検索ブランド相談室 | 検索と評判の専門メディア

オウンドメディアのインタビュー記事の作り方|企画・質問設計・取材・原稿確認・公開まで

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
質問メモや録音機を用意した取材テーブルと「7工程で、取材を標準化」の文字を組み合わせたアイキャッチ

オウンドメディアのインタビュー記事は、取材当日の会話だけで品質が決まるものではありません。企画の目的、取材対象者の選定、事前リサーチ、質問設計、当日の深掘り、原稿構成、本人確認までを一つの制作工程として設計することが重要です。

特に手戻りが起きやすいのは、「何を聞くか」より前の準備と、取材後の確認ルールが曖昧な場合です。本記事では、初めて担当する人でも再現できるよう、インタビュー記事制作を7工程に分けて解説します。質問票・取材進行表・原稿確認チェックリストを社内で共通化すれば、担当者が変わっても進めやすくなります。

インタビュー記事は7工程に分けると標準化しやすい

インタビュー記事制作は、「質問を作る→話を聞く→原稿を書く」だけではありません。企画から公開までを分解し、それぞれで完成させるものを決めておくと、抜け漏れや差し戻しを防ぎやすくなります。

企画、事前調査、質問設計、取材、構成・執筆、原稿確認、公開の7工程を示したフロー図

インタビュー記事は、取材当日だけでなく企画から公開までを一つの制作フローとして設計します。

工程 主な作業 完成させるもの
1. 企画 目的・読者・記事で伝える価値を決める 取材企画メモ
2. 事前調査 取材対象者・企業・テーマを調べる リサーチメモ
3. 質問設計 読者が知りたい情報から質問を作る 質問票
4. 取材 進行・深掘り・事実確認を行う 録音・メモ
5. 構成・執筆 話した順ではなく伝わる順に再構成する 初稿
6. 原稿確認 事実・公開可否・写真・引用を確認する 確認済み原稿
7. 公開 最終校正・リンク・表記を確認する 公開記事

はてなのオウンドメディア向けガイドでも、目的設定、取材対象者の選定、構成・想定質問、取材、執筆・確認という流れが整理されています。取材後に慌てて確認方法を決めるのではなく、最初から公開までを一続きの工程として扱うことが重要です。

企画では「誰に何を持ち帰ってほしいか」を1文にする

最初に決めるのは質問ではなく、記事の役割です。「この人の話を聞きたい」だけで企画を始めると、面白い話は集まっても、読者に何を伝える記事なのかがぼやけます。

企画段階では、最低でも次の4点を1枚にまとめます。

  • 読者は誰か
  • 読者は何を知りたいか
  • 読後に何を理解・判断できる状態にするか
  • そのために、なぜこの人へ取材するのか

たとえば「新規事業責任者へのインタビュー」ではなく、「新規事業を任された管理職が、立ち上げ初期の意思決定で何を優先すべきか判断できる記事」と置くと、必要な質問が変わります。

取材対象者は肩書きより「具体的な経験を持っているか」で選ぶ

取材対象者は、社内で話しやすい人ではなく、記事の中心質問に答えられる人を選びます。確認したいのは、実際の経験、意思決定、失敗、数字、比較、変化を具体的に話せるかどうかです。

同じテーマでも、経営者、現場責任者、担当者では見えている事実が違います。1人ですべてを語れない場合は、無理に1人へ集約せず、複数人への取材や補足確認に分ける方法もあります。

質問設計は「読者の疑問→必要な情報→質問」の順で作る

質問票は、担当者が聞きたいことを並べるのではなく、読者が記事を読むときに必要な情報から逆算します。

読者の疑問から必要な情報を整理し、取材で聞く質問へ落とし込む質問設計の流れ

質問票は、担当者が聞きたい内容ではなく、読者が判断するために必要な情報から逆算して設計します。

半構造化インタビューを扱った研究でも、目的に合う質問ガイドを作るために、既存知識の確認、質問案の作成、事前検証などを段階的に行う方法が整理されています。研究インタビューと企業の記事取材は目的が異なりますが、「目的と質問を先にそろえる」という考え方は質問設計の参考になります。

