オウンドメディアを立ち上げるときは、サイト制作の見積額だけで予算を決めると、公開後の記事制作や分析・改善に必要な費用が不足しやすくなります。
予算は「公開までの初期費用」と「公開後12か月の運用費」に分け、初年度の総額で考えることが重要です。
本格的な集客を目的とするオウンドメディアでは、初期構築100万〜300万円程度を一つの目安とする公開情報があります。ただし、運用をどこまで外注するかによって年間総額は大きく変わります。
この記事では、戦略、デザイン、CMS、初期記事、計測、公開後の運用までを分解し、自社に必要な予算を組める状態まで整理します。
オウンドメディアの費用は初期費用と運用費を分けて考える
オウンドメディアの予算を考えるとき、最初に分けたいのが「公開まで」と「公開後」です。
公開までには、戦略設計、サイト設計、デザイン、CMS構築、初期コンテンツなどが必要です。公開後には、新しい記事の制作、既存記事の改善、アクセス解析、システム保守などの費用が続きます。
Web幹事では、本格的な集客を目的とするオウンドメディアの目安を、初期100万〜300万円、運用5万〜20万円/月としています。シェイプウィンは、戦略・記事制作・分析・SEO対策などを含む運用まで広く外部へ依頼する場合、初期100万〜300万円、運用50万〜130万円/月を目安として掲載しています。
金額に大きな差があるのは、相場が間違っているからではありません。
何を含んだ金額なのかが違うためです。
| 予算区分 | 主な費用 |
|---|---|
| 初期費用 | 戦略設計、要件整理、デザイン、CMS構築、初期記事、計測環境 |
| 継続費用 | 記事制作、編集、分析、改善、保守、ツール・インフラ |
| 社内コスト | 企画、取材対応、監修、承認、入稿、分析、会議などの担当者工数 |
制作会社から見積もりを取る前に、この3つを分けて考えておくと、単純な見積額の高い・安いではなく、依頼範囲を比較できます。
初期費用は5つの費目に分ける
オウンドメディアの初期費用は、「サイト制作一式」とまとめず、少なくとも5つに分けて確認します。

初期費用を「制作一式」でまとめず、戦略・デザイン・CMS・初期記事・計測の5項目に分けると、見積内容を確認しやすくなります。
1.戦略・企画設計
最初に必要なのは、誰に何を伝え、どの成果につなげるのかを決める工程です。
具体的には、目的、対象読者、競合、発信テーマ、サイト構成、成果指標、公開後の運営体制などを整理します。
シェイプウィンは、戦略立案の費用目安を20万〜100万円としています。調査範囲や設計内容によって金額が変わるため、「戦略設計」という項目名だけで比較せず、成果物まで確認することが重要です。
2.デザイン・コーディング
トップページ、記事ページ、カテゴリページ、問い合わせへの導線などを設計・制作する費用です。
既存テンプレートを使うのか、オリジナルデザインを作るのかで金額が変わります。
シェイプウィンでは30万〜50万円以上を一つの目安としており、独自機能やオリジナルデザインの範囲が増えるほど費用も上がります。
大切なのは、デザインの豪華さそのものではありません。
検索から記事へ入ってきた見込み客が、内容を読みやすく、関連情報やサービス情報へ迷わず進める設計になっているかを確認します。
3.CMS・システム構築
CMSとは、専門的なコードを毎回書かなくても、記事を投稿・編集・公開できる仕組みです。
WordPressはオープンソースソフトウェアとして公開されているため、WordPress本体のライセンス費用とは別に、実際のプロジェクトでは設定・デザイン・開発・サーバー・保守などに費用が発生すると考える必要があります。
会員機能、外部システム連携、複雑な承認フローなどを追加すれば、構築費も上がります。
必要な機能を立ち上げ時からすべて載せるのではなく、「公開時に必要なもの」と「運用後に追加できるもの」を分けると予算を調整しやすくなります。
4.初期記事・コンテンツ
サイトを作っても、読者が読む記事がなければオウンドメディアとして機能しません。
そのため、公開前に用意する記事や導入事例、サービス説明、監修情報なども初期予算へ入れておきます。
記事費用は、本数だけでなく、企画、取材、専門家監修、図解、撮影などの有無で変わります。
ここでは記事1本の単価だけを見るのではなく、
- 公開時に何本必要か
- 誰が企画するか
- 誰が原稿を書くか
- 誰が事実確認・監修をするか
- 誰がCMSへ入稿するか
まで決めておくことが重要です。
継続的な記事制作代行の月額や記事1本ごとの詳細な料金比較は、立ち上げ予算とは分けて検討します。
5.計測環境の設定
公開後に成果を判断するため、アクセス解析や検索パフォーマンスを確認できる状態も立ち上げ時に整えます。
Google Search ConsoleはGoogleが無料で提供しているサービスです。Google Marketing Platformにも無料で利用できる分析ツールがあります。
