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モンスター社員とは?特徴と対応方法・辞めさせる場合の注意点を解説

部署:人事・採用担当者レベル:実践採用改善
問題行動の記録をもとにモンスター社員への対応方針を整理する管理職のイメージ

遅刻や欠勤を繰り返す、正当な業務指示に従わない、同僚への暴言やハラスメントを続ける、社内ルールを守らない――。
こうした問題行動を繰り返し、職場に大きな負担を生じさせる社員は、一般に「モンスター社員」「問題社員」などと呼ばれることがあります。
ただし、「モンスター社員」は法律上の正式な名称ではありません。また、会社にとって扱いにくい社員や、上司に反対意見を述べる社員を一律に「モンスター社員」と判断するべきでもありません。
企業が見るべきなのは本人の性格ではなく、具体的にどのような問題行動が発生し、それによって業務や他の従業員にどのような影響が生じているかです。
問題社員への対応では、いきなり解雇を検討するのではなく、事実確認、記録、注意・指導、改善機会の付与、必要に応じた人事上・懲戒上の措置という順序で進めることが重要です。
厚生労働省も、勤務態度や業務命令違反など労働者側に問題がある場合でも、一度の失敗だけで直ちに解雇が認められるものではなく、行為の内容や会社への影響、本人の事情などさまざまな事情を考慮して判断されると説明しています。
この記事では、モンスター社員と呼ばれる問題社員の具体的なタイプ、会社が最初に行うべき対応、指導・懲戒・解雇を検討する際の注意点、問題を深刻化させない組織づくりまで解説します。

最初に全体像を整理すると、基本的な対応は次の順序です。

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問題社員対応は性格判断ではなく、事実・記録・改善プロセスで進める

段階 会社側で行うこと
1. 事実確認 具体的な問題行動と業務への影響を確認する
2. 記録 勤怠、メール、チャット、面談記録などを残す
3. 本人確認 本人から事情を聞き、会社側の運用上の問題も確認する
4. 注意・指導 改善すべき行動を具体的に示す
5. 改善確認 一定期間後に改善状況を確認する
6. 次の措置 必要に応じて配置・懲戒・退職勧奨・解雇等を個別に検討する

「モンスター社員だから辞めさせる」という順序ではなく、確認できる事実と対応履歴を積み上げることが重要です。

モンスター社員とは「性格」ではなく問題行動で判断する

「モンスター社員」という言葉に法律上の定義はありません。
一般には、勤務態度、職場での言動、業務命令への対応、他の従業員との関係などに継続的な問題があり、会社や周囲の社員に大きな影響を与えている社員を指す表現として使われています。
ただし、会社としては「モンスター社員」というレッテルを貼るのではなく、具体的な行動単位で問題を整理する必要があります。
例えば、
無断欠勤や遅刻を繰り返している
正当な業務指示を理由なく拒否している
同僚や部下への暴言・ハラスメントを繰り返している
業務上必要な情報共有を意図的に行わない
会社の機密情報や個人情報を不適切に扱う
社内ルールへの違反を繰り返している
注意・指導を行っても改善が見られない
などです。
重要なのは、「態度が気に入らない」「協調性がない」といった抽象的な評価ではなく、どの行動が、いつ、どの程度発生したのかを明確にすることです。

モンスター社員と呼ばれる問題社員の主なタイプ

問題社員の主な行動タイプ

問題社員への対応方法は、発生している問題によって異なります。
まずは、何が問題なのかを分類します。

勤怠に問題がある社員

例えば、
無断欠勤
遅刻・早退の繰り返し
無断で職場を離れる
勤務時間中に業務を行わない
などです。
単発の遅刻などではなく、継続性や頻度、本人へ注意した後の改善状況まで確認します。
また、病気や家庭事情など本人側にやむを得ない事情が存在する可能性もあるため、原因を確認せずに処分を先行させるのは避けるべきです。