質問は、次の6種類に分けると偏りを確認しやすくなります。

質問の種類 目的 質問例
事実 状況を確定する 当時はどの役割を担当していましたか
背景 なぜ始めたかを知る 取り組みを始めたきっかけは何でしたか
行動 実際に何をしたかを知る 最初に変えたことは何ですか
判断 意思決定の基準を知る その案を選んだ理由は何ですか
比較 変化を具体化する 以前と比べて何が変わりましたか
学び 読者が再利用できる知見にする 同じ状況の人に何を勧めますか

事前リサーチは「取材でしか聞けないこと」を見つけるために行う

取材対象者のプロフィール、過去の発信、所属企業の公式情報、関連するサービス・プロジェクト、業界の前提を先に確認します。

すでにWebで公開されている経歴を取材時間の大半で聞き直すと、本人にしか聞けない経験や判断を掘り下げる時間が減ります。

事前調査で分かることと、本人にしか聞けないことを分け、後者に取材時間を使います。

質問票は台本ではなく「回収したい情報の一覧」として使う

質問を順番どおり消化することが目的になると、重要な発言が出ても深掘りできません。

質問票には「必ず確認する質問」と「時間があれば聞く質問」を分けておくと、当日の判断がしやすくなります。

また、抽象的な回答が出たときの補助質問も準備します。

  • 「具体的には、どんな場面でしたか」
  • 「そう判断した理由は何でしたか」
  • 「その前と後で、何が変わりましたか」
  • 「数字や事例で示せるものはありますか」
  • 「うまくいかなかった方法はありましたか」

取材前に録音・写真・原稿確認のルールまで合意する

手戻りを減らすには、取材日程だけでなく、公開までの確認方法を取材前に共有します。

特に外部の取材対象者では、原稿完成後に初めて「この写真は使えない」「この情報は掲載できない」と分かると、原稿や構成の修正範囲が大きくなることがあります。

事前共有する項目は次のとおりです。

  • 記事の目的と想定読者
  • 掲載予定媒体
  • 取材時間と実施方法
  • 録音・録画の有無
  • 写真撮影の有無と掲載予定
  • 氏名・会社名・肩書きの掲載範囲
  • 事前に共有する質問テーマ
  • 原稿確認の有無
  • 確認してほしい範囲
  • 確認期限
  • 公開予定時期

人物を判別できる写真は個人情報に当たり得ます。個人情報保護委員会も、不特定多数への提供では自主的に本人の同意を得るなどの対応が望ましいとしています。法的判断が必要な案件は個別確認が必要ですが、記事制作の実務では撮影時点で掲載予定と利用範囲を伝え、使用可否を確認しておくと安心です。

取材当日は「質問数」より具体的なエピソードを回収する

当日の目的は、質問票を最後まで読み上げることではありません。読者が状況をイメージできる事実、判断の背景、具体的な出来事を回収することです。

冒頭で目的・時間・録音を再確認する

最初に記事の目的、取材時間、録音・録画、終了予定時刻を短く確認します。

取材対象者が「今日は何を話せばよいか」を理解した状態で本題へ入ることで、話す内容の方向をそろえやすくなります。

回答は「具体化→理由→比較」で深掘りする

「大変でした」「成果が出ました」「工夫しました」といった回答だけでは、読者が状況を判断する材料が不足します。

その場合は、具体化、理由、比較の順で追加質問します。

たとえば「問い合わせが増えました」という発言が出た場合は、「どの時期から」「何を変えた後に」「どの指標で」「どの程度」「ほかに同時に変えた施策はあったか」まで確認します。