ただし、ツール自体が無料でも、
- アカウント設定
- サイトへの実装
- 問い合わせなどの成果地点の設定
- レポート設計
を外部へ依頼すれば作業費が発生します。
「ツール代」と「設定・運用する人の費用」は分けて考えましょう。
初年度予算は「初期費用+12か月の運用費」で算出する
立ち上げ時の判断では、初期費用だけでなく、少なくとも初年度まで計算します。
基本式はシンプルです。
初年度予算=初期費用+月間運用費×12か月

オウンドメディアの予算は、公開までの制作費だけでなく、公開後12か月の運用費まで含めて考えます。
公開されている費用帯から計算すると、依頼範囲によって次のような違いが生まれます。
| 立ち上げ方 | 初期費用の参考帯 | 月額の参考帯 | 初年度総額の参考 |
|---|---|---|---|
| 社内制作を多く残す | 20万〜100万円 | 1万〜5万円 | 約32万〜160万円 |
| 本格的な集客基盤を構築 | 100万〜300万円 | 5万〜20万円 | 約160万〜540万円 |
| 戦略・記事・分析まで広く外注 | 100万〜300万円 | 50万〜130万円 | 約700万〜1,860万円 |
※上記の初年度総額は、Web幹事とシェイプウィンが公開している価格帯をもとに弊社で算出した参考値です。各価格帯で含まれる作業は同一ではありません。特に社内制作型では、自社担当者の人件費や追加の記事制作費が別途必要になる場合があります。
この表から分かるのは、「オウンドメディアは○○万円」と一つの数字で決められないことです。
同じ100万円でも、サイトだけを作る100万円と、戦略やコンテンツまで含む100万円では中身が違います。
公開後の運用を外部へ任せる場合の月額・初期費用・年間予算は、オウンドメディア運営代行の費用相場で詳しく整理しています。
予算別に内製と外注の範囲を決める
費用を抑えるときは、すべてを内製するか、すべてを外注するかの二択にする必要はありません。
自社が持っている情報や人材に合わせて分担します。

内製か外注かは一括で決めず、社内の知識・専門人材・確保できる時間を踏まえて工程ごとに判断します。
| 領域 | 内製しやすいケース | 外注を検討しやすいケース |
|---|---|---|
| 事業・顧客情報 | 社内に知見がある | 外注する場合も原則として社内関与が必要 |
| 戦略・SEO設計 | 専門担当者がいる | 初めて立ち上げる |
| CMS・開発 | Web開発担当者がいる | 技術担当者がいない |
| 記事執筆 | 専門家が執筆時間を確保できる | 本数を継続的に確保したい |
| 編集・品質管理 | 編集経験者がいる | 社内に編集機能がない |
| 分析・改善 | 定期的に数字を確認できる | データを見ても改善判断が難しい |
特に、自社の商品、サービス、顧客、現場で得られた知見は、外部会社だけでは作れません。
一方、CMS開発や技術対応、SEO設計など、社内に専門人材がいない業務を無理に内製すると、担当者の学習時間もコストになります。
見積額だけでなく、社内で必要になる時間まで含めて比較することが重要です。
金額より先に「何へ予算を配分するか」を決める
オウンドメディアの成果は、予算額だけで決まるわけではありません。
ドイツ・スイス・オーストリアの250人以上の企業263社を対象とした2021年の研究では、明確なコンテンツ戦略、対象者のニーズに沿ったコンテンツ制作、成果測定、運営を支える組織や仕組みなどが、担当者が評価したコンテンツマーケティングの有効性と関連していました。一方、年間予算額そのものについては、この研究では有効性との有意な関係が確認されませんでした。
対象国や企業規模が日本企業とは異なるため、そのまま日本の費用相場へ置き換えることはできません。
ただし、予算設計を「いくら使うか」だけで終わらせず、
- 誰に届けるのか
- 何を作るのか
- 誰が品質を確認するのか
- 公開後に何を測るのか
- 数字を見て誰が改善するのか
まで決める必要があることを考える材料にはなります。
見込み客にとって価値があるのは、制作費の高いサイトそのものではありません。
検索した疑問に答える記事があり、必要な情報を比較でき、次の行動へ進みやすいことです。
予算は、制作会社側の工程だけでなく、最終的に情報を読む人が接触する場所から逆算して配分します。
見積もりを取る前に7項目を決める
制作会社へ相談する前に、次の7項目を整理しておくと、見積内容を比較しやすくなります。
- オウンドメディアを立ち上げる目的
- 主な対象読者
- 独立したサイトにするか、既存サイト内に作るか
- 公開時に必要な記事やページ
- CMSに必要な機能
- 公開後に毎月どこまで社内で対応するか
- 初年度に使える総予算

制作会社へ相談する前に7項目を整理しておくと、見積もりの前提をそろえやすくなります。
さらに、見積書では次の費目を分けてもらいます。