業務指示・職場ルールに従わない社員

正当な業務指示を繰り返し拒否したり、会社のルールを意図的に守らなかったりするケースです。
ただし、上司の指示に反論しただけで問題社員になるわけではありません。
業務上不可能な指示、安全上問題のある指示、法律や社内規程に反する可能性のある指示について社員が異議を述べることと、正当な業務命令を継続的に拒否することは分けて考える必要があります。

周囲へのハラスメント・暴言がある社員

同僚、部下、上司などに対して、人格を否定する発言、威圧的な言動、いじめや嫌がらせなどを繰り返すケースです。
ハラスメントの申告があった場合、会社は申告者側だけ、あるいは行為者とされた社員側だけの話で結論を決めるべきではありません。
厚生労働省の指針では、相談者と行為者の双方から事実を確認し、主張が一致しない場合には必要に応じて第三者からも事情を確認することが示されています。

周囲の社員の業務を妨げる社員

例えば、
必要な情報を共有しない
他の社員の仕事を意図的に妨害する
社内で対立をあおる
周囲への攻撃を繰り返す
などにより、チームとして正常に仕事ができなくなっているケースです。
この場合も「協調性がない」とだけ記録するのでは不十分です。
具体的に何をしたのか、その結果どの業務が停止・遅延したのかまで整理します。

機密情報や社内ルールを不適切に扱う社員

会社の営業秘密、顧客情報、個人情報などを不適切に持ち出したり、社外へ公開したりするケースです。
情報漏えいは会社や顧客に大きな影響を与える可能性があります。
発生した場合は通常の勤務態度問題とは分けて、社内規程、情報管理ルール、漏えいした情報の内容や範囲などを速やかに確認する必要があります。

「問題社員かもしれない」と感じたときに会社が最初にすること

問題社員対応で最初に行うべきことは、「辞めさせる方法」を考えることではありません。
問題となっている事実を具体化することです。

1.問題となっている行動を書き出す

例えば、
「勤務態度が悪い」
ではなく、
「6月から8月までに無断遅刻が7回あり、○月○日に注意したが、その後も3回発生した」
という形にします。
同じように、
「上司に反抗的」
ではなく、
「○月○日の会議で指示した業務について理由を示さず拒否し、その後○回の指示にも対応しなかった」
と記録します。
評価ではなく事実に変えることが重要です。

2.メールやチャットなど客観的な記録を確認する

問題行動について、
メール
社内チャット
勤怠記録
業務記録
報告書
面談記録
関係者の証言
などを確認します。
口頭での注意だけを繰り返していると、後になって「そのような指導は受けていない」と認識が食い違うことがあります。
そのため、指導内容と本人の回答を記録として残していくことが重要です。

3.本人から事情を聞く

会社側が問題だと考えている行動について、本人にも説明の機会を設けます。
事情を確認すると、
指示内容を誤解していた
上司ごとに指示が違っていた
業務量そのものに問題があった
健康上の事情があった
社内ルールを正しく認識していなかった
など、会社側の運用にも原因がある場合があります。
最初から「本人にすべて原因がある」と決めず、事実を確認します。

問題社員への基本対応は「注意・指導・記録・改善確認」

問題社員への基本的な対応プロセス

問題行動が確認できた場合は、何が問題なのかを本人に具体的に伝え、改善を求めます。
実務上は次の流れで進めます。
問題となっている事実を確認する
本人から事情を聞く
改善すべき行動を具体的に示す
必要な指導・教育を行う
指導内容を記録する
一定期間後に改善状況を確認する
改善しない場合は次の対応を検討する
例えば、
「もっと協調性を持ってください」
だけでは、本人が何を直せばいいのか分かりません。
「毎週月曜日の10時までに進捗報告を提出する」「業務変更が必要な場合は直属上司の承認を受ける」など、求める行動を具体化します。

いきなり解雇ではなく段階的に対応する

会社側から見ると問題行動が明らかな場合、「もう辞めてもらいたい」と考えることがあります。
しかし、会社が自由に社員を解雇できるわけではありません。
労働契約法第16条では、解雇について、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には無効になるとされています。
厚生労働省も、勤務態度や業務命令違反など労働者側に問題があるケースであっても、一度の失敗だけで直ちに解雇が認められるわけではないと説明しています。
そのため一般的には、
事実確認
→ 注意・指導
→ 改善機会
→ 改善状況の確認
→ 必要に応じて懲戒等を検討
→ それでも雇用継続が困難な場合に解雇等を検討
という段階で考えることが重要です。