増加と施策の因果関係まで確認できない場合は、原稿でも「施策によって増えた」と断定せず、確認できた事実の範囲で整理します。

固有名詞・数字・時期はその場で確認する

正式なサービス名、部署名、役職、金額、件数、期間、前年比などは、取材中に曖昧さを残さないよう確認します。

その場で確認できない場合は、後で確認する項目として明示しておきます。

録音があっても、重要箇所の時刻や追加確認事項はメモしておくと、原稿作成時に探しやすくなります。

原稿は「話した順」ではなく「読者が理解しやすい順」に組み替える

取材音声をそのまま文字にしたものは、完成した記事ではありません。

取材で話した順番を、課題・原因・判断・実行・変化・学びの順へ再構成する比較図

取材音声をそのまま文章にするのではなく、発言の意味を保ったまま読者が理解しやすい順へ再構成します。

発言の意味を変えずに、読者が理解しやすい順序へ再構成します。はてなのガイドでも、取材対象者が語った順番ではなく、読者へ伝わる順番を意識した構成が紹介されています。

構成を作るときは、最初に記事の結論を1文で置き、その結論を支える素材を並べます。

実務記事なら、次の順序が候補になります。

  1. どんな課題があったか
  2. なぜその課題が起きていたか
  3. 何を判断したか
  4. 何を実行したか
  5. 何が変わったか
  6. 何がうまくいかなかったか
  7. 読者が再現するなら何を確認すべきか

記事形式は目的に合わせて選ぶ

インタビュー記事の主な形式には、対談形式、Q&A形式、一人称形式があります。

対談形式は会話の流れを見せやすく、Q&A形式は論点を整理しやすく、一人称形式は話者のストーリーを連続して読ませやすいという違いがあります。はてなでも、Q&A形式や一人称形式など、目的に応じた複数のまとめ方が紹介されています。

形式を決めるときは、社内の好みではなく、読者に何を持ち帰ってほしいかで判断します。

手順や判断基準を伝えるならQ&A、複数人の考え方の違いを見せるなら対談、個人の経験や変化を伝えるなら一人称形式が候補になります。

発言を整えるときは意味を変えない

話し言葉の重複や言い直しは読みやすく整えて構いませんが、話者が言っていない結論を補ったり、印象を強くするために発言を作り替えたりしないようにします。

Reutersの編集基準でも、引用の意味や文脈を変えないこと、必要な事実確認を行うことが重視されています。報道機関の基準をそのまま企業オウンドメディアへ適用する必要はありませんが、発言を扱う際の精度管理として参考になります。

原稿確認は「事実確認」と「表現調整」を分ける

原稿確認で修正が増えやすいのは、「何を確認してもらうのか」が決まっていない場合です。

インタビュー記事の原稿確認を事実確認と表現調整に分けて整理した図

事実の正しさを確認する作業と、文章表現を調整する作業を分けると、修正内容を判断しやすくなります。

取材対象者には、まず事実と公開可否を確認してもらい、編集上の表現調整とは分けて扱います。

確認区分 主な確認内容
事実 氏名、肩書き、会社名、サービス名、日付、数字
発言 意図が変わっていないか、文脈が欠けていないか
公開範囲 機密情報、顧客名、未公開情報が含まれていないか
写真 使用写真、人物、背景の写り込み、掲載可否
引用・資料 他社資料や画像を使う場合の権利・出典
表現 誤解を招く断定、過度な誇張がないか

第三者の著作物を引用する場合は、出典を書くだけで自由に使えるわけではありません。

文化庁は、引用について、公表済みであること、公正な慣行に合致すること、目的上正当な範囲であることなどを条件として説明しています。他社の図版や写真を掲載したい場合は、引用として利用できるかを決めつけず、必要に応じて許諾を確認します。

確認期限と修正窓口を一つにする

複数部署や複数人が確認する記事では、コメントが別々に届くと修正方針が衝突します。

確認担当者、最終承認者、期限、コメント方法を先に決め、編集側で一本化して反映します。

修正依頼を受けたときも、事実誤認の修正なのか、公開可否の変更なのか、表現上の調整なのかを分けて扱うと、記事の目的を保ちやすくなります。

公開前チェックをテンプレート化すると担当者が変わっても進めやすい

標準化の最後は、公開前のチェック項目を固定することです。

担当者の経験だけに頼らず、毎回同じ観点で確認します。

  • タイトルと本文の内容が一致している
  • 氏名・社名・肩書きが最新である
  • 数字・年月・固有名詞を確認した
  • 引用が元発言の意味を変えていない
  • 写真の掲載可否を確認した
  • 外部資料・画像の権利を確認した
  • 取材対象者からの修正を反映した
  • 誤字脱字とリンク切れを確認した
  • 公開日と告知担当を決めた
  • 元音声、確認済み原稿、使用画像の保存先を決めた