- 戦略・企画
- デザイン
- CMS・開発
- 初期コンテンツ
- 計測設定
- 保守
- 公開後のコンテンツ制作
- 分析・改善
これらが「制作一式」でまとめられていると、別の会社から取った見積もりとの比較が難しくなります。
予算を抑えるなら構築費だけではなく総額を見直す
予算が限られている場合は、安い制作会社を探す前に、依頼範囲を調整します。
たとえば、
- 既存サイトのCMSを活用する
- デザインを必要以上に作り込まない
- 公開時には必要最低限の機能から始める
- 自社の専門知識や事例情報は社内で用意する
- 編集や技術実装など不足する機能だけ外注する
- 無料で使える計測ツールを活用する
といった方法があります。
一方、初期費用を抑えすぎて公開後の記事制作や改善予算がなくなると、サイトだけが残る状態になりかねません。
削減するときも、初期費用と12か月の運用費をセットで見直すことが重要です。
よくある質問
オウンドメディアの立ち上げには結局いくら必要ですか
本格的な集客を目的とし、戦略設計やCMS構築まで制作会社へ依頼する場合、初期100万〜300万円程度を目安とする2026年の公開情報が複数あります。
ただし、必要額は既存サイトの有無、デザイン、機能、初期記事、公開後の外注範囲によって変わります。
初期費用だけではなく、初年度総額で判断してください。
既存の会社サイトに記事機能を追加した方が安くなりますか
すでに利用できるCMSやサイト基盤があり、大きな機能追加を必要としない場合は、新しいサイトをゼロから作るより構築範囲を減らせることがあります。
ただし、既存サイトのCMS、権限、デザイン、セキュリティ、SEO上の構造などによって追加工数が変わるため、現在の環境を確認してから判断します。
WordPressならほとんど費用はかかりませんか
WordPress本体はオープンソースですが、企業のオウンドメディアを公開・運営するには、サーバー、ドメイン、デザイン、設定、開発、セキュリティ対応、保守などが必要です。
「CMS利用料」と「サイトを構築・運営する費用」は分けて考えます。
まとめ
オウンドメディアの立ち上げ費用は、単純なサイト制作費だけでは決まりません。
まず、
初年度予算=初期費用+12か月の運用費
として全体を出します。
そのうえで、戦略、デザイン、CMS、初期記事、計測、公開後の記事制作・分析・保守を分け、どこまで内製し、どこから外部へ依頼するかを決めます。
本格的な立ち上げでは初期100万〜300万円程度が一つの参考帯ですが、公開後まで広く外注する場合は年間予算が大きく増えます。
相場へ自社を合わせるのではなく、目的、既存サイト、社内体制、必要な記事量、運用方法を整理してから予算を決めることが重要です。
自社の場合に戦略・サイト構築・コンテンツへどの程度配分すべきか判断しにくい場合は、予算額だけでなく、社内で対応できる範囲まで整理したうえで相談すると、必要な発注範囲を決めやすくなります。
立ち上げ費用だけでなく、運営を続けるための全体像から確認したい場合は、オウンドメディア運営の全体像もあわせて確認してください。
参考文献・データ元
この記事で参照した情報を確認できます。
- 「オウンドメディア構築・運用の費用相場は?コスト削減のコツまで徹底解説」Web幹事、2026年8月更新。構築費、運用費、価格帯別の依頼範囲を参照。
Web幹事の該当記事 - 「オウンドメディア構築・運営にかかる費用の相場|コストをおさえる方法も解説」シェイプウィン株式会社、2026年7月更新。初期費用、戦略・デザイン・CMS、運用支援の費用帯を参照。
シェイプウィンの該当記事 - WordPress.org「License」「About」。WordPressのGPLライセンス、オープンソースに関する確認に使用。
WordPress.orgのライセンスページ - Google「Search Console の概要」。Search Consoleが無料サービスであることの確認に使用。
Google「Search Console の概要」のページ - Google Marketing Platform「Free Business Analytics Solutions」。無料分析ツールに関する確認に使用。
Google Marketing Platformの該当ページ - Koob, C. “Determinants of content marketing effectiveness: Conceptual framework and empirical findings from a managerial perspective.” PLOS ONE, 2021. 対象263組織。戦略、コンテンツ品質、測定、組織体制とコンテンツマーケティング有効性の関係を確認するために使用。
PLOS ONEの論文ページ
‹ 親記事: オウンドメディアとは?意味・重要性・運営の全体像を企業担当者向けにやさしく整理
