度・社内工数を見て、削減・維持・追加投資を分けて判断します。

職種・チャネル・選考工程まで分解して原因を特定したい場合は、採用データ分析の方法もあわせて確認してください。

自社の採用コストを見直すチェックリスト

次の項目を同じ期間・同じ費目定義で確認すると、予算の妥当性を判断しやすくなります。

  • 年間の採用費総額を把握できている
  • 求人広告、人材紹介、スカウト、イベント、制作費などを費目別に分けている
  • 採用担当者・面接官の工数を把握している
  • 採用人数で割った採用単価を計算している
  • 新卒と中途を分けて管理している
  • 職種別に採用単価を確認している
  • 平均値だけでなく中央値や自社の前年実績も確認している
  • 採用実績がないチャネルの固定費を把握している
  • 目標採用人数から許容採用単価を逆算している
  • 単純な費用削減ではなく、維持・削減・追加投資を分けて判断している

相場は「正解の金額」を決めるためではなく、自社の費用がなぜその水準になっているかを確認するための基準です。自社の前年実績、採用人数、職種、採用手法を同じ表に並べると、どこに無駄があり、どこに追加投資が必要かを判断しやすくなります。

まとめ

採用コストの相場を判断するときは、年間総額だけではなく、採用1人あたりの採用単価まで計算することが重要です。新卒では採用広報やイベントなどの固定費、中途では職種や採用手法による費用差が大きいため、同じ基準だけで比較しないようにします。

まずは、外部費用と社内コストを分け、採用コスト総額を採用人数で割って自社の採用単価を出してください。そのうえで、求人広告、人材紹介、スカウト、無料チャネルなどを職種別に比較し、採用実績がない固定費、工数が大きすぎる施策、追加投資すべき採用難職種を切り分けます。

相場は予算をそのまま決める数字ではありません。自社の採用費を同じルールで継続して記録し、「採用人数×許容採用単価」から予算を逆算することで、削減すべき費用と残すべき費用を判断しやすくなります。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

  1. 「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」株式会社マイナビ、2026年3月27日公開。2025年の中途採用人数、採用費総額、求人広告費等を参照。
    https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260327_109053/
    https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2026/03/tyutosaiyouzyoukyou2026.pdf
  2. 「マイナビ2024年卒企業新卒内定状況調査」株式会社マイナビ、2023年11月公開。採用費総額、広告費、入社予定者1人あたり採用費を参照。
    https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2023/11/s-kigyonaitei-24-001.pdf
  3. 「就職白書2026 データ集」就職みらい研究所、2026年2月20日公開。2025年卒と比較した2026年卒の採用活動総費用の増減を参照。
    https://shushokumirai.recruit.co.jp/white_paper_article/20260220002/
  4. 「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査」厚生労働省、2022年公表。採用経路別の1件あたり平均採用コストを参照。
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049528_00012.html
  5. 「ハローワークの求人者サービスのご案内」厚生労働省。求人申込み・求人公開が無料であることを参照。
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29050.html

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