公開後に訂正が必要になった場合の窓口と対応方法まで決めておくと、制作工程が公開時点で途切れません。

インタビュー記事だけでなく、出典・図表・CTA・著者欄など公開時の共通項目もそろえる場合は、記事テンプレートの作り方を確認してください。

インタビュー制作で起きやすい失敗は工程ごとに予防する

よくある失敗 起きやすい原因 予防策
話は面白いが記事の結論がない 企画目的が曖昧 読後に持ち帰る内容を1文で固定する
質問が表面的 公開情報の確認に時間を使う 事前調査で既知情報を除外する
取材が脱線する 必須質問が決まっていない 必須・任意の質問を分ける
原稿で事実確認が多発する 数字・固有名詞をその場で確認していない 確認待ち項目を取材中に記録する
全面書き直しになる 原稿確認の範囲が曖昧 事実・公開可否・表現を分けて依頼する
公開直前に写真が使えない 掲載可否の確認が遅い 撮影前・取材前に利用範囲を共有する

インタビュー記事の品質を安定させるには、文章術だけを標準化するのではなく、企画書、質問票、取材進行表、原稿確認表、公開前チェックリストまでを一組の制作セットとして持つことが重要です。

質問票・取材進行表・原稿確認項目を毎回ゼロから作らず運用したい場合は、実務で使える資料ダウンロードも活用すると進めやすくなります。

まとめ

オウンドメディアのインタビュー記事は、取材当日のスキルだけでなく、企画から公開までの工程設計で品質と進行の安定性が変わります。

まず「誰に何を持ち帰ってほしいか」を決め、読者の疑問から質問を逆算します。取材前に録音・写真・原稿確認のルールまで共有し、当日は具体的な事実と判断の背景を深掘りします。

原稿は話した順ではなく読者が理解しやすい順に組み替え、事実確認と表現調整を分けて確認します。

最終的に、企画書・質問票・進行表・確認表・公開前チェックリストを共通化できれば、担当者が変わっても同じ流れで制作しやすくなります。

インタビュー記事を含む制作フロー全体の役割分担や品質確認を整理する場合は、コンテンツ制作・運用体制の全体像もあわせて確認してください。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

・「インタビュー記事をオウンドメディアで発信したい! 取材の準備から当日までの流れ、書き方のポイントを紹介」株式会社はてな。2025年6月20日公開、2026年7月23日更新。
https://www.hatena.ne.jp/ownedmedia/article/2025/06/20/103000

・「インタビュー記事作成完全ガイド|質問設計とテンプレート付き」opus合同会社。2026年4月20日公開、2026年9月10日更新。
https://opus-inc.jp/interview-article-creation-complete-guide-template/

・Kallio, H., Pietilä, A.-M., Johnson, M., & Kangasniemi, M. “Systematic methodological review: developing a framework for a qualitative semi-structured interview guide.” Journal of Advanced Nursing, 2016. DOI: 10.1111/jan.13031。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jan.13031

・Castillo-Montoya, M. “Preparing for Interview Research: The Interview Protocol Refinement Framework.” The Qualitative Report, 2016. DOI: 10.46743/2160-3715/2016.2337。
https://nsuworks.nova.edu/tqr/vol21/iss5/2/

・個人情報保護委員会「会社の行事で撮影された写真などを、当社内で展示する場合、写真に写っている本人からあらかじめ同意を得る必要がありますか。」
https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq1-q7-11/

・文化庁「文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/kibankyoka/faq/index.html

・Reuters “Journalistic Standards.”
https://reutersagency.com/about/standards-values/

‹ 親記事: コンテンツ制作・運用体制とは?編集フロー・役割分担・品質チェックの仕組みを体系的に整理

関連記事

関連テーマ