懲戒処分を検討するときの注意点

問題行動の内容によっては、戒告、けん責、減給、出勤停止など、就業規則に基づく懲戒処分を検討する場合があります。
ただし、懲戒についても会社が自由に行えるわけではありません。
労働契約法第15条では、労働者の行為の性質や態様などに照らし、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない懲戒は無効になるとされています。
したがって、
就業規則上の根拠があるか
本当に本人がその行為を行ったのか
行為の程度に対して処分が重すぎないか
過去の類似案件と比べて不公平ではないか
本人への事実確認を行ったか
などを確認する必要があります。

モンスター社員を辞めさせることはできる?

問題社員だからという理由だけで、自動的に解雇できるわけではありません。
解雇を検討する場合には、少なくとも次のような事情を整理する必要があります。
どのような問題行動があったか
問題行動が何回発生しているか
会社や他の社員へどの程度影響したか
会社がどのような注意・指導を行ったか
改善する機会を与えたか
指導後も問題が継続しているか
就業規則上どの規定に該当するか
配置変更や業務変更など他の対応が可能か
解雇という結果が相当といえるか
特に能力不足、勤務態度不良、適格性などを理由に解雇するケースでは、本人の問題だけでなく、会社側がどのような指導を行ったかも重要になります。厚生労働省の裁判例解説でも、勤務態度不良や適格性欠如などは普通解雇の合理性を判断する類型として整理されています。
重大な問題が起きている場合は、自己判断で処分を進めるのではなく、弁護士や社会保険労務士などの専門家への確認も検討した方が安全です。

退職勧奨と解雇は違う

退職勧奨と解雇の違い

会社が社員へ退職を提案し、本人が合意して退職する「退職勧奨」と、会社が一方的に雇用契約を終了させる「解雇」は異なります。
退職勧奨を行う場合でも、本人の自由な意思決定を妨げるような方法は避ける必要があります。
例えば、
長時間にわたり何度も退職を迫る
脅迫的な言い方をする
退職に応じなければ不利益を与えると示唆する
多人数で囲んで退職を迫る
といった方法は、新たなトラブルにつながる可能性があります。
「問題社員だから何をしてもよい」という考え方ではなく、会社側の対応についても適切な手続きを踏むことが必要です。

やってはいけない問題社員への対応

感情的に怒鳴る

問題行動に腹が立っても、人格否定や過度な叱責を行えば、会社側のハラスメント問題へ発展する可能性があります。
注意するときは、人ではなく具体的な行動を指摘します。

他の社員の前で吊し上げる

本人への注意・指導は必要ですが、不必要に他の社員の前で非難することは避けます。
必要な範囲で個別に面談し、改善事項を具体的に伝えます。

「自主退職」に見せかけるため追い込む

本人から退職を申し出るよう仕事を与えない、孤立させる、嫌がらせを行うといった方法は適切ではありません。
退職・解雇の問題と日常的な人事管理を混同しないことが重要です。

問題を放置する

反対に、「揉めたくないから」と放置することにも問題があります。
特に他の社員へのハラスメントが発生している場合、事業主には相談体制の整備、事実確認、適切な対応、再発防止などが求められています。

問題社員を生みにくい会社にするための予防策

問題社員トラブルを防ぐための確認項目

問題社員対応は、問題が起きた後だけの仕事ではありません。
会社側のルールやマネジメントが曖昧だと、問題が発生した際に適切な指導が難しくなります。

就業規則・社内ルールを明確にする

何を守る必要があり、違反した場合にどのような対応が行われるのかを明確にします。
常時10人以上の労働者を使用する事業場では、労働基準法に基づき就業規則の作成・届出が必要です。厚生労働省はモデル就業規則も公開しています。

管理職ごとの指導基準をそろえる

ある上司は許すが別の上司は処分する、といった状態では、社員側にも不公平感が生まれます。
問題行動への注意方法やエスカレーションの基準を社内で統一します。

面談・指導内容を継続的に記録する

問題が深刻化してから過去の状況を思い出そうとしても、正確に再現することは困難です。
日常的な1on1や評価面談、指導内容を記録しておくことで、本人の改善にも会社側の判断にも役立ちます。

ハラスメント相談体制を整える

問題社員本人がハラスメントの行為者になる場合もあれば、逆に本人から正当なハラスメント相談が出る場合もあります。
「問題社員からの申告だから信用しない」という扱いをせず、申告内容そのものを事実に基づいて確認することが重要です。

モンスター社員対応は「辞めさせ方」より「会社が説明できる状態」を作る

問題社員への対応で重要なのは、最初から「どう辞めさせるか」を考えることではありません。
まず、
何が問題なのか
→ 事実として確認できるか
→ 本人へ伝えたか
→ 改善する機会を与えたか
→ 改善したか
→ それでも雇用を継続することが難しいのか
という順番で整理します。
このプロセスが明確であれば、本人が改善して雇用を継続できる場合もあります。
逆に改善が見られず、最終的に懲戒や解雇を検討する場合にも、会社がどのような事実と経緯に基づいて判断したのかを説明しやすくなります。
「モンスター社員だから」というラベルではなく、具体的な問題行動と会社の対応履歴で判断することが、企業にとって最も重要なポイントです。

モンスター社員・問題社員対応に関するよくある質問

問題社員ならすぐに解雇できますか?

問題社員という呼び方だけで直ちに解雇できるわけではありません。具体的な問題行動、会社への影響、指導歴、改善機会、就業規則上の根拠などを確認し、解雇の合理性と相当性を個別に検討する必要があります。

注意や指導は口頭だけでもよいですか?

口頭指導だけでは、後から内容や回数について認識が食い違うことがあります。日時、問題行動、伝えた改善事項、本人の説明を記録として残しておく方が実務上は安全です。

上司に反論する社員は問題社員ですか?

反論しただけで問題社員とはいえません。正当な業務命令を継続的に拒否しているのか、指示自体に安全・法令・業務上の問題がないかを分けて確認します。

退職勧奨と解雇は同じですか?

異なります。退職勧奨は会社が退職を提案し、本人が自由な意思で合意して退職するものです。解雇は会社側が一方的に労働契約を終了させる行為で、法的な制約があります。

懲戒処分をする前に何を確認すべきですか?

就業規則上の根拠、行為の事実、本人への確認、処分の重さ、過去の類似案件との公平性などを確認します。処分の妥当性に不安がある場合は専門家へ確認します。

社内だけで判断が難しい場合は誰に相談すべきですか?

労務管理や就業規則の運用は社会保険労務士、懲戒・解雇・紛争など法的判断を伴う場合は弁護士への相談を検討します。

まとめ

モンスター社員とは法律上の正式名称ではなく、一般に、勤務態度、職場での言動、業務命令への対応などに継続的な問題があり、会社や周囲の社員に影響を与えている社員を指して使われる言葉です。
会社が問題社員へ対応するときは、性格や印象ではなく具体的な行動を確認します。
基本的な流れは、
問題行動を具体化する
客観的な記録を確認する
本人から事情を聞く
注意・指導する
改善すべき内容を明確にする
指導内容を記録する
改善状況を確認する
必要に応じて人事上・懲戒上の対応を検討する
です。
解雇についても、「問題社員だから」という理由だけで行えるわけではありません。労働契約法では、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない解雇は無効とされています。
問題社員対応を個人間の感情的な対立にせず、事実確認・記録・指導・改善・適正な手続きを含む労務管理の問題として扱うことが、本人の改善と会社のリスク管理の両方につながります。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」
厚生労働省「労働契約法」
厚生労働省「解雇|裁判例|確かめよう労働条件」
厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」
厚生労働省「モデル就業規則について」

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